第23話 夢
ユーリさんとロウが正教騎士団の援護のために、俺とレステアから離れて行った後に俺たちは少し話をしていた。
「なあ、レステア。ちょっといいか?」
「何かしら?レインさん。」
「もしもの話なんだが・・・。」
俺はレステアに仮定の話をしていった。
それは先程の現象についてで、不死にした相手を自分の血で滅ぼせるなら自分に使おうと思わないのかというものだ。
それに対するレステアの返事は予想外のものだった。
「レインさん、あなたの考えは確かよ。私に使えばきっと私を殺せるわ。」
「!!ならそうしようとは思わなかったのか?」
「何度もあるわよ、正直試そうとしたことまであったわ。けれどそうはしなかったわ。」
「なぜだ?」
「ふふふ、こればっかりは私みたいに長く生きないと感覚的にわからないわよ?レインさん、あなたは不死になりたい?」
確かに俺にはレステアが辿ってきた道は全く想像できないな。
ただレステアの最後の質問に対する答えは決まっている。
「レステア、俺は不死にはならないよ。」
「ふふふ、やっぱりね。レインさん、あなたならそう答えると思っていたわ。ちなみに理由を聞いても?」
「ああ、簡単だよ。俺はきっと大切な人が死んでいくのを見るのに耐えられないからだよ。」
そうだ。
確かに不死であれば色々と良いことがあるかもしれない。
けどそれは逆に自分の大切な人達の死を看取っていくことになるのだ。
それを何度も繰り返す事は俺には耐えられないな。
「普通はそうなんでしょうね。けど私は違うのよ。」
「?レステア、さっきは俺にはわからないっていっていたよな?」
「そうね、少しだけ話してあげるわ。レインさんは私に不死にしてくれって言わなかったからね。」
レステアはゆっくりと話していってくれた。
「ねぇ、レインさん。人って死んだらどうなると思う?私はまた生まれ変わってくると考えているわ。」
人が死んだらどうなるのか?
今まで真剣に考えた事はなかったな。
一体死んだ後は普通どうなるんだろ?
俺の父さん達は消滅だったからわからないな。
「その様子だとわからないでしょ?私はねこう考えるの。きっとまた生まれ変わってくるのなら私はまたその人と同じ人を見つけてまた家族になって行こうって。」
「・・・・・・」
俺はどう返せば良いのかわからずに何も言えなかった。
レステアは俺に背を向けると、
「ねぇ、レインさん。何度でも同じ人に恋をして、愛して、そしてまた家族になれるって素敵だと思わない?私はねそんな風に生きて生きたいと思っているのよ。だからこそその可能性をなくしてしまう死を選べなかったの。」
そう言うと、すごく良い笑顔で振り向いてきた。
更新遅れてすみません!
なんとか体調が戻ったのでペースを戻せるように頑張ります。