第9話 邪神教
いきなり聞こえたロウとレステアの方へ俺たちが行くと、そこには正教騎士団の鎧を着た人物がロウに倒され拘束されていた。
「いったい何があった?」
「レインさんとユーリさんが戦っている時にいきなりこいつが襲ってきて、レステアさんに何かしようとしてきたので倒しました。」
ロウはそう答えると、正教騎士団であるカウベルとオーウェンの2人を睨みつけた。
「それはすまなかった。俺たちはそんな卑怯な手は使わないんだけどな。おい、オーウェンそいつの顔を見てくれ。」
「わかっているさ。すまないねちといいかい。」
オーウェンは、拘束されている人物の兜を外して素顔を確認すると、
「カウベル、こいつは誰だ?」
「うん?オーウェンお前の知らない奴なんてうちの連中にいるのか?」
「いないよ。こいつは少なくとも王都を出た時にはいなかったね。何処かでまぎれ込みやがったね。」
正教騎士団の2人はなんだかやばそうな事を話しているな。
今ここには俺たちと正教騎士団以外の第三者が混ざっているという事なんだろうか?
「おい、ユーリお前も確認してくれ。」
「わかった。」
カウベルとユーリさんもその人物の確認をするために素顔を見に行った。
「オーウェンの言う通りだな。うちの者じゃないな。」
「・・・なあ、カウベル今回の件は誰からか教えられたのか?」
「なんだいきなり?」
「どうなんだ?」
「ユーリの言う通りだ。教会のサイアス様に近い人物から教えられたんだよ。お前がサイアス様を追放し、不死者の力を独り占めする為に行動しているとな。」
「ちなみに名前は?」
「バイロンだ。」
「あいつか!なるほどな教会の内部にもいるんだな。」
なにやらユーリさんは気付いているみたいだが、いったいどういう事なんだろうか。
「おい、ユーリそんな事よりこいつは誰なんだ?」
「カウベル、お前利用されたぞ。」
「?どういう事だ?」
「オーウェンすまないが、そいつの左腕を見せてくれ。」
オーウェンはユーリさんの言葉に頷くと、拘束された人物の左腕を出した。
するとそこには赤い十字架に羽がついた変な刺青があった。
「こいつは!」
「なんだと!」
「やっぱりか!」
3人はその刺青をみてすごく反応しているけどどんな意味がこれにはあるのだろうか?
俺やロウ、レステアが意味がわからずにとまどっていると、
「ああ、レイン君たちすまないね。これはね、レステア君を神と勝手に崇めている面倒な連中のシンボルマークなんだよ。」
それを聞いたレステアはなにやら心当たりがあるのか、すごく嫌そうな顔をしている。
「レステア君すまないね。さすがにもういないとは思いつつ一応用心していたんだが、最悪な事に教会の内部に信者の1人が未だにいたらしい。」
「俺からも謝罪する。どうやら俺たち正教騎士団は奴らに上手い事使われてしまったみたいだ。」
「・・・気にしないでください。」
なんとなく今の会話から、ユーリさんが地下ではなしていた宗教の話と繋がっているのはわかったが、いったいどんな連中が今俺たちと敵対しているのだろうか?
「ユーリさん、いったい何が起きているんですか?」
「いや、それは。」
「・・・私が話しますよ。レインさん、ロウさん長くなりますが私の昔話を聞いてもらえますか?」
俺とロウが頷くとレステアはゆっくりと話しはじめた。