第28話 断罪
another side ユーリ
私はオーウェンが持っているものについて聞くと、
「ああ、これか?いやー、回復が面倒だったからとりあえずボコった。」
いやいや、ボコったぐらいでそうなるんなら苦労しなかっただろうな。
まったくカウベルといいオーウェンといい、なんで正教騎士団の連中は対人戦にこうも極端に強いのかな?
「まあ、それを見る限り団長も同じ感じだったんだろう?」
「その通りだよ、私達が合流するまで攻撃し続けていたよ。」
「だろうな、団長の悪い癖が出ると思ったよ。」
やっぱりオーウェンもカウベルの単純作業好きはしっているから、バイロンをひたすらボコボコにするのは予想できてたか。
まあ、結果的に2人とも敵を無力化できているのだからいいのだろうな。
そんなことを考えていると、
「ぐべぇ。」
「うお!」
私達の前に正教騎士団の装備をした人物が何人か飛んできた。
その全員が顔をボコボコにされているために元の顔がわからない状態だった。
「あー、スッキリした!っとオーウェンそっちも済んだのか?」
「おいおい、俺のぶんは取っておいてくれてないのか?」
「あははは!すっかり忘れていた。なんだったらそいつらをもう少しいたぶっていいぞ!」
「おっ!本当か?ならお言葉に甘えて話せるのが1人いればいいよな!」
カウベルとオーウェンは私達のことはそっちのけで、2人で勝手に団員に紛れていた者達の事について話している。
「おい、カウベル。」
「おう、悪いユーリ。援護に来てくれたのにすっかり荷物持ちさせちまったな。」
「いや、実質ロウ君が頑張ってくれただけで私じゃないから気にするな。」
「そうか?ならロウには後で剣技の稽古で返そう。」
「・・・お願いします。」
おや?
ロウ君はどうやらさっきの私とのやりとりで思う所でもあったのだろう。
カウベルの申し出をあっさりと受け取った。
まあ、正教騎士団の連中は約束通りに、レイン君の村にサイアス様に会いに行く許可をだすからかなり頻繁に会うだろうしね。
っとのんびりとしているけれど、もう時期レイン君とレステアちゃんの所に戻らないと心配するだろうな。
まあ、あの2人で少しは話し合った方がいいだろうから時間を作ったけど上手くいっただろうか?
レイン君はどうもレステアちゃんの不死について思う事があるのだろうけど、他の人がいては話し辛そうだったし、レステアちゃんはたぶんレイン君の事について興味を持ったのだろう。
私とロウ君がいない間に話ができて互いに納得できているといいんだけどな。
「ユーリさん、いい加減レインさんと合流しないとですよ。」
「ああ、ロウ君そうだね。しかしこれをどうやって運ぼうか?」
視線を向けるとそこには紛れ込んでいた者達に不思議なナイフで突き刺して遊んでいるオーウェンがいた。
「うん?ユーリ達もやるか?」
「いや、やらないよ。それよりそいつらどうやって運ぶんだ?」
「ああ、それなら団員に運ばせるから大丈夫だ。まあ、1人はみせしめで投げてくけどね。」
オーウェンはそういって合図をするとすぐに団員が集まってきて、紛れ込んでいた者達を1人を除いて担いでいった。
「団員やってくれ!」
「オーウェン任せろ!」
カウベルは残りの1人の首を掴むとおもむろに持ち上げ、
「ユーリ、レイン様はどこにおられる?」
指で方角を教えると、その方向めがけてその1人を投げ飛ばした。
それからはレイン君達に合流するまで、その1人はひたすら投げられては地面に叩きつけられるを繰り返し続けていた。