第14話レイス
「それにしても、俺の父さんはヘイブルの王様とも知り合いだったんですね。」
「俺も初耳だ。」
俺達は王城の地下へ向かいながら、さっきの出来事を話していた。
俺としては、父さんの事が一番衝撃的だった。
今思い返してみると、俺は父さんの事あまり知らないんだな。
今回の件が片付いたら、リリーの両親が戻っているであろう故郷によって父さんの事について、調べてみるのもいいかもな。
「まあ、後ユフィーとルナもなんとかしないとですよね?」
「レインさん、それは本人達に乗り越えてもらうしかないですよ。」
「ジェイドに同感だな。」
「私達では力になれないわ。」
「うん。」
ジェイド、レド、ライナ、レンは俺の言葉にそう答えてきた。
まあ、そうだよな。
この件に関しては、本人がなんとかして乗り越えなければ意味がないもんな。
ただ、さっき少しだけ話した感じだと、王様はユフィーが思っているほど酷い人には思えないんだよな。
「さて、話はそこまでだな。もうじき地下室につくぞ。」
ルードさんがそう言ってきた。
王様に教えられた通り、王城の地下へは謁見室から入れた。
階段を降りていくと、そこにはシルフィーナの時計台の地下にあった部屋と同じものがあった。
「ルードさん!」
「ああ、同じだな。」
「?レインさんにルードさん、同じとは時計台の地下の事ですか?」
ああ、そうか確かジェイド達は壊れきった姿しかみていないから、今の状態を見てもわからないか。
「そうだよ。壊れる前はこんな感じだったんだ。」
「あんな瓦礫の山だったのがですか?」
「レド、あまりその事は触れないでくれ。」
あそこを瓦礫の山にした本人だけあり、かなり耳に痛いな。
「みんな、あそこ見て!」
ライナが指を指している方を見ると、そこには床に倒れている女性と、その横に男が立っていた。
「お前は!」
「・・・・・・」
「今度は逃さない。」
奴が立っていた。
レドは逃さないというと、すかさず盾を構えて防御態勢をとった。
他のメンバーもそれぞれ武器を構えていく。
「どうせ、何を聞いても答えないのだろう?ならば倒させてもらうぞ!」
ルードさんは、言うと同時に男へと斬りかかっていった。
ガキン!キン!キン!
凄まじい剣と剣がぶつかり合う音が辺りに響き渡っている。
どちらも一歩も引かずに剣撃が繰り広げられていた。
「たく、ルードさん。仕方ない俺達は、あの女性を安全なところに運び出そう。」
ルードさんと男の戦闘に俺達は入れなさそうだったので、近くで危ない女性を安全な場所に運ぶことを優先する事にした。
そして、女性の近くにたどり着き、俺とジェイドで持ち上げようと、うつ伏せの状態から仰向けに変えると、
「な!」
「これは?」
その女性はすでに死んでいて、顔は白骨化していた。
一体この女性は誰なんだ?
「レインさん!」
ジェイドの声で我に帰りとっさに、後ろに下がると、俺がいた場所に剣が刺さっていた。
「全て私のものよ、地位も財も権力も、私だけのものよ。」
白骨化している死体が、そんな事を言いながら襲ってきた。
「こわっ!」
「レインさん、落ち着いてください。」
「俺が止めてるから、立て直してください。」
「すまない、レド。少しの間頼む。」
俺はすぐにレドに白骨化した女性の足留めを頼み、残りのメンバーと作戦会議をする事にした。
「あれって何なんだ?」
「すみません私は知らないです。」
「私もですわ。」
「私は知ってる。」
「本当か、レン?」
「あれは、たぶんレイスだと思う。」
あの白骨化した女性は、レイスっていうものになっているのか。
「レン、レイスってどんな存在なんだ?」
「簡単にいえば、呪いをその身に宿して死んだ死体。」
「あんな白骨化するの?」
「そこはわからない。けどあの執着があるところはそう。」
「ちなみに倒し方は?」
「魔獣と同じ。」
なるほど、元は人間だが呪いで死んだ結果、魔獣になったという事だろうか?
少し疑問が残るが今はとりあえず、倒し方がわかった以上倒してしまおう。
「レン、頼めるか。」
「任せて。」
レンはそう答えると、すぐにレドとレイスの元へと大鎌を持って走っていった。
「レド、伏せて。」
「!!ちょっ!」
レドは何とかしゃがむのが間に合ったらしく、レイスのみがすごい勢いで殴り飛んでいった。
「レン、危ないだろ!」
「避けたから大丈夫。」
はあ、まあ無事だったからいいか。
レイスが飛んでいった方を見ると、見事に体がバラバラになっていた。
「あれは流石に動かないよな?」
「レインさん、それはいっちゃダメですよ。」
なぜかジェイドに注意をされた。
だってバラバラだよ?
これで動けたら化け物だろ?
最悪俺の双剣で斬らないとになるよ?
「私の物を返せ。」
「うを!」
やば!
まだ動いてきたよ!
「レインさん、だからいったじゃないですか?」
「俺のせいか?」
「間違い無いですよ。」
「そうだな。」
「そうですわね。」
「そうだよ。」
みんなに攻撃されたよ。
仕方ない、あれは精神体だから双剣のダークネスで斬ってしまうか。
俺はそう決意をすると、ダークネスに力を込めてレイスに近づき切り裂いた。
「「グアアアアアアア!」」
あれ?
なんかレイスじゃない方からも声が聞こえたぞ?
俺は声の聞こえた方を見ると、ルードさんと戦っていた男から黒い煙?が出ていた。
一体何が起きているんだ?