第7話 記憶
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不思議な扉の中で俺たちは、目の前にとにかく毛の塊が存在していた。
まあ、軽く20年ぐらいたっていて、その間外部とは一切接触していなかった以上こうなっていても不思議はないよな。
そんな事を考えていると、目の前の塊がゆっくりと動き始めた。
「うわっ!本当に生きてるんですか?」
「ロウ君、当たり前だよ。死ねないんだからね。」
ロウは、どうやら今回の件の事を信じていなかったんだな。
さすがに、これをみれば理解できただろうな。
「・・・誰ですか?」
その毛の塊から女性というよりも、女の子と思える声が聞こえた。
「私達は教会の人間だよ。」
「・・・教会の?・・・何の用ですか?」
「そうだねー。簡単にいえばここから出て普通に暮らさないかい?」
「ユーリさん、簡単に言い過ぎですよ!それじゃあ意味がわからないですよ。」
「そうかい?仕方ない、ちゃんと言うとここにいても暇だから外に出ないかい?」
あー、ユーリさんってそういえば説明もちゃんとしている時としていない時で落差が凄かったっけ?
「・・・別にここでいいです。」
「まあ、そんな事言わないで、気分転換をしようじゃないか!」
ユーリさんがそう言って近付こうとするが、
「・・・!!」
レステアと思われる毛の塊は、すぐさま距離をとってしまった。
「レイン君、僕には無理みたいだ。後は任せるよ。」
その反応にユーリさんは、大袈裟にそんな事をいって俺に役割を押し付けてきた。
「って!ユーリさん、何逃げてるんですか!」
「いや、ほら、私よりレイン君の方が懐かれそうじゃん!」
なんだか訳のわからない理由で任せられても、正直かなり迷惑なんだけどな。
「えーと、レステアさんだよね?」
「・・・そうです。」
「初めまして、俺はレインって言います。こっちはロウ。」
俺はロウも合わせて紹介をした。
「・・・レイン?」
「ああ、そうだよ。」
「・・・ガイル?」
!!
どういう事だ?
俺の両親とルードさんに関する記憶は、俺以外全ての人から消えているはずなのに、なぜレステアさんは知っているんだ?
「・・・知ってるよ。」
レステアさんはゆっくりと俺に近づいてきた。
そして俺の目の前に来ると、ゆっくりと俺の顔に両手をあてて顔を見てきた。
「・・・似ているね。・・・特に瞳がそっくり。」
「なんで?」
「・・・私には効かないから。・・・私は覚えているよ。」
俺とレステアさんの2人だけで話していると、
「レイン君、ガイルって知り合いなのかい?」
「はい、とても大切な人でした。」
「??そうなのかい?レステアとも知り合いだったんだね?」
「・・・恩人。」
ユーリさんが、やはり記憶にないためか父さんについてを聞いてきた。
やっぱり、覚悟しているといっても忘れられているのを実感すると、少し悲しくなるな。
「・・・レインにならついていく。」
「おや?本当かい?まじ助かるわ!」
「いやいや、ユーリさん全部俺に押し付ける気ですか?」
「いいじゃん!共通の知り合いがいるんだから!っと外に出る前に見出しを整えないとだね。」
それから、レステアの伸びに伸びてしまっていた髪をセミロングまで短く切ったり、服も全体的に古くなってしまっていたので、仕方なく俺の服を一着渡した。
レステアの身長がやや小さいため俺の服は大きいようで、上着がなんだかワンピースみたいな感じになっていた。
「よし!こんなところだろ。まあ、髪とかはこのままでいいだろうし、さっさとレイン君達の村に帰るとしようか!」
うーん、なんだろうか?
どことなくユーリさんが焦っているように感じるんだよな。
何か遅くなるとまずいのだろうか?
「ほら、みんな急いで行くよ!」
俺たちは、ユーリさんに促されて、地下から階段を登って地上へとでた。
すると、地上へとでた所で、
「やっぱり先手を打っていたなユーリ大司教もどき!我々正教騎士団は貴様の今回の行動は認めていないぞ!」
そういえば、騎士団がなんとかいっていたけど結局バレてるんじゃん!
それより、ユーリさん大司教もどきって言われてるし!