第13話王様
「何故お前達がここにいる!それに儂はどうしてこんな場所にいるんだ!」
グレンによって起こされた王様は、だいぶパニックをおこしていた。
色々と事情があるんだろうけど、今は時間が惜しいからなんとか話を進めたいんだがな。
俺は困ってルードさんを見ると、ルードさんは軽く頷き、
「王様、お初にお目にかかります。」
「む?そなたは?」
「この者達をまとめていますルードと言います。」
「ルード?そなたは、かの聖剣の名をもつものか?」
「はい、その通りでございます。」
「では、一緒に疾風も来ておるのか?あやつには一度世話になったから.礼をしっかり言っておきたいのだ。」
王様は笑顔でそう言ってきた。
ここでもまた俺の父さんの事が出てきた。
一体父さんは生きている間にどれだけのことをしてきたのだろうか?
そういえばシルフィーナで、爺ちゃんが確か種族を問わずにに好かれていたって父さんの事言ってたな。
ここでもそうだったのか。
「王様、ご存じないのですか?」
「ルードよ、儂は何を知らないと申すか?」
「疾風である、あの人はもう亡くなっています。」
「なんだと!あやつが死んだと?そんなことありえんな。冗談でも許さんぞ。」
「本当です。あの人の村であった襲撃で命を落としました。」
「それはまことか?」
「はい。」
「実に惜しい者を失ってしまた。してルードよ、お主が意志を継いでその者達を守ってくれているのか?」
「どういう事でしょう?」
「お主知らないのか?」
「この者達は、こちらにいる私の弟子のレインの従者です。」
なんだろうか?
どうやら父さんはヘイブルの王様と知り合いな上、何か約束をしていたのだろうか?
しかも、王様の口ぶりからしてユフィーとルナに関する事だよな。
「すまぬが、そのレインとやら顔を見せてくれぬか?」
「あ、はい。」
いきなり俺に話が振られてきた。
一瞬考え事をしていた為、反応が遅れてしまったがすぐに王様の前にでる。
王様はしばらく俺の顔をジーと見ていた。
「ふむ、成る程な。レインありがとう。だいぶ話が逸れてしまったの、それで今の状況を説明してくれるかの。」
それからルードさんが、王様に俺達が城下町に入ってからの事を、詳しく説明をしていった。
王様はその話を聞き終えると、しばらく目を瞑り考え事をしはじめた。
そしてゆっくりと目を開くと、
「そうであったか。色々と迷惑をかけたの。少しづつ思い出してきたわい。」
「そうですか。それで王城の地下には何が?」
「ああ、それは王にのみ伝えられている。本当かどうかわからぬが、なんでも邪神の魂の一部が封じてあるらしい。」
!!
これは、衝撃的だ。
つまり、やつらがここの前に、シルフィーナの時計台でやっていたことは封印の解除だったのか!
それにしても変だな、それならわざわざ俺達にあんな手紙を残す必要がないよな?
「すみません、その封印の解除法は?」
「わからん。ただなんでもその場所に入るには、邪神の影響を受けていないものが必要らしい。」
そういえばシルフィーナの時も、グレンがいうにはグレンが扉を開いたらレジーナが封印が解けたとかいっていたらしい。
ということは今回も誰かに開けさせるために、やつは俺達にあんな手紙を残したのか!
「ルードさん、たぶんあの男は王女様に開けさせるつもりだったと思います。」
「レイン、確かにそれもあっただろうが、それよりも王様の正妻が気になるな。」
「ルードよ、儂の妻がどうしたのじゃ?」
「行方不明です。」
「やはりか。」
「驚かないんですね?」
「あやつは、以前より不自然な行動が多かったからの。それに関してはそこの娘の方が詳しいだろう。」
そういって王様はユフィーを指指してきた。
「貴方に言われたくありません。」
ユフィーはそう答えただけで、それ以上は何も喋らなかった。
「まあ、その事は後にしていまは、王城の地下をどうするかじゃな。」
「ええ、確実にそこには私達の敵がいるはずです。」
「ルードよ、危険な事を頼んでいるのは承知の上で、行ってもらえぬか?」
「どっちにしろ行かなければ、今回の件は片付きませんから構いません。」
ルードさんは、王様の頼みを簡単に引き受けた。
確かにあの男と、決着をつけなければこの先もこんな事が続くのだろう。
それならば、罠とわかっていても行くしかないか。
それから俺達は地下に向かうメンバーと、ここに残るメンバーに分かれるために話し合いをした。
その結果、地下に向かうのはルードさん、俺、レド、ジェイド、レン、ライナの6人で、リリー、ミリー、ユフィー、ギギ、グレン、ルナ、バルドはここに残る事になった。
まあ、ユフィーとルナを残すのは、2人ともまだ目を覚ましていない王女が気になっているみたいだったからだ。
できるなら、王様と少しでも話せればいいんだけど、ユフィーの気持ちを考えると今はまだ無理だろうな。
「よし、準備はいいか?」
ルードさんが地下に向かうメンバーに話しかけてきた。
俺達は互いに顔を見あってから全員がルードさんに頷いた。
「行くとしよう!敵は強いから油断するなよ。」
こうして俺達は王城の地下に向かって行動を開始した。




