第9話決着
One day side ガイル
「痛!」
俺は頭痛で目が覚めた。
周りを見渡すと、そこは治療室だった。
「俺は?いてて。」
「安静にしてないとダメですよ!」
治療室を管理している神官が言ってきた。
「今は?」
俺はその神官に現在の状況をたずねた。
神官は丁寧に説明をしていってくれた。
どうやら今回作戦の実行にあたって、両騎士団を総動員したらしい。
その際に俺は療養に集中させるために、部隊から一時解任の扱いに親父がしたとの事。
今はどのくらい作戦が進んでいるのかは不明らしいな。
しかし、あの魔獣を穴に落として倒すなんて、古典的な手法でできるのか?
最悪を常に想定しておかなきゃだな。
しかし外側は頑丈でどうしようもないな。
どうしたものか?
・・・・まてよ外側は鍛えられるが身体の内側は別だな!
「なあ、爆薬の在庫どんだけある?」
「いきなりなんですか?安静じゃなきゃだめですよ!」
親父が選んだだけあって真面目なやつだな!
仕方ない隙を見て逃げ出すか。
「大変だ!」
治療室のドアが勢いよく開けられた。
「おい!何があった?」
「作戦失敗!重傷者が複数でましま!」
なんでこうタイミング悪く最悪な事はかさなるかな。
とりあえずは戦場の確認だな!
「今はどんな感じで対処している?」
「ヘレナーレ様、アレスさん、メアリーさん、ルードさん、サイアス様が足止めをして皆を逃してます。」
この状況ならベストな選択なんだろうが、王女様をしんがりに使うなんてな。
急いで援護に行かないとだな!
俺が治療室から出て行こうとすると、
「ダメです!ガイルさんあなた重傷なんですよ!次は死ぬかもしれないんです!」
こいつがいっている事は、治療をする者としてはただしいのだろうな。
けど俺は騎士だ!
大切な者のためならこの命を捨てる覚悟はできている。
「どいてくれ。」
「できません!」
「無理にでも通るぞ!」
「させません!」
2人で言い合いをしていると、
「こういう時の団長は頑固だから折れるしかないですよ。」
「ユーリテメーさっき俺に薬もっただろ!」
「おかげで少しは休めたでしょ。それより早く準備して向かいましょう。」
そうだな、今は起きた事の詮索より今起こっていることが優先だ。
「ユーリ、爆薬の在庫は?」
「?たくさんありますよ。」
「ありったけをあの魔獣に食わせてやるぞ。」
「!!そういう事ですか。了解しました。すぐに準備します。」
それから教会に残っていた騎士を集め爆薬をありったけ集め援軍として、ユーリの先導で作戦場所に向かった。
その場所は一言で言えば、地獄そのものだった。
あっちこっちに重傷者が転がっていた。
「全員無事か?」
怪我人たちに近づいて、安否の確認をしていく。
怪我のせいで気絶している者、動けない者がたくさんいた。
残念ながら事切れているものもいた。
なんとか動けないだけの者に話を聞いて、ここより奥で親父達が足止めをしていることがわかった。
「グアアア!」
奴の声が聞こえてきた。
「ユーリ、俺は先行する。」
「あっ!団長!」
ユーリが止めようとしてきたが、それより早く加速を使い声の場所に向かった。
「メアリー!危ない!」
しばらく進むと目の前に親父達が見えた。
メアリーさんは怪我をしたのか動けないでいた。
そこに魔獣は攻撃をしようとしていた。
俺は加速を二段階あげ、一気にメアリーさんの元へと向かい抱き上げて、攻撃範囲から離脱した。
「間に合ったか。」
「ガイルさんどうしてここに?」
メアリーさんを地面におき、質問には答えずに魔獣へと向かった。
「さて、リベンジマッチといこうぜ。」
「グアアア!」
魔獣は獲物を横取りされて不機嫌そうにこちらを向いた。
俺はさらに加速を一段階あげて魔獣に攻撃を仕掛ける。
「ギァァァァ!」
奴の左前脚を速度を落とさず斬りとばす。
魔獣は完全に油断していたためにたやすく斬れた。
なに単純な事である一定速度を超えれば、金属は摩擦で熱を持つその状態で斬ってやればいけると思っていた。
「ガイルなぜきた!それにそれを使い過ぎれば危険だぞ!」
親父が俺に気づいてそう叫んできた。
確かに俺の加速は、重ねて使い過ぎれば危ない。
けど今はそんな事を気にしている時じゃない!
それにもうじきユーリ達がつくだろうから、それまでの時間が稼げれればいい。
「まだまだいくぞ!」
俺はその場で完全に魔獣を足止めしていた。
「団長ようやく追いつきましたよって!なんか爆薬なくても倒しそうですね。」
「そんなわけないだろ。早く準備しろ。」
最初の一撃は決まったがそのあとは、魔獣は警戒して攻撃を避けるため傷を与えられてなかった。
「準備できましたよ。」
「よし!」
あとはこいつが吸い込むだけなんだがどうするか?
前の時は距離がある時に骨を飛ばしてきたから同じ状況にしてやれば上手くいくか。
俺は全員に指示をして、足止めをしていた親父達を回収して、魔獣と距離をとっていった。
魔獣は俺の予想通りに大きく息を吸い、
「ガァァァァ!」
ズドン!!
大きな音が聞こえ、団員が確認にいった。
「団長!成功です!爆発してました!」
成功の報告が聞こえてきた。
よし!脅威がなくなったので加速を解くと、
バキッ!グキ!
身体の中から骨が折れる音が聞こえてきた。
俺はなんとか痛みをこらえながら、
「これで後は撤収だな!ユーリ任せる!」
ユーリに後始末を任せて俺は、意識を失った。
この時から俺、アレス、ヘレナーレ、メアリー、ルードの5人に二つ名がついた。
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another side ???
ありえない!
私の最高傑作が倒されただと!
そんなことは起こってはいけないんだ!
なんなんだ彼奴らは、私の邪魔をするなんて許せない!
私は怒りに任せて手に持っていた玉を地面に叩きつけた。
するとその玉から黒い煙が出てきて私にまとわりついてきた。
「なんだ?なんだこれは?やめろ!あああああああ!」
どんどん身体の中に黒い煙が入ってくる。
どんどん私の意識が奪われていく。
「やめてくれ!私が・・わたしが・・・ワタシガ・・・・。」
やがて黒い煙が全て体内に入りきると、
「アハハハハ!サイコウノキブンデス!アテクシサイコウ!」