第8話遭遇
another side レド
王城突入後、俺は1人でユフィーの後を追った。
いや、正確には違うユフィーが追ったであろう人物を俺も追った。
あの男は、俺の家族を殺した人物だ。
前回はグレンが暴走した為に、今回はユフィーのおかげで冷静でいられた。
今の俺のレベルでは、返り討ちに遭うことしかできない。
しかし、ルードさんのおかげで足止めはできる。
1人でダメでも、数があれば何とかなるはず!
そんな事を考えながら走っていると、目の前にユフィーと、ユフィーに向かって剣を振り下ろそうとしている奴が見えた。
俺は急いでその間に滑り込み盾で一撃を防ぐ。
「大丈夫か?」
「レド?」
「すぐにレインさん達がくるからまってろ。」
「私のことよりマリアを。」
俺の見た所、両足の怪我一番ひどく後は所々に打撲や切り傷があるくらいか。
マリアとは誰のことだ?
「誰のことだ?」
「あの男が担いでいる少女よ。」
「わかった。」
俺は、背後にユフィーを隠しながら、男と対峙した。
確かに今奴は女性を肩に担いでいるが、その状態でさっきの動きをしていたのか。
そんな事を思っていると、
「・・・・・・」
「ち!」
ガキン!
そいつは、人を担いでいるとは思えない速さで斬りかかってくる。
ガキン!キン!
素早く振られる剣撃を何とか盾で防ぎ続ける。
ルードさんでだいぶ慣れてはいるものの、この男の剣撃は速さの中にも技術があり、盾の構え方を間違えると盾ごと切られてしまいそうだ。
「・・・・・・」
「くぅ!」
また、斬撃の速度が上がってくる。
もはやギリギリ防ぐだけで精一杯だ。
レインさん達早くきてくれないかな。
ガツン!
「うわ!」
意識がそれた瞬間に盾に蹴りを入れられた。
その蹴りの威力を使って、俺は少し距離をとる。
しかし、これはまずいな。
こっちが攻撃しようにも、向こうには人質がいるから、なまじ攻撃ができない。
防御に徹しても、盾がいつまで持つかわからない。
「ユフィー何か武器あるか?」
「ごめんなさい、今手元にはないわ。」
まずいな。
このままじゃ、助けに来たのに共倒れになっちまうな。
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俺たちは何とかユフィーとレドが向かって行ったところに近づいていた。
しかし相手がルードさんと互角だったということは、今回は双剣のスキルを使わないでおいたほうがいいな。
「レインお兄ちゃん!あそこ!」
ミリーに言われた方を見ると、レドとユフィーがいた。
レドはなんとか男の攻撃をしのいでいるって感じだな。
「ライナ鞭で牽制してくれ。」
「わかったわ。」
ライナはすぐに鞭を男に向かってふるった。
男はすぐにレドとの距離をとって、こちらの攻撃に備えはじめた。
「お前は何者だ?」
「・・・・・・」
やはりみんなが言っていた通り、なにも喋らないな。
あの時の襲撃メンバーにもいなかったから、情報が少なすぎる。
「レド戦ってみてどうだった?」
「この人数だと厳しいと思います。」
やはり相手の手札がわからない以上、無意味に攻撃をするのは危険か。
「レインさん、マリアを!」
リリーに傷の手当てをされているユフィーがいってきた。
それによって気が付いたが、この男女性を担いだ状態なのかよ。
これじゃ剣で攻撃するのは危ないか。
ならばレジーナの固有スキルを使わせてもらうか。
「ライナ鞭を貸してくれ。」
「いいけど、どうするの?」
ライナが聞いてきたが、俺は無視をしてスキルを使い鞭を地面に叩きつけ、地面の中で鞭を進ませていく。
男は流石に気付かないらしく、俺がどう動くか警戒している。
鞭が男の下あたりに到達したのを感じとり、さらにスキルで鞭の先端を複数に分裂させてから、攻撃を仕掛ける。
「!!」
両足と武器を持っている腕を拘束できた。
「抵抗するな!レド、グレン押さえつけてくれ。」
「了解。」
「わかりました。」
レドとグレンが警戒しながら近づいていくと、男はいきなり担いでいた女性をこっちに投げつけてきた。
「なっ!」
俺はとっさに鞭を話して女性を受け止めた。
ボン!
男はすぐに高速をほどいて、地面に何かを叩きつけた。
するとあたり一面に煙が発生して、視界が奪われてしまった。
「みんな!大丈夫か?」
「レインお兄ちゃん!こっちは大丈夫だよ。」
「私も大丈夫です。」
「逃げられたみたいだ。」
「レイン兄さん、匂いが追えません。」
ミリーとリリー、ユフィーは一緒にいたから全員無事だな。
しかし煙のせいでどこに誰がいるのかわからないな。
俺は急いで近くの窓を開けて煙をここから外へと逃した。
しばらくして、煙が完全になくなると、あたりに男の姿はなかった。
「逃げられたか。ひとまずはルードさん達と合流しよう。」
「ええ、それがいいと思うわ。ユフィーちゃんもちゃんと治療しないとだし。」
リリーはそういってきてくれた。
その後みんなで話し合って、少し休憩してから外に行くことになった。