第24話 終結へ
「それにしてもみんな遅いわね。」
レステアは一通り話を終えると、俺にそういってきた。
俺としてはレステアがそんな風に考えて生きてきたことに正直驚いた。
何度も同じ魂を探し出すなんて本当にできるのだろうか?
後で爺ちゃんに聞いてみるのもいいかもしれない。
まあ、今はこの問題を片付けないとだな。
「ああ、そうだな。少し遅いかもしれないな。」
「ふふふ、そんなに気にしなくていいわよ。」
「いや、そんな事は・・・そうだな。」
俺自身は気にしているつもりはあまりないのだが、レステアからすれば少し態度に出ていたのかもしれない。
「私には今の距離でいいのよ。それよりどうする?」
「そうだな、もう少し待ってみよう。」
ユーリさん達のことだしきっとうまくやっているとは思うんだけれど。
「そう?それならもう少し待ってみましょう。」
「ああ、そうしよう。」
俺たちはもう少しここにとどまり、話をする事にした。
「ねぇ、レインさんの家族って今はどんな感じなの?」
「少し知ってる通り両親はみんなの記憶から消えてしまっているんだ。それに俺の剣の師匠にあたる人も。それ以外なら今の家族は婚約者と兄弟達がいるよ。」
「あら?ガイルの事は分かっているけど、あなたに家族がしかも婚約者がいるなんて予想外だったわ。」
「レステアには、俺がどう見えているんだよ。」
「いっていいのかしら?」
レステアは俺の質問に首を傾げながら逆に聞いてきた。
俺はなんだか聞かない方が良さそうな気がしたのですぐに首を横に振った。
「ふふふ、聞かなくて正解よ。ねぇ、レインさん。後であなたの家族を私に紹介してくれるかしら?」
「それは構わないけど急になんでだ?」
「だって、たぶんなのだけど私はこのままあなたの村に連れて行かれて、そこで暮らすんじゃないのかしら?」
そういえばユーリさんからは、そこら辺の具体的な話は村に頼むってことぐらいしか聞いていなかったな。
まあ、そういう事だからレステアの言っている事はあっているのかもしれないな。
「そうなると村に着いてからは急いで住む場所を作らないとだな。」
「あれ?レインさんは何か聞いているんじゃないの?」
「いや、まったく。あれよあれよと言う間に今の状況だったからね。」
「そうなの?それなら合流した後で聞いてみましょう。」
レステアとそんな話をしていると、ユーリさん達が向かった方から何かが飛んできた。
「うん?なんか飛んできたな。」
「レインさん、何かしら?」
俺たちは飛んできているものをじっとみていた。
最初は何か道具かと思ったが、やがてそれはどうも人間のようだ。
「ちょっ!」
「きゃっ!」
それは俺たちの前に落ちてきた。
服装を見るとどうやら正教騎士団のメンバーのようだった。
「何かあったのかしら?」
「うーん、どうだろうか?何かあったにしても1人だけこっちに飛んでこないだろう。」
俺たちは倒れている人物を見ながら、何が起きているのかを考えていた。
すると飛んできた方から今度はたくさんの人が現れた。
俺はすぐに警戒をしたが、
「いやー、ごめんレイン君。ちょっと飛んでっちゃったよ。」
ユーリさんが先頭で歩いてきた。
「ユーリさん、いったいこれはどうしたんですか?」
俺は倒れている人物を指差しながら訪ねた。
「ああ、そいつはうちの連中に紛れていたよそもんだよ。」
ユーリさんの隣にカウベルさんが寄ってきて俺の質問に答えてくれた。
「まったくそいつのおかげであぶない目に遭いそうだった。」
カウベルさんはそのまま俺たちの前に倒れている人物の近くまで来て、その人物を軽く蹴った。
「何があったんですか?」
「いやー、私とロウ君が援護にいったらなんか知らないけど仲間どうしで戦ってたんだよ。」
ユーリさんは、はじめにそう言うとゆっくりと何が起きたのかを説明していってくれた。