第7話逃走
何もかも突然だった。
「起きろレイン!」
父さんに体を揺すられてなんとか目が覚めた。
「あれ?父さんどうしたの?」
「リリーちゃんに連絡できるか?」
「いやもうしちゃったから暫く無理だよ。」
「そうかなら仕方ない。連絡は後でいいから急いでここから逃げる準備をするぞ!」
「へ?逃げる準備ってなんで?」
「説明してる暇がないんだ!とにかくじゅんびをしろ!」
父さんは俺にそれだけ言うと部屋を出ていってしまった。
いったい何だって逃げる必要があるんだよ?
ふと窓の外を見ると村の入り口の方が明るくなっていた。
何が起きているんだろうか?
俺は急いで外に出る支度をして父さん達のところに行った。
「レインきたな。」
「父さんいったい何があったの?」
「この村が襲われているんだ。居酒屋の店主が教えにきてくれた。」
「じゃあ父さん!俺たちも戦うんだね?」
「いやちがうよ。レインはまだちゃんとした武器がないから、お前は母さんと一緒にひとまず村から逃げるんだ!さっきも逃げる準備をしろと言っただろ。」
「父さん俺だって戦えるよ!」
「お前じゃ無理だ!魔獣とは戦った事があっても対人はないだろ?」
「できるよ!それにみんな戦ってるのに俺と母さんだけ逃げるなんてできないよ!」
「レイン!お前はまだ力が使えてないだろ!足手まといになるんだよ!」
「そんな事いったら父さんだってそうだろ!」
「俺は慣れてるからな。」
父さんはそう言って持っている剣を見せてきた。
俺だって剣術を教わっているから、その剣を見ればどれだけ使い慣れているのかぐらいはわかる。
父さんのそれはかなり使いこまれていた。
「いいかレイン、母さんと一緒に村の裏からアストラは今敵がいるから無理だからヘイブルを目指して行け。たどり着いた村でこの事を知らせるんだ!」
「なら父さんも一緒に行こうよ!」
「ははは、父さんも男だ!意地があるんだよ。」
「レインそこまでにしなさい。」
今まで黙っていた母さんが話に入ってきた。
「あなた、レインは任せて。何があっても無事に逃すわ!」
「メアリー頼むよ!俺もすぐに合流するからな。」
「わかってるわ。先に行って待ってるからね。」
「母さん何でそんな簡単に決めるんだよ!俺は残るよ!」
「レインいい加減にしなさい!」
母さんが俺に平手打ちをしてきた。
「レインこの村の人たちにとっては、あなたやリリーちゃんは宝なのよ!だからみんなあなた達を実の子供の様に接してくれてたの。今村を襲っている人たちは、私達だけじゃ危険だと思うから、私とあなたで救援を求めに行かなきゃいけないの!」
「でも母さん・・。」
「こう話している間も危険は迫ってるの!わかってレイン。」
「レイン!俺は別に役立たずだから逃げろと言っている訳じゃないぞ!逃げる道中魔獣がいるだろ?母さんだけだと危ないからお前を一緒に行かせるんだ。」
「父さん・・・・・わかったよ。」
正直全然納得はしていなかったが、母さんの言っていた事もわかるし、父さんの心配も理解できる。
なので無理矢理自分に言い聞かせ母さんと2人で村を後にする事にした。