第2話父の面影
シルフィーナへ向かう道中では、魔獣が時々出るものの訓練の成果もあり難なく倒すことができていたので、比較的安全な旅になっていた。
結局途中で宿に泊まることもなく、2日野宿をする事になったが、特にこれといったこともなく、シルフィーナの街を守る外壁へとたどり着くことができた。
「うわー、壁がボロボロっすね!」
「ギギ、声が大きいぞ!ルードさんにレインさんもうじき入り口につきますよ。」
ジェイドがそう声をかけてきた。
俺も街の外壁をみたが、所々に破壊された跡が残っていた。
確かにこれはギギほどではないが驚くな。
やがて街に入るための検問所にたどり着いた。
「そこの馬車すまないが、街に入るのに身分証明できるものを全員提示してくれ。」
「わかった。レインお前のも貸せ。」
ルードさんは自分のギルドカードと、俺のギルドカードを検問所の兵士に渡した。
「ふむ。なるほど他は奴隷だったか。して、この街には何の用だ?」
「それは、こいつらに教会でギルドカードを発行して貰おうと思ってな。」
「訳ありか?」
「そうだ。こいつらは村を襲われてしまい、ギルドカードなく奴隷になったからな。」
「なるほどな、すまない。こっちも見てわかるように、数日前に襲撃を受けていて少し街中がピリピリしてるから気をつけてくれ。」
「忠告感謝する。」
「しかしこう短時間で3つも襲われるなんてなんかの前触れかねっとすまない愚痴になってたな。」
「いや、気にしないでくれ。ところで中にはもうはいっていいのか?」
「ああ、構わない。すまないなひきとめちゃってな。それじゃ気をつけて。」
こうして検問所は問題なく通過できた。
しかしここでもまた新しい情報が手に入った。
襲われた場所は全部で3つといっていた。
それはジェイド達の故郷とシルフィーナは知っていたから、他にもう一箇所同じような場所があるということだ。
街での情報収集の目的が1つできた。
「なぁ!この匂いは!」
考え事をしていると、いきなりグレンが大声を出した。
「どうしたんだ?」
「あ!すみません。その村を襲った奴の匂いがしたもので。」
ルードさんが聞くと、グレンは怒りを堪える表情をしてそう答えた。
つまり今このシルフィーナには、彼らの村を襲い、ルードさんをも襲った人物がいるのか。
少々ややこしくなったな。
「グレン、気持ちはわかるが教会に先に行くぞ。」
「・・・・・・わかりました。」
ルードさんの言う通りだ。
何の準備をしていない状態で、もしもそいつを見つけ出せても、逆に襲われる危険性が高い。
それに村を滅ぼしたのに、シルフィーナを滅ぼしていないのには違和感がある。
しかしそうは言っても、仇を前に冷静にいるのは全員きついだろうから、単独行動をとらせないようにしないと危険かもしれないな。
後でルードさんには、相談をしておこう。
そんな事があったものの、今のところは何もなく目的の教会にたどり着いた。
「ようこそ冒険神の教会へ。とはいっても、襲撃を受けてしまい被害をうけてますが。」
教会の扉を開けると神父らしき人が出てきた。
「今日はどんなごよ・・う・で・!!君名前はなんという?」
神父はいきなり俺の肩を掴んで名前を聞いてきた。
なんだこの神父、異様に握力が強くて掴まれた肩がいたい。
「えーと、レインといいますが?」
「もしや、父親の名前はガイルではないか?」
「へ?あ、はい。そうですけど?」
「そうか、そうか!あいつ息子が生まれていたのか!いやー月日が経つのは早いな!」
どうやらこの人は父さんの事を知っているらしい。
そういえば父さんは、昔なんの仕事をしていたのか知らなかったな。
いつも「俺は世界一の草刈り達人だ!」とかいってたからな。
「おっと!すまないね少しはしゃぎすぎたな。後で話を聞くとして、何の用できたのかな?」
「そのこいつらにギルドカードを発行して欲しくて。」
「おや?なるほど何となく事情がわかった。少し待っていてくれ。」
神父はそう言い残して奥へと引っ込んでいった。
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another side 教会
今日は驚いた。
まさかガイル団長にそっくりな人物が来るとは思わなかった。
それにおそらく獣人達は、襲われた村の生き残りなのだろう。
不思議だな、獣人は本来仲間意識は強いが人族とはあまり相入れないのだが、何人かは信頼関係ができているみたいだった。
そういえばガイル団長もよく懐かれてたっけ?
まああの人はその頃には、王女の近衛騎士団の団長に首ったけだったからな。
おっと!
回想ばっかしてる場合じゃなかった。
ギルドカードの準備は余っているカードがあったので直ぐに準備できた。
これを渡してから大司教様に連絡を入れておくか。
大司教様は大喧嘩して、互いに連絡を取ってないらしいから、孫が生まれているの知らないだろうからな。
さて早速戻ってギルドカードをわたしていくとするかね。