第21話 狂気覚醒
another side ユーリ
時は少し戻り、レイン君達とわかれて教団のトップらしき男と対峙をしていた。
「一応聞いておくのだけれど、レステアちゃんを諦めるって考えはないのかい?」
「たかだか二桁しか生きていない若造が面白い冗談だな。我らの宗主様を迎えにきたのに何故そんな事をする必要がある?」
「まったく長生きすると脳まで硬くなっちまうのかな?」
うーん、ここで諦めてくれると私としては楽だったのにやっぱりダメか。
私はこの教団については、昔から色々調べていたし、大司教だったサイアス様からも大量の情報はもらっている。
自分でも何故こんなにこの教団について調べていたのかは実の所記憶が曖昧でもあるんだよな。
確か誰かからそれとなく頼まれていたような気がするのだけど誰だったかは思い出せない。
まあ、今回はそのおかげでなんとかここまでは途中で予想外があったものの、おおよそ計画通りに邪神教の連中を全員釣り出せたはずだ。
しかし、不死が7人もいたのはちょっと予想外だったが、正教騎士団というこれも予想外の戦力が加わったおかげでなんとかなった。
あとは私が教団のトップを仕留めるだけなんだが、私の恩恵は正直他者に見せるべきではない分類なので一対一に持ち込めたのは運が良かった。
ただ最後にもしもがあるかもしれないと、彼にしたのが先ほどの質問だった。
結果は残念ながら断られてしまった。
ならば思う存分使うことにしよう。
死ねない事の絶望を良く味あわせてあげよう。
「はあ、覚悟はいいですか?」
「はははは、それは貴様に聞くべきものだろ?」
さてと私は自分の恩恵の人に見せない方である狂気覚醒を発動させる。
するとすぐに私は別人格のように変わっていく。
ああ、全てを壊してしまいたい。
ああ、全てを崩してしまいたい。
ああ、形あるものをなくしてしまいたい。
私の思考は全てが破壊衝動へと持っていかれてしまう。
「ああ、いい玩具がいるじゃないか。」
「貴様なんだそれは?」
私は男を見ると何か言っているみたいだったが気にせず一気に右腕をむしり取った。
「ぎゃああああああ!」
男はその場に蹲っていた。
「なんだ?片方をむしったのが不満なのか?ならもう片方もしてあげよう。」
そういって男の頭を掴んで持ち上げ左腕も同じようにむしってやる。
「がああああああ!」
「うるせぇなあ!」
私は男を無造作に蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた男は両腕から煙が出ていて、それが収まると元に戻っていた。
むしって投げ捨てた腕を見るとそこには腕がなかったことから、どうやってかは不明だが腕がくっついたらしい。
これはずっと楽しめるじゃないか!
ああ、最高だ!
壊しても治る玩具なんて永遠に遊べるじゃねぇか!
そこからは私が正気に戻るまでの間は一方的な残虐が繰り返されていた。
男の腕を同じようにむしる。
男の腕が治る。
男の体を斬り刻む。
男の体が治る。
治ったそばから斬り刻む。
それから先もひたすら男は私に壊されそして治るをずっと続けていた。
何回繰り返した頃だったか、男は最初はなんとか抵抗しようとしていたが、どうやら精神がダメになってしまったらしく、ずっとごめんなさいやら死なせてくれやらを呟くだけになってしまった。
私が正気に戻って話しかけても、もはやまともな反応はなかった。
仕方なくその男を担いで戦闘中であるだろうレイン君かロウ君の援護をしようと移動をしていった。
まあ、意外な事に援護をするまでもなく2人とも相手を倒せていたようだけど、合流して私の相手を見てレイン君やロウ君、それにレステアちゃんまでドン引きしているのにはちょっとショックを受けた。