第2話 日常
「あら、レインおはよう」
母さんは俺に何事もなかったような笑顔で話してきた。
俺はどうしても気になったので一応聞いてみることにした。
「母さん今父さんが物凄い勢いで飛んでいったけど!!」
「そんな事はどうでもいいの。それより今日は来年成人になるにつれてを教会で色々教わるんでしょ?」
父さん、そんな事で済まされちゃったよ。
まあ、母さんの言う通り、この世界では15歳で成人になる。
その時に教会で冒険神より“恩恵”というなのスキルが貰えるらしい。
それにあわせて教会では、常に居る神父様がその一年前から世界についての色々な知識や“恩恵”についてなどを教えてくれるんだが、まぁその教える神父が非常に個性的でつらい。
「レイン!聞いてるの?」
「ごめん母さん。ちょっと考え事してた。そうだよ。」
「もう!ちゃんと話を聞きなさい!それなら、もうじきリリーちゃんが迎えにくるわよね?」
「たぶんもうじきくるんじゃないかな。」
「ならはやくご飯たべちゃって。」
「わかった。」
リリーは村で唯一の同年代の幼馴染の女の子だ。
というのも俺とリリーぐらいしかこの村には子供がいないので、何をするのもいつも一緒だった。
「それはそうとレインは、いつになったらリリーちゃんにプロポーズするの?」
「ブフーーー!」
母さんのいきなりの不意打ちに飲みかけてたスープを吹き出してしまった。
「母さんいきなりなんだよ?」
「だってリリーちゃんみたいな可愛い子が、義娘になるなんて嬉しいじゃない。」
「いやいや、いきなりそんな事言われても。」
「大丈夫よレイン。向こうの親御さんには許可をもらってるから安心して!」
「いやいやどこに安心できる要素があるの?それにリリーの気持ちもあるし。」
「それならもう確認済みよ!」
「何で確認してるんだよ!!」
そういえば母さんには、こういう所もあったんだった。
俺が何かをする前に、先に周りを固めて逃げ道を塞ぐんだよな。
「そんなのまわりを固めちゃえば楽じゃない?」
「楽じゃないよ!俺の事なのに全然俺関係してないじゃん。」
「ふふふ、母さん孫がたのしみだわ。」
やっぱり!
いつも通りのパターンだよ!
もうこれ完全に外堀埋められてるじゃん。
まあ、俺自身リリーの事はどちらかと言えば好きだから嫌ではないんだけど、こういう事はタイミングがあるだろうに!
仕方ないなリリーに後で話すしかないか。
そんな事を考えていると、玄関から父さんが入ってきて
「父さんはレインの結婚をー。」
「あなたは黙ってなさい。」
父さん、外で盗み聞きしてたんだ。
というか、台所に入ってきた瞬間に母さんは予測をしていたみたいに、綺麗な右ストレートパンチが顔に入って、また回転しながらさっきと同じ窓から外に飛んでいったよ。