第10話 トラウマ
「ライナ、それはどうしたんだ?」
「これですか?今日の夕食にって思いましてね。」
それにしても相変わらず大変そうだな。
そういえば、レンが野菜に合う肉が欲しいって言っていたな。
「そういえばライナ、レンが今日は新鮮な野菜がたくさん取れたからそれに合う肉が欲しいらしいよ。」
「あら?そうなると鶏肉だとあっさりしててダメですね。そうなると牛肉か豚肉になりますね。」
「そうなのか?それとギギ達が狩りに行ってるからそれなりに肉が増えると思うぞ。」
「そうだったの?それでもギギ達が狩ってくるのは燻製にして保存食に回せば大丈夫だから問題ありません。」
ああ、なるほどね!
確かに飼育されているものより、野生の動物の方が料理の際の手間がかかるから、燻製とかの保存食に回した方が楽なんだろうな。
「そうか、それならこれから新しい肉の選別をするのか?」
「そうですね。せっかくだからレインお兄さんも一緒にやりますか?」
「ああ、手伝うよ!」
「それなら覚悟しておいてくださいね?」
うん?
何を覚悟しておくのだろうか?
飼育してる動物が狂暴なんだろうか?
俺の考えは間違えていた事をこの後身をもって知る事になった。
「プギャー!」
「ギャワー!」
「ギャップー!」
「ほらほら、みんな慌てないの!」
今俺の目の前では、残酷な光景が広がっていた。
ライナが大きな鉈を片手に豚を選んで締めていた。
「あの?ライナさん?」
「なんですかレインお兄さん?」
「プギャー!」
話しかけると、ライナはちょうど一匹の豚を仕留めた。
てか、ライナさん片手に豚の生首をもって笑顔でこっちに話しかけてこないでよ!
物凄く怖いよ!
「その生首はどうするんでしょうか?」
「ああ、これですか?ほら、豚は全部食べられますから。意外と美味しいんですよこの顔の部分。」
ライナはそう言いながら、俺に生首をぐいぐい近づけてくる。
「わかったから!せめて料理後のものにしてくれ!」
「やっぱりレインお兄さんもダメでしょうか?全く狩りの上手いギギ以外男子は全員ダメなのね。全く情けないですよ。」
いやいや、どう言われてもそんな風に生首を近づけられたら誰でも逃げるから!
うん?
ちょっと待てよ!
「なあ、ひょっとしてリリー達は大丈夫だったのか?」
「はい、リリーお姉さん達は笑顔で手伝ってくれましたよ?」
なんていうか、うちの女性連中はみんなたくましいな。