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Rebellion Cord 〜黄昏の彼方へ〜  作者: shun
六章 ヘイブル王城編
82/180

EXTRAー4父と娘

ブックマーク、読んでいただきありがとうございます!


今回のは6章第13話の後の話です。


another side リリー


「さてとレイン達も行ったことだし、こっちのことも片付けちゃいましょ。」


レイン達が地下へと向かったのを見届けてから、私は残っているみんな、とくに王様とユフィーちゃんに対して言いました。


「片付けるって、なんのことだ?」


「そうですよ、リリーさん。何かすることありましたか?」


やはり2人は自覚があるのでしょう。

なんとか誤魔化そうと、真っ先に声をかけてきました。

この関係をどうにかするために、ルードさんはユフィーちゃんを待機組に入れたんでしょうね。


「まったく、2人でしっかり話し合ってください。」


私はユフィーちゃんを王様の前へと連れていき、2人を会話させるようにしました。


「リリーさん、私は別に話すことはないですよ!」


「儂もこの者に話すことはないぞ。」


はたから見て2人が互いに話したいのが丸わかりなのに、意地をはっちゃって面倒ね。

こうなったらもう2人追加して話をさせるしかないわね。


「ミリーちゃん、それとルナちゃん来てくれる?」


「リリーお姉ちゃん、どうしたの?」


「なになに?ルナに何か用?」


2人はすぐに近づいて来てくれたわ。

リリーのスキルは、レインとサイアスさんが話し合っていたあの場所にいた人たちしか知らないから、慎重に使わないとね。

それに王様とユフィーちゃんに何かあるなら、ルナちゃんにも関係あるはずだから本人も呼んでしまった方がいいわよね。


「ほら、2人がうじうじしているから、呼んでしまったわよ。」


「うむむ。」


「リリーさん、卑怯ですよ。」


「ほらほら、早く話しちゃいなさいよ。」


「・・・・・・わかった、ただしその子には聞かせないでほしい。」


まったく沈黙している時間が、長かったけど話すなら許しますか。

それにしても、ルナちゃんには聞かせたくない話ですか。

まあ、確かにまだルナちゃんには、難しい話は聞かせない方がいいのも事実ね。


「わかりました。ミリーちゃん呼んでおいて悪いけど、ルナちゃんとグレン達の方にもどってくれる?」


「わかったよ!リリーお姉ちゃん。」


「ぶー。ルナを呼んだのに!」


「まあまあ、ルナちゃん。グレンさんが何か面白いの作ってる途中だから、それを見学させてもらおうよ。」


「むむむ、わかった。」


ミリーのフォローのおかげで、まだ少し膨れているものの、ルナちゃんは元の場所に戻ってくれた。


「それじゃ、話し合いましょう。」


「うむ、あの、その、えーと、元気だったか?」


「ええ。」


「そうか、お前達の母さんはどうしている?」


「死んだわ。」


「!!そうか、すまない。」


「謝らないで、貴方には関係ないから。」


「いや、そうでもない。お前達にはずっと謝りたかった。」


「謝る?何を?どうして?あの時、母さんを助けてくれなかったこと?私達をここから追い出したこと?今更なんのつもりよ?ふざけないでよ!」


「すまん。」


「だから謝らないで!貴方のせいで私達がどんな目にあったか知ってる?城下町のどこにいようと、後ろ指を指され、悪口を言われ、嫌がらせをうけつづけ、最後にはここから出て行くしかなかった私達の気持ちが貴方にわかるの?わからないでしょ!」


「すまん、あの時はそうするしかなかったんだ。」


「何がそうするしかなかったのよ、貴方のせいで母さんがどんだけ苦しんだかわかる?母さん私達には気付かれまいとしていたけど、毎日泣いていたのよ!貴方にその時の母さんの気持ちがわかるの?」


「!!しかし、あのままお前達がここに残っていた方が危険だったんだ。」


「何が危険だったのよ!私にとってはどっちでも一緒よ!だって貴方は私達を捨てたんだから!!」


「違うんだ!それは誤解だ!」


「そんな言い訳聞きたくない!だってどんな理由があろうと貴方は私達を見捨てたじゃない!」


不味いわね。

ユフィーちゃんは、だいぶヒートアップしちゃって冷静じゃなくなってるわね。

仕方ない、ここは少し会話に介入しましょうか。


バシン!


