第8話 正教騎士団
「あー、もう来たのか。」
「当たり前だ!我々正教騎士団は貴様の大司教就任は認めていない!我々が忠誠を誓うのはサイアス様だけだ!」
「だから私はそのサイアス様に今の地位を押し付けられたんだよ。」
「そんな訳ないだろ!貴様が地位を奪いサイアス様を何処かに追放したんだろ!」
どういう事だろうか?
たしか爺ちゃんは、俺たち家族と一緒に暮らしたいからと役職をユーリさんに押し付けて来たんだよな?
「あー、レイン君。サイアス様は君に言った通りの理由で辞めたんだけど、いかんせん熱狂的な支持者がそれを認めてないんだよ。しまいには何処に行ったのかも伝えなかったからこんな感じなんだよ。」
俺が悩んでいるとユーリさんがそう説明をしてくれた。
なんだかんだ俺の爺ちゃんは凄かったんだな。
「それに、不死者の異端児を連れ出すなんて己の欲望に忠実だな。」
「いやいや、どっからそんな話になってるんだよ!」
「そこに直れ!この俺、正教騎士団団長カイベルが断罪してくれる!」
いきなりそう叫んで相手の騎士団団長が突っ込んできた。
俺はとっさにユーリさんの前に立ち、自分の武器を構えた。
「誰だ貴様は?邪魔だどけ!」
俺に対して大剣が振り下ろされてくる。
俺はその一撃を剣で横に受け流した。
「ほう?少しはやるみたいだな。」
「そっちはいきなりですね。」
「己の正義のためだからな。」
騎士団団長は俺にそう答えると、大剣にもかかわらず素早い動きで攻撃を仕掛けてくる。
俺はそれら全てをなんとか受け流す事で防いでいった。
「オーウェン!今だ!」
「わかっていますよ。」
騎士団団長が叫ぶと、タイミングがわかっていたようにもう1人がこちらに攻撃を仕掛けてきた。
「レイン君!」
その攻撃にはユーリさんがたいおうしてくれた。
「ありゃー、防がれちったか!団長失敗です。」
「報告はいいから、そいつを仕留めておけ!俺はこの小僧を倒しておく。」
「ほーい、了解!」
そのまま、俺と騎士団団長、ユーリさんとオーウェンという人との戦いになっていった。
「なかなかいい剣筋じゃないか!小僧そういえば名前はなんという。」
数十回の斬り合いの後で今更な質問を相手がしてきた。
「レインって言います。」
「・・・うん?レインだと?何処かで聞いたような?」
俺たちは斬り合いを続けながら会話をしていた。
相手はどうやら俺の名前に覚えがあるらしく、悩みながらも攻撃をしてきている。
「あっ!小僧、いや貴方様は!」
何か思い出したのだろうか、いきなり武器の構えをといて俺に対して跪いてきた。
「オーウェンやめろ!こちらはあの方の家族だ!」
「マジっすか!」
もう1人も俺にすぐに跪いてきた。
いったいどういう事だろうか?
「誠に失礼しました!まさかサイアス様の親族だと気付かず無礼をしました!」
2人していきなりどうしたんだ?
俺が疑問に思っていると、
「レイン君のおかげでようやくおさまったみたいだね。」
「ユーリさん、どういう事ですか?」
「彼らは熱狂的なサイアス様の信者なんだよ。だからこそサイアス様の家族の君も同じ対象なんだよ。」
「おい、ユーリ!この方がここにいるっていう事は今回の件は?」
「そうだよ、サイアス様の指示だよ。」
「そうであったか!これは大変失礼した。そうかサイアス様は今も我々に道を示してくれているのだな!」
えー、そんな事で納得できるものなのか?
「貴様ー!」
「きゃー!」
俺たちが話していると、いきなりロウの叫び声とレステアの悲鳴が聞こえてきた。