第2話残酷な願い
「本題?」
俺が聞き返すと女性は話を進めた。
「そうよ。ここからが私が貴方に教えておかなきゃいけない事なのよ。」
教えておかないといけないとは何のことだろうか?
俺が疑問に思っていると説明が始まった。
「教えなきゃいけない事は、貴方の固有スキルについてよ。まずは「反逆者」についてよ。これは貴方が敵と認識した時に、勝手に発動するわ。内容は存在する、すべての戦闘系固有スキルが使えるわ!これには使った時に反動は無いから安心してね。次に「武器錬成」ね!これ自体は貴方の為の武器を生み出すだけだから問題ないの。むしろできた武器が問題でね、クリムゾンは力を込める事でどんな物でも絶対に斬れるわ。ただし力を込める度に貴方の肉体にダメージがいくからここぞって時だけ力を込めるのよ。そしてもう一振りのダークネスは、力を込めると相手の体を傷つけず精神のみを斬れるわ。クリムゾン同様使う度に貴方の体から感覚が少しづつ無くなっていくから注意してね。」
そこまでいっきに説明をされた。
なかなか内容がきつい事があったな!
まず固有スキルは、特に問題ないんだな。
むしろ問題なのが俺が使った武器で力を込める=(武器の能力)を使うと、反動として肉体と感覚にダメージを負ってしまうということか。
これは武器を使わないようにしないといけないな。
使ってしまえば、あっという間にボロボロになって死んでしまう。
「そうそう!武器としてその二振りを使うぶんには大丈夫だから安心してね。これからも必要だから。」
これからも必要とは?
俺はこのままこの武器は使わないでおこうと考えていたんだけどな。
「さて、貴方はこれからどうするのかしら?」
「俺は・・・・・・村を襲ってきた奴らを探したい。」
「探しだしたらどうするの?」
正直どうしたいかはまだ考えていない。
村にした事の償いはさせたいが殺したい訳ではないから。
俺が黙っていると、
「もし迷っているようなら私から1つお願いがあるの。貴方の村を襲った者達は皆昔の人達なの。今の時代に生きているはずのない者達を、邪神が従えてるの。これは残酷なお願いになってしまうけれど、貴方のその剣の力で斬って終わらせてあげて。」
!!
剣の力で斬るって事は俺に彼等を止める為に命を使えって事か!
「そして邪神をも止めて欲しいの。」
邪神を止めるなんて俺には無理だ!
素直にそれを告げると、
「貴方が嫌でもきっと向こうからやってくるわ。貴方のその力は神殺しもできるのだから。」
神殺しさえもできてしまうなら反動も納得できるが、それでも邪神をうまく止められたとしても、そこで俺も死んでしまうかもしれないなら無理だ。
「それに貴方がしないなら、貴方の大切な人も殺されるわよ?」
そこでリリーを出してくるなんて卑怯だ!
今の俺にはリリーが必要だからお願いを聞くしかないじゃないか!
俺は女性に睨みながら言った。
「あなたは卑怯だ!俺に断れないようにして、邪神とぶつけようとするなんて。」
「もうこうするしかないのよ。私が・・・・・嫌貴方の言う通りよ。でもね邪神の一部でも復活した以上時間がないのよ。」
「はぁー。」
俺は深く息を吐くと仕方なく決意をする事にした。
「わかった、引き受けるよ。ただし条件がある。」
「条件?」
「そうだ!あなたが何者かはわからないが人の精神に入れるなら、リリーに邪神を止める件を説明してくれ。通信用の道具だと距離があると長く会話できないからね。」
「それは簡単よ。」
「それと俺の固有スキルも教えといて欲しい。ただし剣の反動は伏せておいてくれ。」
「・・・・・・わかったわ。」
これでよし!
俺の目標は邪神を止める事。
ならば今より力をつけなきゃだな。
「なあここからどう戻るんだ?」
「もう直ぐ勝手に戻るからあんしんしてね。」
その言葉通りしばらくして俺の体は光に包まれその場から消えていった。
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another side ???
目の前の彼が消えてから私は1人その場所で泣いていた。
なぜならば私は神でありながらあまりに無力だからだ。
彼には残酷なお願いをしなければいけなかった。
私は地上への干渉はダレスの件でできなくなってしまった。
唯一例外が“恩恵”で様々な力をランダムで与えるものだけだ。
その結果彼は唯一ダレスを止められる存在になり狙われる事になった。
さらに不幸な事に剣の力が彼を死に追いやるような反動を持ってしまった。
これも彼の固有スキルのせいかしら。
けれど今は見守るしかないのね。
私は彼との約束を果たす為にその場から姿を消した。
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