終話 壊れていく闇
another side 闇
「ちっ!油断していたか。」
私はどうやったのかわからないが、操っていたものたちとのリンクを一時的に切断されてしまった。
しかも許しがたい事に、私に激痛を与えてきた上でだ!
おかげで、危うく大切な駒を複数失うところだった。
なんとか2つは手元に残せたからいいものの、イワンと魂が歪んでいて楽しめたやつを失ったか。
まあ、十分に楽しめたからよしとしておこうか。
「アルジ、アテクシツギヤッテシマッテイイカ?」
「ボロンか、いや少し待て。」
私としても次にすぐとりかかりたいが、今回の怪我が予想以上に響いているな。
あいつは例の器候補だったやつだよな?
これからは少し用心しないと危険だな。
まあ、こちらには奴を精神的に揺さぶれる切り札があるからな、あれを知った時のやつの顔が今から楽しみだ。
「アルジ、イツマデマテバイイカ?」
「焦るな、お前も今回大事な魔獣の数が減ったんだろ?補充をしておけ。」
「アテクシウッカリ!アルジサスガヨクワカッテル!ホジュウシテクル!オワッタラマタクル。」
ボロンの奴はスキップをしながらこの場から去っていった。
あいつは、最初からだいぶ壊れていたから今でも最高な駒だな。
あいつ自身なにをやっているのか理解をしないで、自分の娯楽のためだけに生きているからな。
実に使い潰しでよく使えるな。
さすがに、その先の工作も始めておかないとだな。
総本山後の次はアストラ王城だからな。
あの2人を使うのに、実に最適じゃないか!
ついでだから器と戦わせてしまうのも面白そうじゃないか!
さてさて、奴はどんな風に私を楽しませてくれるんだろうな?
この滅びを待つ世界で最後の娯楽は、最高の出来じゃなければつまらないからな。
まあ、封印が全て解けた後は、どうやってアイリスを呼び出すかだな。
これは、なんとか方法を見つけなければいけないな。
本来ならばライケルに頼むところだが、最近の奴はどうも信用できないな。
昔は私によく忠誠を誓っていたのに、今はどこか迷いがあるようだ。
やはり、眷属といっても元は下等な人間だから使えないのは仕方ないか。
新しい眷属を呼び出すにしても、今回の怪我の治療に力を当てたせいでまた時間がかかってしまう。
本当にあの器は厄介だな。
「・・・・・・」
「なんだいたのか?そう睨むなよ。今回は少しサービスしてやっただろ?どうだった久々に見た感想は?」
「・・・・・・」
「嬉しかっただろう?安心しろ、アストラ王城のときに貴様たちには働いてもらうからな。最高のご褒美だろ?」
「・・・・・・」
「なんだ、嬉しいからってそんなに見つめるなよ。まあ、貴様たちは次の計画には参加できないから、もう少ししたら別の事をしてもらうぞ。」
「・・・・・・」
「もういい、さがってろ。」
私の会話相手だった、ルーガイがそのまま去っていった。
アストラ王城戦では、奴の生前に持っていた名誉を地の底にまで下げてやろう。
最後には自由に喋れるようにして、暴れさせてみるのも一興だな。
それにしても、ライケルの奴は姿を見せないとは、やはり役立たずに成り果てたか。
これは、次の計画の時に処分をするべきだな。
まさかここにきて、飼い犬に噛まれたくはないからな。
ちゃんと後始末はしなければな!
そうだ!
ボロンの魔獣の餌にでもしてしまえばいいか。
しばらく傷が癒えるまでは、ライケルの処分を考えて暇潰ししているのも悪くないな。