第16話 不死の執念
「あのー、あれ大丈夫なんですか?」
「うん?レステア君きっと大丈夫だよ。」
「ユーリさん、あれは絶対にダメですよ。てかグレンになんてもの作らせたんですか!」
「いやー、こんなに強力だとは思わなかったんだよ。しかし、これでも向かって来るなんて、これは相手にレステア君の力を貰った人間がいるのかな?」
俺たちは、ロウが正教騎士団に援軍として合流に向かった後、なるべく場所を移動しないで3人で身を隠していた。
そして現在は敵が俺たちの仕掛けた罠に面白いほど引っかかっていた。
「しかし、そんなに死なないっていうのは欲しいものなんですかね。」
「それは欲望の亡者どもはそうかもしれないが、他はそうでもないはずだぞ。」
「ユーリさんのいう通りよ。普通の人は知らず知らずのうちに死ねない事の恐ろしさを理解するものよ。」
レステアが自らの不死についてを俺たちに話しはじめた。
「不死身なんてそんなにいいものじゃないわよ。周りの親しい人が皆死んでいくのを看取る事になるわよ?親も兄弟姉妹も親友、それに愛する人もみんな自分を置いていなくなってしまう。普通の思考ならあっという間に壊れてしまうわ。まあ、壊れた結果が彼ら見たいな人よ。」
「けど、レステアは他者を不死にできるんだろ?しようとは思わなかったのか?」
「ないわね、そんなことをすれば周りの人が壊れていくのを見るようなものよ。前の時には好きと呼べる人はいなかったけどこれだけは言えるわ。」
「何を言えるんだ?」
「何事にも終わりがあるから美しいんだよ。」
「そういうものなのか?」
「そうよ。終わらないほどつまらない事はないわ。」
そういうものなのか?
けど確かにそうかもしれないな。
どんな事をしても死ねないなんて、ある意味究極の拷問だよな。
なぜ、アイリスはレステアにこの恩恵を与えたんだろうか?
「レインさん!大丈夫ですか?」
「おいおい、ユーリ。あの音はなんだよ。」
ちょうどその時、ロウと正教騎士団が俺達に合流をしてきた。
「ロウ、無事だったか!」
「大丈夫ですよ。心配しすぎですよ。」
「おう、そうだぜ。小僧のおかげでこうして合流できたんだ。」
どうやら、ロウとカウベルさんの間でも何かあったみたいだな。
2人とも互いを認めているみたいだし。
「それよりも、ユーリ今どうなっているんだ?」
「いやー、罠に見事に引っかかってくれてるんだよ。けど多分何人か不死がいそうだな。」
「面倒だな。そこの不死の嬢ちゃんはわからないのか?」
「私ですか?そうですねー、何人かした記憶がありますけど誰だったかは覚えていませんわ。すみません。」
「いやいや、それは構わないさ。サイアス様が決めた事に間違いはないからな。」
その時、爆発音がした方から何人かが姿を現した。
「ああ、レステア様。ようやく会えました。さあ、私達と一緒にこの世界を支配しましょう。さあ、さあ、さあ!」
やっぱり存在が不死の者がいたみたいだな。
現に今喋っている人物は、右上半身が爆発で吹き飛んでいた。