第1話 緩やかな進行
「さて、全員準備はいいか?」
「ええ、ルードさん大丈夫ですよ。」
「なら、シルフィーナによってから目的地に向かうぞ。」
俺たちは話し合いの結果、俺とリリーの故郷によってから、元教会総本山後に向かう事になった。
それも全て敵であったイワンの情報によるものだった。
信憑性は怪しいものの、本当であるのならなんとか襲撃を防がなければいけない。
その為にシルフィーナにもよって、まだ滞在しているであろうユーリさんと合流する必要があった。
せっかく家族である王様と王女様と、別れる事になってしまうユフィーとルナには申し訳ない。
一応ここで俺達と別れて、一緒に暮らしてもいいんだよと言ったところ、「私とルナは、レインさんとルードさんに救われた以上恩を返すまでついていきます。」といわれてしまった。
まあ今回の件であの王様も、思うところがあるらしく、残ったもの達と積極的に関わっていく事にしたらしい。
今回の件で自分の正妻が関わっていた事にショックを受けたことが原因らしい。
そういえば王様に別れの挨拶の際に、
「君になら安心して娘を託せるよ。よろしく頼むよ。」
なんて言いながら、俺の肩を凄い力でつかんできた。
おかげで今もまだヒリヒリしてるし。
王女様の方は、ユフィーとルナに抱きついて泣きながら、別れの挨拶をしていた。
ただリリーに対してなんで「ピンクのお姉ちゃん」って呼ぶのか最後まで謎だったな。
王城から出発して少しが立ち、馬車の荷台ではそれぞれが好きなことをして、時間をつぶしていた。
「結局敵の目的は邪神の復活なんですかね?」
ジェイドが俺に聞いてきた。
「いや、それだけじゃない気がするんだよな。」
「レイン兄さん、何が気になるんですか?」
「いや、封印の解除だけなら俺やお前達の村を襲撃した意味がないだろ?」
俺は、村の襲撃の理由を知っていたが、まだその事を誰にも話していないので、わざとそういう風にいって伝えた。
「!!それもそうですね。」
「僕達の村には、確かにあんな物ありませんね。」
「それに、俺とリリーのところは俺が生き残ったが、そっちは1人連れさらわれたんだよな?」
「ええ、名前はわからないんですが、人族の人だったはずです。」
「うーん、あれですかね?邪神の復活のための生贄みたいなものですかね?」
グレンがほぼ正解を言っていた。
連れさらわれた人は、邪神の器として使われたはずだから、事実上の生贄になってしまったのだろう。
「まあ、いまは可能性がありすぎるから目的の予測はここまでだな。問題は。」
「問題は邪神以外の4人の敵だな。」
ルードさんが話に入ってきた。
「あの男が言っていたことが正しいなら、ライケル、ボロン、ルーガイ、リメアだよな。」
俺は村が襲撃を受けた時のことを思い出していた。
あの時俺が目撃したのは4人だった。
1人は俺がその場で倒していたらしい。
そしてレジーナはシルフィーナの時計台の地下で倒した。
となると、残りの2人にその名前のやつがいるんだろうな。
確かボロンは身体をバラバラにして操れるって言っていたから、あの襲撃で母さんを殺した変な喋り方をするやつがボロンなんだろうな。
後の1人はまだ不明か。
「・イン、レインどうした?」
「へ?あ、すみません。考え事をしていました。」
「大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。」
「こいつらは仇であるイワンを倒したから、全体的に落ち着いているが、お前はまだなんだから、あまり思い詰めるなよ?」
「はい、わかっていますよ。」
ルードさんは、俺のことを心配してくれているんだな。
「ああ、レインまた怪我しているわよ。」
リリーがいきなり近づいてきて、俺の腕をつかんできた。
俺はリリーの指摘したところを見ると、確かに何かで引っかいたような怪我ができていた。
なんだか最近はこういった傷が増えてきているな。
痛みはないんだが、うーん、集中不足なんだろうか?
そういえば、料理も味が濃くなってしまっているらしいから、少し身体に疲れがたまっているのかもしれないな。
「ほら、レイン治療するからじっとして!」
「ああ、ありがとうリリー。」
「もう!こんな怪我でもほっとくと危ないんだからね!」
リリーが素早く消毒をしてくれた。
俺もしっかりと注意しないとだな。
そうこうしているうちに、目的地のシルフィーナに着いた。
さてと早くユーリさんと合流しないとだな。