第25話 単純作業
another side カウベル
不愉快だ!
実に不愉快だ!
目の前にいるバイロンにいいように使われたのがムカつく!
しまいにはウチの騎士団に上手い事スパイを入れられたなんて屈辱だ!
「おい、バイロン何か俺に言う事はないか?」
「なんですか?私は情報を教えてあげただけじゃないですか?」
「ほう?俺たちに嘘をついた事を反省してないと?」
「情報収集を怠ったあなた達の自業自得でしょう?だから私が完遂できるように手を貸してあげましたよ。」
「やはり貴様が紛れ込ませたのか!」
「そうですよ、感謝してほしいぐらいですよ。」
「クソ野郎だな!」
俺はバイロンに殴りかかった。
意外な事にバイロンは避けもせずに殴り飛んでいった。
そして地面に倒れるもすぐに起き上がって再び俺の所へ歩いてきた。
「無駄ですよ?私は巫女様のおかげで不死身ですからこの程度は直ぐに治ってしまいますよ?」
くそっ!
そうだった、こいつらは不死身になっているんだったな。
無駄だとわかっているが、バイロンと距離を一気に詰めて右腕を斬り飛ばす。
「無駄ですよ?」
直ぐにバイロンの腕が治っている。
右腕を斬り飛ばした方を見ると、そこには斬り飛ばしたはずの右腕は無くなっていた。
「どう言う事だ?」
いったいどういう理論で怪我の治癒をしているんだろうか?
治癒をする為にはてっきり斬り飛ばした腕を傷口とくっつけて治すのかと思ったが違うみたいだな。
「さてカウベルさん、いい加減どいてくれませんかね?」
しかしあれだな!
再生に欠損部が必要ないならこれはストレス発散に使えるな。
「おや?まだ無駄な事をするつもりですか?」
確かバイロンの恩恵は戦闘向きじゃないから、あまり一方的になるのは好きではないが仕方ないな。
「いい加減どい・・・あれ?」
俺はバイロンの頭を斬り飛ばした。
「無駄で。」
再び斬り飛ばす。
「だ。」
再び斬り飛ばす。
「ちょ!」
再び斬り飛ばす。
「や。」
再び斬り飛ばす。
「・・・」
ただひたすらバイロンの頭を斬り飛ばし続ける。
やべー、なんかテイションが上がってきたな!
たまにこんな単純作業が楽しく感じるんだよな。
どれぐらい時間が経ったのだろうか、俺は楽しく作業をしているがどうやらバイロンはなんだか目から光が消えているな。
「なあ、カウベル。何やっているんですか?」
「おや?ユーリじゃないか、どうしたんだ?」
なんか凄く呆れた顔のユーリが近くにいた。




