第9話狂気と選択
いきなり口調が変わって襲いかかってきたレジーナは、それまでの攻撃とは打って変わって一撃が強力なものになっていた。
「虫ケラが!くたばりやがれ!」
俺に鞭を振ってきた。
俺はその攻撃を避けていた。
突撃をされた最初こそ受け流そうとしたが、剣で受けた瞬間に耐えられず打ち飛ばされてしまった。
「ちょこちょこ目障りなんだよ!」
今度はルードさんへと鞭を振っていった。
ルードさんも剣で受けることはせず、とにかく避け続けていた。
「レイン、何かいい案ないか?これまずいな。」
「あんなの一撃貰ったら、一発アウトですよ!現に俺最初の一撃で腕がまだ痺れてますよ!」
「きさまら!コソコソしてんじゃねえよ!」
「うぉ!」
「ちょっ!」
レジーナが俺とルードさんにひたすら鞭を振ってきている。
その攻撃が外れるたびに、足場がボロボロになっていき避けづらくなっていった。
それでもレジーナに攻撃できる隙がないため、避け続けるしか方法がなかった。
「もう!ウザいんだよ!」
ルードさんに向けて鞭が振るわれた。
ルードさんはそれを回避しようとしたが、動けずに直撃をした。
「がぁ!」
「ルードさん!」
ルードさんの足に地面から鞭が絡みついていた。
レジーナを見ると片方の鞭が地面に刺さっていた。
「捕まえた!壊してあげるよ!!」
そう言うとレジーナはルードさんに向けて、すごい勢いで鞭を振るい始めた。
「ぐぅ!がはっ!」
「ほらほらもっと喚けよ虫ケラ!私を楽しませろよ!それくらいできるだろうがよ!」
俺はルードさんを助けるべくレジーナに攻撃を仕掛けるが、レジーナはこちらを見ることなく鞭によって攻撃をしてくる。
「てめぇは後回しだ!少し黙ってろ!」
もう一度仕掛けようとしたところを、地面から出てきた鞭に攻撃を食らった。
ルードさんの足にも鞭が絡みついているのに、今の一撃はどうなっているんだ?
なんとか意識を繋ぎとめて一撃について考えて見ると、そんな疑問がでてきたが今は考えている暇はない。
なんとかルードさんを助けないとヤバい。
すでにルードさんは、攻撃によってほとんど意識を失いかけている。
「なんだよ虫ケラ!もう壊れるのか?ああん!」
このままじゃ二人とも殺されてしまう!
そうしない為には、俺は自分の固有スキルを使うしかない。
あの世界での事が本当なら、俺の固有スキルは強力なはずだ!
今は固有スキルの反動を気にしている暇もないし、ここで使わなければ意味がない。
俺は決意をして、初めてこの双剣を使った時の感覚を思い出していく。
自然と手にした剣が光り始めていく。
「てめぇ何してるんだ?私を楽しませてくれるんだろうな?おい!」
ルードさんは完全に意識を失ってしまっているらしい。
レジーナは俺に向き直すと、ニヤリと笑いながら近づいてきた。
「ああ!楽しませてやるよ!」
俺は双剣を構えてレジーナに、攻撃を仕掛けていく。
「なんとかの一つ覚えか?なめてんのか?」
レジーナは、地面と正面から攻撃を仕掛けてくる、俺はそれを力を発動させた状態のクリムゾンで受ける。
まずは地面から俺の右足を、狙って絡み付こうとした鞭を地面ごと斬り裂いた。
レジーナは一瞬驚くも気にせず、また地面から鞭が飛び出してきた。
俺はその時にようやく理解した。
レジーナの固有スキルは、武器を操作するのは当たっていたが、正確には武器の性質を操作していたのだ。
だからこそ鞭が地面を突き刺したり、地面の中を移動して攻撃できたり、複数の場所に攻撃できていたんだな。
それさえ分かれば俺は、その固有スキルを使う事ができる。
「レジーナお前はここでおわりだ!」
「虫ケラが粋がるな!!」
俺は投げナイフを取り出しレジーナに投げつけた。
ただし性質をクリムゾンと同様に変えてだ。
「そんなもん効くか!」
鞭で叩き落とそうとして、投げナイフに触れた時にクリムゾンの能力が発動し鞭を破壊した。
「てめぇ何をしやがった?」
俺はそれに答えず、そのままレジーナに接近をしていく。
レジーナはもう片方の鞭で牽制しようとしたが、さっき斬り裂いたために、鞭は壊れていた。
「レジーナ!これで終わりだ!」
俺はレジーナの目の前に立ち、ダークネスで上から斬りつけた。
「がぁぁぁ!てめぇごときに!」
「レジーナあんたは・・・いや今更だな。」
「傷が!嘘だ!嫌だ、しに・・た・く・・・な・・・。」
レジーナはその場に倒れると、もう動く気配はなかった。
「これで村を襲った奴は後2人、それと獣人達の村を襲った1人と邪神の4人か・・・・がぁ!」
俺が後のことをかんがえていると、突然それがきた。
全身を引き裂かれるような痛みが走り、その場をのたうちまわったり、吐血をし続ける。
「ぐぅぅぅ!がぁぁぁ!」
それでも痛みは全然引かず、叫び声をあげてなんとか耐えようとしたが、引かない痛みにゆっくりと意識を手放していった。
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