第18話 解除の方法
「レステア様、すぐにお救いいたします。」
男は俺達に向かって一気に走って来た。
俺はすぐにレステアの前に立ち男を牽制した。
「なぜ邪魔をするんだ!」
「いや、レステアも嫌がってるだろ。」
「そんなわけない!レステア様は我々と一緒にいる方がいいに決まっているだろ。」
「レステアはどう?」
「絶対嫌よ。」
「何を言っているのですかレステア様。あなたは我々に不死を与えてくれる存在なんですよ!そうか!貴様らが洗脳をしたのだな!」
ああ、狂信者ってこんな感じに物事を自分の都合がいいように考えるんだな。
「貴様!覚悟しろ!」
ガキン!
男の攻撃はそんなに強くなく簡単に受け流せた。
なんだろうか?
この男の一撃はとんでもなく軽かった。
「くそ!これならどうだ!」
男は何度も剣を振り下ろしてきたが、どの一撃も強くなく、難なく受け止められた。
俺は不思議に思いながらも、返しで相手の腕の筋を斬りつけはじいた。
「ぐう、だが効かない!我が信仰の前には無意味だ!」
「!!ちっ!なんでだ?」
確かに筋を斬りつけたはずなのに、相手は普通に攻撃を仕掛けてくる。
「レインさん、これが不死の力よ。大抵の傷はすぐに治ってしまうのよ。」
「それが本当なら面倒だな。」
相手をいくら傷つけ戦闘不能を狙おうが、傷つけた側からすぐに回復されてしまっていたら意味がないな。
俺は一回男を思いっきり蹴り、距離をとってレステアと話し合うことにした。
「レステア、何かいい方法はないのか?」
「・・・あるわよ、ただ彼は消滅してしまうけど。」
「どういう事だ?」
「簡単に言えば、彼の不死の力をなくすことはできるの。ただその代わり彼が過ごしてきた時に比例して一気に歳をとってしまうのよ。私が最後に不死にした人でも最低数百年はたっているわ。」
つまり何らかの手段で不死にした人でも元に戻せるが、それはあくまでも数年だったらの事であまりに時間が経ってしまっていると、不死を解除するとそのまま死んでしまうのか。
「それに今までにした怪我も一気にくるのよ。」
それは、不死を解除するまでに大怪我をしていた場合、解除するとその怪我が体に現れるって事なのか?
「・・・それでもするべきだろうな。方法はどうやるんだ?」
「それは簡単よ、私の血を彼の体に入れるのよ。」
「それって、不死にする時にやった方法じゃないか?」
「ええ、ただ手段が違うのよ。不死にする時は私が自分で相手に血を飲ませるの。解除の時は私の血を他の人が相手の体内に入れるのよ。」
「・・・どういう事だ?」
「だからレインさん、私を剣で貫いて。」
レステアは俺の前に体を向けてそう言ってきた。
「いやいや、それじゃあレステアが危ないだろ。」
「レインさん、私は不死身よ。その程度では死なないわ。早く彼を倒して他の人の援護に行くべきよ。」
俺はレステアが不死身なのは理解していたが、それでも彼女を剣で傷つけるのには抵抗があった。
レステアはそんな俺の気持ちをわかったのか、突然俺の右腕を掴んで剣を自分の腹部へとさしてしまった。
「!!おい、レステア!」
「うう、大丈夫よ。これで準備はできたわ、後はこれで彼を斬ればいいだけよ。」
不死であってもやはり剣で刺されるのは痛いのだろう。
レステアは顔をしかめながら俺に言ってきた。
俺としてはこんな方法はしたくなかったんだけど、レステアが覚悟を決めて実行してしまった以上俺もしっかりと役目を果たさないとだな。