第5話決闘
One day side ガイル
「はあ、なんでこうなったんだ?」
「団長、それ私のセリフです!なんで私まで決闘やらされるんですか!」
「さあ?知らない。」
現在俺とユーリは、教会前にて突然現れた王国騎士団の2人に決闘を申し込まれた。
いったい何が原因でこうなったか、わからない。
「こちらは準備できています。」
あちらさんの女騎士、名前は確かメアリーだったかな?がそう言ってきた。
「で?どうすればいいんだ?」
「あなたは私と、お隣はアレスと一対一で決闘をしていただきます。何か不服がありますか?」
「いや別に俺1人でいいんだけど?」
「・・・・・ふざけてます?」
あれ?
なんか相手さんいきなり不機嫌になってしまった。
けどな女性相手ってなんかやりづらいんだよな。
仕方ないこれは速攻で決めちまうか。
「はあ、それでいいや。で?開始の合図はどうするんだ?」
「それは私がさせていただきます。」
ヘレナーレ王女様がそう言ってくれた。
まあ、親父も見ているし問題が起きない限り大丈夫だろ。
「捻じ曲がった根性を直ぐに叩き直してさしあげます。」
なんだろう?
メアリーさんが何をしたいのかわからない。
「双方構えてください。」
俺は自分の相棒の剣を構えて、固有スキルの加速を発動させる準備をする。
このスキルはあまり使うと反動で動けなくなるから、あまり使いたくないが仕方ない使って終わらせて早く寝たい。
俺は重心を落とし突撃態勢をとった。
「始め!」
その声と共に一気にメアリーさんに近づき背後に回り込み左上から右下に斬りかかる。
「!!」
メアリーさんはとっさに左に避けてかわした。
俺はそのまま、加速を利用して無理やり方向を変え左側に斬り抜く。
メアリーさんはそれを今度は倒れこむよににかわした。
俺はそのまま一旦距離をとった。
「さすがに奇襲は効かないか。正直びっくりしたよ。」
「・・・・こっちからいきます。」
メアリーさんは武器としてフレイルを取り出してきた。
うん、イメージと違ってとんでもない武器が出てきたよ。
「覚悟してください!」
フレイルが勢いよく振り下ろされてきた。
俺は右に避けるが、フレイルの鉄球が半円を描くように避けた方に向かってきた。
面倒なのでさらに一段階加速をして、一気にメアリーさんに接近して当身で攻撃した。
メアリーさんは想像していなかったのか、見事に直撃をしてそのまま意識を失って倒れそうになり、慌てて体を支えた。
「これは俺の勝ちでいいのか?」
「・・・・・はい。」
審判役のヘレナーレ王女様が少しぼうっとしていたが、直ぐに俺の勝ちを認めてくれた。
近くで戦っているはずのユーリの姿を探すと、少し離れたところで相手のアレスがボコボコになっていた。
まあ、ユーリも騎士団の副団長をするくらいだから、実力は俺よりやや下だがそこそこ強いからな。
「ユーリ楽勝だったみたいだな?」
「団長こそ、女性相手に酷いですよ?」
「いやいやこれでもかなり手加減した方だぞ?じゃなきゃさっき倒したグランドなんちゃらと、同じになっちまうからな!」
「団長。人と災害級の魔獣を同じに考えないでくださいよ!」
「いやこのメアリーさんはなかなか強いぞ!惜しい事にまだ固有スキルは使ってないしな。」
「団長の固有スキルの前だと何もかも無意味じゃないですか。」
相変わらずユーリは酷いな!
さすがに俺にも勝てない相手はいると思うぞ?
「あの?すみません。今グランドウルフを倒したと聞こえましたが?」
「うん?ああ、グランドウルフか!弱かったですよ?」
「いやいやそれ!団長だけですから!普通1人じゃ無理ですから!」
ユーリのその発言を聞いたからか、突然ヘレナーレ王女様が青い顔をして、
「すみません!私たちは勘違いをいたしてました。」
いきなり謝ってきた。
いやいや何をあやまってきてるんだ?
これは単なる決闘とは名ばかりの遊びだろうに。
そのあとは、また教会の中に戻り今の経緯をヘレナーレ王女様が説明してくれた。
ちなみに気絶している2人は教会の長椅子に寝かしておいた。
それにしても面白い勘違いがあったものだ。
確かにユーリが1人で災害級の討伐は無理と言っていたがこういう事だったのか!
「グランドウルフが討伐されていたのなら私たちは無駄足でしたね。」
ヘレナーレ王女様はガッカリしながら言ってきた。
「いえ無駄ではないですよ!たぶんまだいますから!」
「団長!それ勘でしょ!」
「何言ってる?俺の勘はよく当たるだろ?」
「まあ、そうですけど。」
俺とユーリの言い争いを見ていたヘレナーレ王女様は、いきなりクスリと笑うと、
「羨ましい関係ですね。しかし確かにこのまま王都に戻るのはアレなので、しばらくは協力してその勘があっているのか調べましょう?」
「いいですね!暇な時間はまた決闘をしたいし。」
「それについては2人が目覚めたら確かめてみますわ。」
それからは、どういう風に協力をしていくのかを細かく話し合っていった。