私はユフィーの頬を平手打ちした。


「リリーさん?」


「ユフィーちゃん!ちゃんと相手の話を聞きなさい!」


ユフィーちゃんは、私に平手打ちされた右頬に手を当ててぼーと私を見ていた。


「私たちは話し合いをする時どうしている?」


「・・・・・・みんなで話し合いしてます。」


「そうよね。誰か一方の意見を通している人はいる?」


そこでユフィーちゃんは、はっとしたらしく私に謝ってきました。


「すみません。」


「それじゃ、しっかりと王様の話を聞きましょ。」


「君はしっかりしているんだな。」


「私の周りには無茶ばっかりする人がいるんで慣れているだけです。」


「羨ましいな、っとお前達をここから追い出した理由を聞いてくれるか。」


「・・・・・・はい。」


ユフィーちゃんは、なんとか聞くことに納得してくれたみたいね。


「マリアがまだ起きていなくてよかった。お前達を追い出した理由は、儂の正妻のせいだよ。」


「どういうことですか?」


「お前達の母親の悪い噂は、全て正妻が流していたんだ。それを儂がかばえばかばうほど悪質な物になっていた。」


「!!本当なの?」


「ああ、どうやらマリアよりお前が先に生まれた事で、あやつは焦っていたんだろう。このままでは正妻の地位が危ないからと。馬鹿な女だったんだ。」


「それが本当なら、どうしてあの人を追い出さなかったねよ!」


「追い出せなかったんだ。あやつの実家が名家だったせいで。追い出せば、そことの関係が悪化してしまう。そうなれば、何をしてくるかわかったもんじゃなかったんだ。」


「何よそれ?そんな事のせいで私たちは。」


「城下町での事も、手を出せなかったのは同じ理由だ。しかし、このままではお前達が危険なのは変わらないからどうするか悩んでいた。そんな時に疾風と出会い頼み事をしたんだ。」


疾風って確かレインのお父様の事よね?

確かにあの人よく朝方に見かけてから、夕方まで見ない時があったけどその時に何かやってたのかしら?

レインのお父様なのに謎が多いわね。


「疾風はお前達を安全な場所に移したと言っていた。儂はその場所を教えてもらえなかったんだ。なんでも儂が知ってしまうと危険だからという事だった。それでも必死にお前達のことは探したが一切情報が入らなかった。安全な場所にいるだろうことは、疑ってなかったがそれでもお前達の事は常に心配していた。」


「そんな事言われても信じられない。」


「そうだろうな。証明する方法が無いからな。しかし、これだけは信じて欲しいお前達を今でも愛しているよ。それにあの聖剣と一緒にいたレインだったか、彼は疾風の息子なんだろ?」


この王様は、レインをじっと見ていたのは、レインのお父様の面影を見つけたからだったのね。


「お前達が襲われたと聞いた時は、とても後悔をしたもんだ。奴隷になったと知った時なんて主人を半殺しにしてでも解放させようとしたほどなんだ。」


「口ではなんとでも言えるわよ。」


相変わらずユフィーは冷たく答えていたわ。

どうしようかしら?

あっ!そうだミリーに頼むのがいいわね。


「ミリーちゃん、またごめんね!ちょっと来て。」


ミリーはすぐに来てくれたわ。


「なんですかリリーお姉ちゃん?」


「ちょっと王様の気持ちを見てくれる?」


「わかった!」


「すみません王様。もう一度ユフィーに気持ちを伝えてもらってもいいですか?」


「?構わないよ。お前達を思わなかった日は1日もなかったよ。愛しているのは今も変わらない!」


「うん!嘘ついてないよ!」


「!!君は儂の嘘がわかるのか?」


「なんとなくだよ?レインお兄ちゃんのお爺ちゃんは嘘つきだったけど、王様は嘘ついてないよ。」


「リリーさん、ミリーちゃんの事は本当なんですか?」


「そうよ!だからユフィーちゃんも王様の事を信じてあげて。」


「けど、今更どう向き合えばいいのかわからないわ。だって今もわからないから。」


「なら少し2人きりでお母様の話でもしてみればいいんじゃない?」


私はそういうとミリーを連れてその場を離れました。

遠目に2人の話している姿を見ていると、途中でどうやらユフィーちゃんは、納得したのか泣きながら王様に抱きついていた。

なんとかこっちは片付いたみたいね。

結局ルナの方は何もできなかったわ。

これは長期的にどうにかするしかないわね。

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