第26話 信頼とは
another side ロウ
俺は正直レインさん以外はまだ信用をしていない。
このユーリという人物のことも、全てをきっとレインさんには教えていないんだろうな。
「ロウ君。」
「なんですか?」
「君はいったい何者なんだい?」
そんな事を考えていたら、ユーリさんが話しかけてきた。
しかしいったいこの人は俺の何に気付いているのだろうか。
「何が聞きたいんですか?」
「私はね誰に頼まれたのか思い出せないんだけどねレイン君の事を見守っているんだよ。もし君がレイン君に害をなすなら私は事前に処分しておきたいんだよ。」
ユーリさんはいきなりこちらを向いて何かしら軽く手を振ってきた。
俺は嫌な予感がして急いで逃げようとしたが身体が動かなかった。
「いったい何が?」
「私はねレイン君ほど優しくないんだよ。一歩でも動けば身体がバラバラになるよ?」
どうやってユーリさんは、俺に仕掛けてきたんだろうか?
今動けないでいることがそうなんだろうか?
「私はただ知っておきたいんだよ。君はレイン君に何かしようとしていないのかい?」
「それは絶対にない。」
ユーリさんは俺を固定したまま俺の目を覗き込んできた。
やがて納得したのか突然動けるようになった。
「本当みたいだね。今は信じておくよ。」
「レインさんになんでそこまでできるんですか?」
「うん?さっき言ったはずだよ?頼まれたってね。」
「それにしては心配しすぎでは?」
「まあ、それはいろいろあるんだよ。それよりもいい加減正教騎士団に合流しないとだね。君はスパイではないみたいだからね。」
「疑っていたんですか?」
「あらゆる可能性は潰さないとね。」
しばらくすると変な笑い声が聞こえてきた。
「ああ、カウベルが変な趣味を出しているかな?」
「変な趣味ですか?」
「そう、私よりもさらに残酷だからね。」
話しながら笑い声が聞こえてきている方へと向かっていった。
しばらくすると笑いながら剣を振っているカウベルさんがいた。
「なあ、カウベル。何をやっているんですか?」
「おや?ユーリじゃないか、どうしたんだ?」
なんだろう。
この人もこんなタイプだったんだな。