第11話 騎士団の在り方
俺達はレステアからなぜここにいたのかのみを簡単に話してもらった。
残念ながら父さんとの出会ったきっかけなどは教えてはくれなかった。
「それじゃあ結局教会の一部の人間が暴走した結果なんですか?」
「レイン君、恥ずかしながらそうなんだよね。昔の教会幹部が勝手にやり始めちゃったんだよ。今はすっかりその一派はいないもんだと思ったんだけど、残念ながらどうやらいまだにいたみたいなんだよ。」
「そして、俺たち正教騎士団がうまいこと使われちまったあげく、こんな奴まで仕掛けられてしまったんだな。」
「団長仕方ないっすよ、今回は俺たちも冷静じゃなかったからね。」
「そうだな。サイアス様がお決めになった事だからもちろん俺たちはユーリお前を支持するさ。最後までこの件では協力をするさ。」
「カウベル、助かるよ。」
「ただし、見返りに要求したい事がある!」
なにやらユーリさんと、正教騎士団団長との間で今回の件についてはなんとか協力体制ができたみたいだ。
ただなにやら団長のカウベルさんにはユーリさんに要求があるらしい。
「うーん、私にできる範囲でならなんとかするよ。」
「ならばぜひサイアス様のおられる村の常駐警備を我々正教騎士団にやらせてくれ!」
「いや、無理だ。」
「なぜだ!」
「カウベル、普通に考えてみてくれよ!今教会で有事に動けるのはお前達のところだけだろ!」
「ユーリがいた聖典騎士団があるだろ!」
「今あいつらはまとめ役がいないから無理なんだよ。」
「なら常駐警備がだめなら、週6でいいから!」
「ほとんどかわってないじゃん!」
「仕方ない、こちらが譲歩して週の半分でいいから行かせろ!」
「はあ、なんで正教騎士団はこうなんだろうな。わかったよ、ひとまずはそれでなんとかしてみるよ。」
「本当だな!後でやっぱり無理とかなしだぞ!」
「わかったわかった!という事になりそうだからレイン君なんとかしておいてくれ。」
最初の時から感じてたけど、正教騎士団団長のカウベルさんは俺の爺ちゃんにどんだけ執心しているんだろうか?
しかも話を聞いていた感じだと、他の団員も全員大小の違いがあってもほぼこんな感じなんだろうな。
そんなやりとりをしていると、
「随分とお気楽だな。」
レステアを襲おうとして拘束されていた人物が、意識が戻ったようで話しかけてきた。
「貴様誰の指示で来た。」
カウベルさんがその人物に尋ねるが、
「答えるわけないでしょ。それよりやはり教えの通りだ!不死の巫女様はやはり美しい!」
奴は俺たちを無視してただレステアだけをみていた。
「ああ、あなた様が私たちをさらなる高みに連れて行ってくださるのですね!安心してください、時期に我らの宗主が迎えに参られます。今しばらく辛抱してください。解放されましたら、私を再生してください。ではしばしの別れです。」
その人物はそれだけを言いきると、突然糸が切れたようにその場に倒れた。
「しまった!」
ユーリさんはすぐさまその人物の近くにいき、状態を調べ始めた。
「くそ!奥歯に毒を仕込んでいたのか!」
ユーリさんはそう告げてその人物を地面に横たえた。
「ユーリさん、こいつがさっき言っていたことは。」
「多分本当の事なんだろうね。全体が見えない以上今まで以上に用心しないとだね。」
今回はレステアを狙っている敵の全体が見えないまま、なんとか守り抜かなきゃいけないのか。
気を引き締めないといけないな。