第19話 眷属化
「おやー、なるほど!あははは!あなたもやっぱり不死になりたかったのですか!そうともよくわかりますよ!死なないのならばどんな事だってできて楽しいですよ。罪を犯して捕まって処刑されたってまた生き返るのだからやりたい放題!実に楽しいですよ!・・・」
何を勘違いしているのか男はいきなり語り始めた。
しかも、話している内容は正直聞くに耐えられないものばかりだった。
けどそのおかげでよくわかった。
こいつらは別にレステアを人としてではなく、ただの不死生産の為の道具としてしか見ていないんだな。
しかも、こいつはレステアが死ねない事にどれだけ苦しんでいたのか理解していないし、永遠に理解する事はないんだろうな。
俺も覚悟は決まった。
こいつらは絶対に生かしておいてはいけない。
ここで、レステアが言った方法で完全に滅ぼすしかない。
俺はまだ1人で語り続けている男の脇腹を狙って攻撃を仕掛けた。
案の定、男は避ける動作を一切取らずに、何の抵抗もなくレステアの血の付いた剣を脇腹に受けた。
「うん?何のつもりだ?俺にそんなもの効かないのわかっているのに無駄な事を。」
男は脇腹に剣が刺さったままおれの肩を掴んできた。
「これで逃げられないな。さて俺たちに共感してもらえないようだから、お前にはここで死んでもらうよ。」
男は俺を殺す為に持っている剣で刺そうとしたが、
「あれ?おかしいな?なぜ腕が?」
剣を持っているはずの右腕は地面に落ちていた。
「えっ?何が?何故?どうして?貴様いったい何を?」
そうこうしているうちに、男の体はどんどん崩れて地面に落ちていっている。
「私の与える不死は、一種の眷属化みたいなものなのよ。」
今まで自ら剣を刺したため、傷口を抑えてうずくまっていたレステアが立ち上がって話してきた。
「レステア、大丈夫なのか?」
「レインさん、私は本物の不死よ。あんな傷すぐに治るわ。まあ、何度も体験したくはないのだけれど。っと!話の続きね。私の恩恵は2つなのよ1つは不死でもう1つは仲間を増やすみたいなものよ。」
「それが、何の関係が?」
崩れかけの男はギリギリで耐えていて質問をしてきた。
「さっしが悪いわね。眷属化できるなら逆ができるに決まっているじゃない。」
「!!そんな!私は・・あな・・・。」
男は最後まで言い切れずに完全に崩れてしまい、死体は砂に変わってしまった。
「私が悪かったのよね。」
「レステア?」
「私が無知ではじめのうちにこの力を使ってしまった為にこんな人達ができてしまったのよ。」
「・・・いや、そうじゃないと思うよ。」
「そんな事ないわ。私がしっかりとしていれば。」
「違うね。結局は力を手に入れた人次第だろ?どんな力だって悪にも善にもなるだろ?」
「・・・そうかしら?」
「俺はそうだと思うよ。それにレステアはダメだと思ったから今こうしてこいつを止めたんだろ。」
「そうじゃないわ。ただ私が原因だから何とかしようとしただけよ。」
「それだって立派な事だろ?現に自分が傷ついても相手を止めたわけだし。それでも悪いと思うなら、これからじゃないの?」
「・・・私に何ができるの?」
「知らないよ。そんなの自分で考えなよ。」
「言いたいことだけ言って、ひどい人ね。」
「だってレステアの抱える罪悪感はレステアのものだろう?」
「・・・そうね、私には時間が無限にあるからゆっくりと考えるわ。」
俺とレステアはそこで話し合いを終わりにして、他のメンバーに協力をしていく事にした。
「協力をするのはいいが、誰がどこにいるかわからないな。」
「そうね、みんなアッチコッチに敵を引きつけていってしまったものね。どうするの?」
「とりあえずは、直前にロウが向かった方向に行ってみるか?」
「それがいいわね。早速向かいましょ。」