第7話 家族
「ああ、これですよ!これを待っていたんですよ。これだけあれば、たくさん試作品が作れますし助かります。」
グレンはレドから大量の魔石を受けとると、目を輝かせて喜びながら何かの作業を始めた。
「なあ、グレン。」
「兄さん今は話しかけないでください!一刻も早く試作品を作りたいんで!ちょっと邪魔になるんで外に行ってください。」
俺が話しかけると、グレンは凄い勢いで俺とレドを建物の外へと押し出していった。
「はあ、あの状態のグレンに何を言っても無駄だよな。」
「そうだな。兄さんはこの後どうするんで?」
「そうだな、少し畑とかの様子でも見に行くかな。」
一応グレンには、注意をしておいたから目的は達成した事でいいだろう。
もっとも今は試作品作りに夢中になってしまったから、またしばらくは引きこもってしまうかもしれないけどな。
最悪は力技で連れ出せば問題ないだろうから大丈夫だろう。
そうなるとまた目的がなくなってしまったので、久々に畑の様子を見てみようと思った。
「たしか、畑ならレンがいて飼育場所にはライナがいるはず。」
「そうなのかレド?」
「ああ、レンは意外と植物好きだからな。それにライナは・・・歪んでるが生き物好きだから。」
レンとライナ。
2人とも狐の獣人なのに性格は見事に正反対なんだよな。
レンはコミニュケーションが苦手なのかあまり積極的に話すことはないがライナは逆でコミニュケーションはどちらかといえば積極的であった。
好みも違っていて、レンは野菜が好きな事もあり植物の世話とかが好きで、よく花の種を見つけてきては家で鉢に植えて育てている。
一方ライナは肉が好きであり、自分のぶんは自分で手に入れるっていうのが信念らしく、牛や豚といった動物の飼育や、珍しいものだと食べられる魔獣であるホーンラビットなども育て上げていた。
やはり肉にこだわりがあるだけあって飼育にたいしてもかなり細かく気を使っているみたいだ。
餌にしても色んなものを自分で探し出して、なんか配合して餌を作っているらしいからな。
だからといって、2人は仲が悪いって事もなくむしろ正反対のおかげかよく話している姿を見かける。
「なら、2人の顔もついでに見ておくよ。レドはどうするんだ?」
「・・・ギギと合流でもするさ。」
「狩りの手伝いでもするのか?」
「ああ、さすがにバルドがかわいそうだからな。」
そういえば、晩飯のおかずをレドにとられたから、自分のために狩りが下手なのに獲物を捕まえにいってしまったからな。
まあ、レドはなんだかんだ言いながらも家族思いなところがあるからな。
たぶん獲物を捕まえられないであろうバルドのためを思って行動するんだろう。
「わかった。それじゃあまた後でだな。」
「ああ、夕方には戻ると思う。」
そう告げるとレドは森に向かって歩いていった。
さてと俺も目的の畑と飼育小屋に行くとするか!