第5話 扉
「それにしてもユーリさん、総本山後に誰か人がいそうな場所ってなかったですよ。」
俺は馬車で目的地に向かっている途中で、ずっと思っていた疑問をユーリさんに聞いていた。
「ああ、そのことかい。場所が特殊だから気づかなかっただけだよ。」
「うーん、そうなんですか?」
「そうだよ、人って面白いから印象的な物があるとそっちに目がいってしまって、他のものが見えずらくなってしまうんだよ。」
「へー、そんな事あるんですか?」
「まあ、ぞくに言う木を隠すなら森の中みたいなもんだよ。」
俺とユーリさんがそんな会話をしていると、ロウが会話に入ってきた。
「すみません、これからいく場所には何があるんですか?」
「そういえば何も話さないまま、今回の件に参加になってたね。」
「恥ずかしながら、ただレインさんと一緒に村から出るくらいしか情報がないですね。」
俺はロウに今回の件について話していいか、ユーリさんの方を見るとユーリさんは頷いてきたので話すことにした。
「今回は教会の大司教であるユーリさんの依頼で、教会総本山後にいるとある人物と会うために行くんだよ。」
「とある人物って?」
「それは私が話そう。」
ユーリさんが俺の代わりにロウに簡単な説明をしていった。
ロウは話を聞きながらなんとか理解をしようと頑張っているようだった。
まあ、確かにいきなり不死の存在の話をされればこんな反応になるだろうな。
その後は目的地に着くまでに2つの村に寄ったりもした。
やっぱりロウには、どんなものも新鮮らしく村に着くたんびに色んなことを俺やユーリさんに質問をしてきた。
特に村の警備の連絡体制とかが気になったのか、勝手に聞きにいってしまったりとかの問題もあったがそれ以外は何事もなく順調に進んでいった。
そしていよいよ、教会総本山後にたどり着いた。
そこは、前の戦いの後が今も生々しく残っていた。
以前調べた場所などもそのままで、とてもじゃないが人がいる気配すらしなかった。
「えーと、確かこっちだったな。」
俺とロウは、ユーリさんの後をついていっているが、さっきからあっちいったりこっちいったりしているだけで、なかなか目的の場所につかない。
「いやー、見つからないね。」
なんだろう。
話してたから自信があるのかと思ったら、そんなことはなかったんだな。
それからしばらくは場所が見つからないために、教会総本山後の場所を隅々まで探していった。
「おお!ようやくあった!」
そこは城壁の一部だった。
確かに壁の模様と同じ模様のせいでよく見なければ全くわからなかった。
「さてと、準備はいいかい?」
「大丈夫ですよ。」
「同じく大丈夫です。」
「なら向かおうか。」
俺たちはその入り口の中へと入っていった。
入るとすぐに下へ降りる階段があり、それを降りて行くと少し進んだところに不思議な扉があった。