終話 帰村
ようやくレステアを巡る事件が生き残った邪神教の連中が捕まる事で収集がついた。
正直、今回の件では色々と考えさせられる事があった。
死なないという事にはいろんな見方ができるんだな。
俺の考えでは苦痛だけのような気がするんだけれど、邪神教の偉い連中みたいに自分の欲望を叶え続けられていいと考えていたり、レステアのように大切な人と何度でも出会いができると考える事もできるんだな。
まあ、不死ではない俺ではきっとその気持ちを理解する事ができないかも知れないけれど。
正教騎士団の人達を見送り俺たちも出発してからは、襲撃などもなく平和に村へと向かって進んでいた。
途中ではカウベルさんが俺の爺ちゃんがどれだけ凄いのかを、俺とロウ、それにレステアに物凄い勢いで説明をしてきて、ユーリさんに止められたりしていたし、他の騎士団の団員もそんな感じで話しかけたりしてきて止められていた。
そんな中、カウベルさんは一度だけレステアを呼び出していた事があった。
「あーと、そのなんて言うか。レステア、すまなかった!」
「カウベルさん?どうしたんですか?」
「始めの時のことだ。」
「始めの?ああ、あの事ですか?私は気にしていませんよ?」
「それでもちゃんと謝罪しておきたかったんだ。バイロンに上手く利用されたとはいえ、俺達も自分の意思で動いたからな。」
「そんなの気にしすぎですよ。」
「いや、ちゃんとしておきたかったんだ。レステア、俺達にして欲しい事はないか?」
「もう、真面目なんですね。それなら私と一緒に永遠に生きて欲しいと言ったらどうします?」
「それは無理だな。」
「ふふふ、そう答えると思いました。ごめんなさい、ちょっと試してみたかったの。レインさんだけが特殊なのかどうかをね。」
「レイン様とですか?」
「ふふふ、何ででしょうね。良い人達は皆不死になるのを嫌い、悪い人は不死になるのを望むなんてね。」
「・・・・・・」
「だからこそ私の願いはね・・・・・・。」
「・・・わかった。なるべく叶えられるようにしよう。けれど本当にそう言う事で良いのか?」
「ええ、それがいいわ。」
そんな会話をしていたらしい。
ただ、カウベルさんはレステアが何をお願いしたのかだけは、けっして教えてはくれなかった。
道中ではそんな事があったが、危険な事は起きる事なくやがて懐かしい村へとたどり着いた。
村の入り口では、俺の大切な家族達がみんな揃って待っていた。
一体どうやって俺たちが今日帰ってくる事がわかったのだろうか?
その事を疑問に思っていると、
「レイン君、私がサイアス様に連絡をとっておいたんだよ。」
ユーリさん曰く、教会には先の事件の後から全ての教会の建物に連絡がとれる道具を配置しているらしい。
そのおかげで、こういった事のやりとりが楽になったらしい。
俺は、そのうちグレンがそういった道具の改良版を作りだしそうな未来が一瞬頭をよぎった。
そうこうしているうちに、村の入り口にたどり着いた。
やっぱりこういった時の挨拶はこれしかないよな!
「みんなただいま。」