第6話 レステア
今、俺たちの前には不思議な扉があった。
何が不思議って、開けるための取っ手が一切付いていない。
かといって、横にスライドで動く気配すらなかった。
扉だとわかったのも、周りと色が違うから扉だとわかっただけだった。
「これってどうやって開けるんですか?」
「実は知らないんだよ。」
俺が聞くとユーリさんはそんな事をいってきた。
「それじゃあどうするんですか?」
「まあ、色々試すとして、開ける前に最後に話さないといけないことがあるんだよ。」
「まだ話してないことですか?」
「ああ、ここなら心配ないからね。」
ユーリさんは、俺とロウに今回の件について詳しく話してきた。
「まずはレステアについてを詳しく話さないとだね。彼女はねまず歳は不明だよ。少なくともわかってる限り100より上だね。それにここにいてから少なくとも20年ぐらいたってるんだよ。」
「そんなんで本当に生きているんですか?」
「完全に生きてるよ。」
「そうなんですか?不死者ってそんなに凄いんですか?」
「ロウ君はそういうのと出会うのは初めてなんだね。恩恵は絶対だよ。だから今もここの中で生きてるよ。」
「それほどなんですか!」
「そうなんだよ。っと少し本題からずれたね。だから彼女にはなるべく優しく接して欲しいんだ。」
それはそうだよな。
そんなに前から生きていて、しかもここには少なくとも20年も孤独でいたなんて考えるだけで俺ならゾッとする。
「もう1つは、正教騎士団だけどこれはレイン君がいれば問題ないから大丈夫だよ。」
「なんでですか?」
「会えばわかるよ。」
なんだろう。
あんなにユーリさんと爺ちゃんが話していた騎士団が簡単に片付くんだろうか?
「まあ、大問題なのが最後の件なんだよ。レイン君にロウ君、宗教ってどうできると思う?」
「うーん、それは神様がいてできるんじゃないですか?」
「レインさん、ユーリさんはきっとどうやって宗教ができるのか聞いてるんですよ。たぶん誰かが作りあげるんですよね?」
「そういう事だよ。まあ、人が大元を作るんだけど、それがまともな人であれば問題ないんだよ。象徴になるのもそれぞれちゃんとした神がモデルになるんだよ。ただ異常な場合は人をモデルにするんだよ。」
「どういう事なんですか?」
「まあ、簡単にいえば今回の件ではレステアがそれなんだよ。彼女は他人を不死にできてしまう。それは一部の人にとってはなんとしても欲しいものなんだよ。その結果のぞんでもいないのに彼女は崇拝の対象になってしまった。」
「つまり、今回はそういった連中が来ると?」
「確証がないけどたぶんね。」
なるほど、話していない事はこれだったんだな。
つまり騎士団じゃない連中が来るかもしれないのか!
しかもどんな連中で構成されているかもわからない。
「っともう時期開けないとだな。」
「どうやってですか?」
「ごめん、ごめん!実は知ってるんだよ。これは昔特殊な恩恵を持っていた人物が造った特殊な場所で鍵も特殊なんだよ。ほら!」
そう言ってユーリさんは不思議な扉に何かをかざすと扉はゆっくりと開いていった。
中を見ると、そこには・・・毛の塊があった。
「あー、そりゃ長い時間何もしなければこうなるか。」
そういえば、少なくとも20年は何もしてなかったんだっけ。