第4話教会で
変人神父もといユーリさんが俺たちの目の前でいきなり土下座してきてさすがに二人でポカーンとしていると、
「いやいや実に素晴らしいー!今日という日に若い者達が愛を育むなんて神ってるー!」
なんかいきなり拝みはじめた。
相変わらずの奇行にもはや反応する事すらできずに二人でかたまってしまった。
「あらあらどしたの?軽い冗談じゃないか。」
そう言いながらなんかクネクネしはじめた。
だめだこの人全然神父に見えない。
むしろそこら辺の酔っぱらいなみのウザさが全身からあふれでてる。
「あのユーリさん。」
「だめだめ!レイン君今の私は、し・ん・ぷ・さ・ま・だよ!」
「いや、ユーリさんだし。」
「レイン君、神父様。」
うん、もの凄くめんどくさいこの人
。
「レイン、話が進まないから神父様って呼んであげなさいよ。」
「リリー、ユーリさんに神父様って無理があるよ。」
「呼ばないと一日このままだよ?」
「ハァー、仕方ない神父様。」
「なんだいレイン君、今日は何か用事できたのかい?・・・まさか!私に会いに来てくれたのかい?」
「「それはない(です)。」」
「そんなハモらなくても、冗談は置いておいて今日は15歳の成人になる前の勉強だったよね。じゃあレイン君リリーちゃん神殿の礼拝堂に行こうか。」
いよいよ来年の成人の儀式前の勉強がはじまるのか。
意外と緊張するもんなんだなちょっとドキドキしてきた。
隣を見るとリリーも同じらしく少しそわそわしている。
そのままユーリさんの後について行くと、礼拝堂の前にたどり着いた。
「そういえば、レイン君とリリーちゃんは初めてこの中にはいるんだっけ?最初は驚くよー。」
ユーリさんはそういって礼拝堂の扉を開けると、そこには一柱の女神像が正面奥に置かれていて、その両脇にはたくさんの花が置かれていた。
確かに一瞬だけビックリはしたもののそんなに驚くものではなかった。
「あれ?二人とも感動しない?私なんか一週間ぐらい感動のあまり踊り続けてしまったよ。」
「いや、そこまではないかな。リリーは?」
「私もそんなにかな。」
「そんなばかな!」
ユーリさんはショックを受けたらしくトボトボと教壇の前にいき何事もなかったように、
「さて、目的の勉強を始めようか!
二人とも教壇前の椅子に座ってくれるかい。」
俺とリリーは、教壇の正面の椅子に二人で座った。
「よし!それじゃあまずはこの世界の成り立ちを略して説明しよう。この世界には、最初に二柱の神がいたがある時そのうちの片方が地上で闇に堕ちてしまった。これがぞくにいう伝承だ。しかしこれには隠されている部分もあり闇に堕ちた神には六体の眷属が存在していた。そして一時期世界は闇に支配をされてしまう。これをみかねたもう一柱の神がこの世界を救う為にとった手段が“恩恵”と呼んでいる加護になるんだ。その力によって闇は封印された。その後その力は地上に残ってしまった魔獣の討伐などに役立っていてそこからこの神を冒険の神と崇めるようになった。これが簡単にまとめた内容だよ。」
ユーリさんがそこまで話したところでリリーは何か疑問があるらしく
「あの神父様、伝承の隠された内容って教えていいんですか?」
と質問をした。
ユーリさんはすぐにわらいながら
「リリーちゃんこれは有名だから構わないんだよ。それに世界の成り立ちなんか本当のところ誰も知らないのだから。」
それからユーリさんはまた真剣な表情にもどり
「ここからが一番大事な部分だよ!神の“恩恵”は今も存在していて成人の時にその力は与えられるんだ。しかも“恩恵”には誰でも努力で手に入れられる一般のものとその人しか使えない固有の2種類存在している。」
なんだか内容が難しくなってきた。
隣のリリーは真剣に考え事をしているみたいだ。
ユーリさんはそのまま説明を続けて
「君たちが成人になったらここで“恩恵”を手にするわけだが、注意があり“恩恵”を確認するためにいわゆるギルドカードを渡すが自分以外では、一般の“恩恵”のみしか見れないようになっている。それはなぜかリリーちゃんわかるかな?」
ユーリさんはいきなりリリーに話を振ってきた。
リリーは少し悩んだ後に
「それは、固有の力を知られてはいけないからですか?」
「ほぉ、優秀だね。その通りだよ。一般の力は誰しも手に入れられるが、固有の力はその人のみだから最後の切り札になるわけだ。それを知られてしまうともしも他人と戦う時に不利になってしまう。」
あれ?いまの説明ではまるで人同士で争うみたいだがそんな事があるのだろうか?
そう思ってユーリさんに質問をしてみると
「レイン君世界が平和でも何処にでもつまらない事で争いは起きてしまうものだよ。だからこその固有の力でもある。まあそこの詳しい話はまた今度にしよう。後で君たちの両親にでも“恩恵”の話を聞いてみるといいよ。」
そのあとは成人してから必ず必要になるであろうさまざまな知識を教えられて今日は終わりになった。