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Rebellion Cord 〜黄昏の彼方へ〜  作者: shun
六章 ヘイブル王城編
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第7話ユフィーの過去


王城に入ったのはいいものの、そこにはユフィーの姿はなく俺たちは急いで後を追う事にした。


「レイン兄さん、一ついいですか?」


「なんだ?グレン。」


「また、奴の匂いがしています。」


グレンのいう奴とは、無口な男のことだろう。

俺は直接会ったことはまだないが、ルードさんと互角に戦っていたらしい。


「どっちからする?」


「ユフィーさんの向かっている方です。」


ユフィーはたしか、二階を見るように言っていたから場所的にそこに向かっているのだろう。

あの時男は少女を抱えていた。

それをみてユフィーが名前を呼んでいたから、確実に知り合いなんだろう。

そこらへんは、後で聞けばいいから急がないと、何をするかわからないからな。


「レインさん、俺が先行します。」


レドがそう告げて、1人さらに速さをあげて走って行く。

確かにリリーやミリーが付いてこれるよう、速度を調整しているからこのままでは間に合わないかもしれないか。


「ごめんね、レイン。」


「きにするなリリー、ここで逸れても危険だから仕方ないよ。それにレドが向かったんだから、大丈夫だよ。あいつは守りに関しては凄腕だからね。」


リリーが謝ってきたので、俺はそういって気にすることはないと伝えた。

後はレドが間に合うことにかけるしかないな。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


another side ユフィー


私が幼い頃は、三人姉妹の長女だった。

自分で言うのもなんだが、姉妹の仲はとても良かったと思っています。

それは今でも変わらないと信じてもいます。


では、今なんでルナと2人姉妹になっているのか?

それは実に簡単なことです。

三人姉妹なのに、父親が同じだけで母は別でした。

私とルナは、同じ母で真ん中のマリアだけ、母が違いました。

そんな事は私達には関係なく、いつも三人で朝から晩まで遊んでいました。


けれどそんな時も、すぐに壊されてしまいました。

当時は意味がわかりませんでした、なんでも私達の母は、父親の妾だったらしく家の中では、疎まれていたらしいのです。

一方マリアの母は正妻だったようで、私とルナがマリアと遊んでいるのがいつも気に入らなかったらしい。

ある日突然に私達家族を家から追い出してきた。

正直当時は訳が分からず何もできなかった。

さらに父親は、そんな私達を助けてくれるどころか、何もしてくれなかった。


その時からだろう。

私は他人を絶対に信用できなくなってしまった。

さらにルナは、まだ幼かったから当時の記憶はないはずなのだが、それ以来家族に執着するようになってしまった。


その後は家族で流れ着いた村で、ひっそりと仲良く暮らしていたのに、あの悪夢によって母は殺され私達姉妹は、奴隷になってしまった。

奴隷になったからには、最悪な事態も考えていたが、買ってくれたルードさんやレインさんは、とてもやさしかった。

私達と同じ境遇の人も沢山買って奴隷ではなく、仲間としてくれた。


少し前には、グレンが暴走して1人で行動して危険なめにあった時、その2人は文字通り命をかけて助けていた。

私は本当の家族はこうなんだろうと思った。

きっと今ではないけど、そのうちまた信じる事が出来るかもしれない。


それから、レインさんの婚約者のリリーさんが現れた。

この人は、なんというか私の知っているあの人とは真逆の存在でした。

会って早々に未来の話をして、ミリーちゃんを取り込んでいたし、少し会話しただけで私の内心も、ルナの事も気づいてしまった。

本当にすごい人だと思う。


リリーさんは、その後は私達奴隷の女子全員に家事についてを細かく教えてくれた。

私とルナは、料理がいつも母頼みだったせいで、わりかし壊滅的だったのに、リリーさんは起こる事なくとても丁寧に教えくれた。

あの人がリリーさんみたいだったらきっと今頃は、三人でこうしていたのだろうな。


そんな事もあったが急遽状況が一変した。

それは、私達が昔住んでいた家が襲撃を受けたと、ルードさんが食事中に教えてくれた。

私は思わず立ち上がって詳しく教えてくれるように頼んでしまった。

その後は急いでヘイブル王城に向かう事になった。

正直父親や、あの人の事はどうでもいいが、マリアが無事なのかそれだけが心配で仕方なかった。


城下町は魔獣で大変な事になっていたが、2チームに分かれて対処する事になった。

私はたまたま王城に向かうチームになった。

王城前でレインさんが、突然に攻撃を受けたがグレンのおかげで無事だった。

私はすぐさま攻撃の飛んできた方を見上げると、そこには村を襲った男と、意識がなく担がれているマリアがいた。

私は反射的に駆け出してしまった。

マリアは、私のもう1人の大切な妹だ。

この手で守らなくちゃ!


レインさんの制止を振り切って王城二階に向かった。

そして外から見た場所と同じ場所にいた。


「その子を渡してください。」


「・・・・・・」


「渡さないなら、倒しますよ。」


「・・・・・・」


やはりこの男は何も喋らなかった。

このままマリアを連れて行かせるわけにはいかない。

私は投げナイフを男の足にはなった。

男は剣で難なく弾いた。

さらに二本投げて、同時に接近してナイフで相手を斬ろうとする。

しかし男はまたしても、剣で弾き私を蹴ってきた。


「いた!」


私は手首を蹴られナイフを落としてしまった。


「・・・・・・」


ドス!ドス!


そんな音が私の体に聞こえた。

少し時間を置いてから痛みが体にはしった。


「ああああああ!」


私の両足に私が投げたナイフが刺さっていた。

いつ投げられたのかもわからずに、気がついたら刺さっていた。

けどこんな事で諦められない、なんとか立ち上がると、


「・・・・・・」


奴が目の前にいた。

男はなんの感情もない目で私を見ながら、剣を振ってきた。

ああ、私はレインさんの制止を振り切ってきたのに、何も守れず殺されてしまうのだろうか?

悔しさで涙が目尻から流れた。

そのまま剣が私に振り下ろされてきた。


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