第10話決裂
ようやく一章8話の過去会話のフラグ回収回です。
One day side ガイル
あの魔獣討伐から俺は治療のために治療室で安静にしていた。
やはり加速を使いすぎたせいで、身体にかなりの負荷がかかってしまった。
あれから4日たった今もベットから動けていない。
「しかし暇だな。なんとからならいものか。」
一応団長としての仕事として、書類などのサインをしたりして時間を潰すぐらいしかやることがない。
「ガイルさん、どうですか?」
入り口からメアリーさんが入ってきた。
あれから毎日俺の見舞いに来てくれている。
正直書類仕事しかすることない俺としては、とても助かる。
それと同時に親父の話も思い出してしまう。
そんな日々が2週間続きようやく動けるぐらいには回復した。
「ガイル団長、あなたの身体はもうこれ以上回復はできないと思います。」
「なんだと!」
「傷だらけで無茶をしたので、身体に深い傷が残ってしまっているんです。」
「・・・・・・その傷は?」
「治療不可能でした。なので固有スキルを使うのは控えた方がいいです。次同じ事をしてしまうと死ぬ事になりますよ。」
ガタン!
いきなり音が響いた。
急いで音がした方をみると、そこにはメアリーさんがいた。
「す、すみません。あの、その、わ、私、聞くつもりは、ごめんなさい。」
そのまま治療室から出て行ってしまった。
「待ってくれ!」
俺は急いで後を追いかけた。
途中で人にぶつかってしまって謝ったり、どこにメアリーさんが向かったか尋ねながらなんとかメアリーさんに追いついた。
「メアリーさん聞いてくれ!」
メアリーさんは振り向いて、
「ガイルさん、ごめんなさい。私達が策戦をうまくできずに、あなたに無理をさせてしまったせいですよね。」
「違うよ!これは俺が選んだ結果なんだよ!」
「そんな事ないです。あの時私がもっとうまくやっていれば。」
「だから違うって!俺自身覚悟してやった事だから後悔はしてないよ。」
「そんなわけないです!もう騎士として生きていけないんですよ!いっその事あの時ガイルさんじゃなくて私が!」
バシン!
俺はメアリーさんを叩いた。
今メアリーさんが言おうとしたセリフは、俺の騎士としての誇りを傷つけるセリフだ。
「ふざけるな!俺はお前が大切なんだ!守るためにこの身を差し出してもいいと思ってた!だからそうしたんだ。それを否定する事は本人でも許さない!」
俺は感情のままにそう叫んだ。
するとメアリーさんはポカーンとした後俯くと、
「プロポーズですよ、それ。」
「へ?え?・・・・・・あ!」
「もう取り消しはダメですよ。」
そう言ってメアリーさんは俺に抱きついてきた。
「これからガイルさんは、どうするんですか?」
「親父と話してここを出てどっかに村でも作るとするよ。」
「なら私も一緒に行きます。拒否権はないですよ。」
満面の笑顔でメアリーさんは、俺を見つめてきた。
それから俺は、1人で親父のところにいった。
「親父。」
「ガイル。」
「俺、もう戦えないらしい。」
「そうか。」
「ここを出て行くよ。」
「そうか。」
「メアリーさんと一緒になって村をつくるよ。」
「話を覚えているな?」
「なあ親父教えてくれよ。」
「お前とメアリーの間に生まれてくる子は、英雄の祝福と呪いが与えられるだろう。祝福は神をも上回る力を、呪いは神をも絶望させるほどの力になるだろう。」
「なんだよそれ!詳しく教えてくれ!」
「お前はこれから数年後に息子を授かるだろう。その子が成人する時封印されし邪神の眷属が、器を探して行動を開始するだろう。それがその子の悲劇の始まりだ。すまないがこれ以上は見れなかった。」
「なんだそれは!俺の息子は不幸になるために生まれてくるのか!ふざけるな!俺はそんな運命変えてやる。」
「それだけではない!その子は邪神の器になり災厄を撒き散らす存在になる!だから殺さなければ危険じゃ!」
「まだ生まれていないのに、そんな事を決めつけるなよ!親父だって自分のスキルは万能ではないといってただろ!」
「戦えないお前に何ができる?その子を助ける力がないなら存在を消すべきだろ!」
「なんでそうなるんだよ!親父が間違ってるかもしれないだろ!」
「今回の魔獣の件みたいに大筋は当たっている!いざ本当になってからじゃ遅いんじゃ!」
「親父!見損なったぞ!俺は認めない産まれてくるべきでない子などいない!」
「わかってるのかガイル!お前もメアリーもその子も不幸になるのだぞ!」
「そんな事はない必ず方法はある!もう決めた!俺はここを出て信頼できる者たちとだけで村を作って子供を育てる。」
「何故だガイルどうしてそこまでするんじゃ!」
「そんなの俺の子になるからに決まってるだろ!」
「この分からず屋!世界を破滅させたいのか!」
「俺は世界より自分の子の方が大切だ!話はこれでおしまいだ!・・・・・・・今まで世話になったよ、親父。」
「・・・・・・・この馬鹿息子が。」
俺と親父が話したのはこれが最後になった。
そのあとは、騎士団の連中や仲の良かった街の住人などに、出て行く事を伝えていった。
ユーリのやつは最後まで必死に俺を引き止めようとしてくれていた。
最終的には俺の村づくりについてくる事で納得してくれた。
もっとも以外だったのが王国騎士団で、ヘレナーレ様やアレス、それに大半の騎士達が一緒に来てくれる事になった。
もっともそれにはメアリーの存在が大きいようだ。
一緒に来てくれる連中には親父の言ってた事は伝えて一緒に対策を練る事にしよう。
そして全ての準備が終わり街を出て行く日がやって来た。
俺は街を出て行くときに一度振り返り、親父がいるであろう教会にお辞儀をして後にした。
あと1話で過去編は終了予定です!