第3話確認
ふと目覚めると見慣れない天井が目に入ってきた。
どうやらあの不思議な空間からは無事に出れたようだ。
結局あの女性は何者だったのだろうか?
起き上がろうとすると全身に痛みが走った。
「ぐぅ!」
思わず声を上げてしまうと、
「目が覚めたかレイン。まだ起きなくていいぞ。」
声のする方を見るとそこにはルードさんがいた。
「ルードさん、ここは?」
「レイン何処まで覚えてる?」
「父さんと母さん、それに村人全員が殺され襲ってきた奴らが、逃げたところまで。」
「・・・・・そうか。じゃあその後から説明しよう。」
ルードさんは俺が倒れた後のことを教えてくれた。
俺を見つける前に村に寄ったが、やはり父さんも含めて生存者は1人もいなかったらしい。
その後ヘイブル方面に向かったら途中で俺と母さんを見つけたらしく、直ぐに近づいて生きているか確認してみると俺のみ生きていたから俺を連れてヘイブルのアド村に来たらしい。
「ルードさん、母さんの遺体は?」
「村のガイルの隣に置いてきた。本当なら埋葬までしてやりたかったが、その余裕があるかわからなかったからな。」
ルードさんは悔しそうに拳を握っていた。
確かにルードさんの言う通りだった。
奴らがいつ攻めてくるかわからないが以上時間はかけられないから仕方ない。
「それよりレイン。お前はこれからどうするんだ?」
「俺は・・・・・まず村を襲った奴らを探し出して目的を聞きたい。」
「・・・・・・復讐じゃなくてか?」
「はい。何故父さんや母さん、村の人達が死ななければいけなかったのか、ちゃんと訳を知っておきたいんだ。」
正直あの精神世界でのやり取りが、本当の事なのかを調べたいのが本音だが、その話をしてルードさんを巻き込む事に抵抗があったので、そんな風に目的を話した。
「そうか、ならしばらくは俺も一緒に行こう。」
「いいんですか?」
「ああ、お前が1人で旅をするには、まだ何もかもが経験不足だからな。それを教えながら旅するのも悪くない。・・・・・・それに約束もあるしな。」
「え!」
ルードさんの最後の言葉が聞こえなかった為聞き返すと、
「なんでもない、気にするな。」
そんな風にかえされてしまった。
そのまま話の話題は現状についてになった。
「まずは、レインの今の状態だな!今お前は外見上は問題ないが、内臓を痛めているらしく少し治療が必要だ。それに二人だけだとやはり旅がキツいから、仲間を増やさないとだな。」
「わかりましたけど、仲間を増やすってどうするんですか?」
「戦闘に関しては俺たちで大丈夫だが、問題は食事などの生活面だろ。まずレインお前は料理できるか?」
「無理ですね。基本的に家では母さんに任せてたから。」
「だろ!俺も旅では基本保存食ばかりだったから無理だ。ならばできる奴を手に入れるしかないだろ?」
「手に入れるってどうやってですか?」
料理をできる人を雇うとなると金が雇った日にちのぶんだけかかってしまう。
そうなれば今現状俺は金を持ってないので役に立たない。
するとルードさんは、
「現状料理をできる奴を雇うなんてできないから、奴隷を買って覚えさせるしかないな。」
「奴隷ですか。」
この世界には奴隷が存在している。
奴隷とは言っても、よくイメージされる程酷い扱いは受けていない。
中には元犯罪者の奴隷であれば、それ相応の扱いであるらしいのだが、基本的には奴隷となるものは、貧しいからと食いぶちを減らす為自ら進んでが多い。
そのために奴隷契約の際に、理不尽な暴力や虐待がされると奴隷から解放される仕組みになっているらしい。
「レインわかっているかもしれないが、旅の途中で別々になるかもしれない。そうなったら俺は大丈夫だが、お前はダメだろ?だから買っておくんだよ。」
耳が痛い、確かに俺は今まで母さんになんでも頼んでいたが、それらを俺ができるかと言うと、到底無理だ。
こんな時リリーがいればな、なんて考えてしまった。
「ルードさん所でお金あるんですか?」
「ああ、その心配はいらない。何人かなら買えるだけの用意はしてあるからな。」
さすがにルードさんはちゃんとお金を持っていた。
しかし奴隷を買うといってもここはヘイブルなので、魔族とか獣人になるのだろうな。
そうなると言葉とか通じるのかな?
「そうだ!レイン奴隷の契約者はお前だからな?」
「へ?なんでですか?」
「さっき言ったろ?別れた後お前について行くようにしないとだからな。だから後のこと、とくにリリーへの説明は頑張れ。」
これ程母さんの手伝いをしてこなかったことを、後悔したことはない。
くそー今からリリーへの言い訳を考えないと。
とりあえず準備をして奴隷商人の元に向かう事になった。