第3話 二つの騎士団
「不死者ですか?」
固有の恩恵が不死者って事は、単純に死なないって事なんだろうか?
そうだとしたらそれの何処が危険なんだろうか?
「そうだよ、ただ少し厄介でね。他者にその力を分ける事が出来てしまったんだよ。」
「ユーリさん、どういう事ですか?」
「簡単に言えば、他人にも自分と同じ不死者に出来てしまったんだよ。おかげで昔大変だったらしいよ。まあ、教会と言っても一枚岩じゃなかったって事だね。」
そういうものなんだろうか?
教会がどれぐらいの組織か知らない以上なんとも言えないな。
「ところで、それが今回の事にどう関わってくるんですか?」
「それはね、その子をこの村に頼もうと思ってね。」
「いやいや、ユーリさん!そんなペット拾ったんじゃないんですから、簡単に言わないでくださいよ。」
「レイン君、仕方ないんだよ。これ以上ほっとくとちょっとこっちに問題があるんだよ。」
「ユーリよ、正教騎士団か?」
「サイアスさん、その通りです。彼らが異端は断罪するべきだと騒ぎ始めたんですよ。」
「うん?爺ちゃん正教騎士団って?」
「教会が持っている戦力じゃな。ユーリがいた聖典騎士団が対魔獣用の部隊なら、正教騎士団は対人用の部隊に当たるんじゃ。」
「まあ、対人っていっても固有スキルの悪用をした者達対策だからそこまで表立って暴れたりしないんだけど、なんていうか信仰心が高すぎて厄介なんだよね。」
確かに誰しもが恩恵をいい事に使うだけでないのは仕方ない事だが、それを罰する部隊が教会にあるなんて知らなかったな。
「まあ、あの子をこのままにしておくと正教騎士団が何をするかわからないから先手を打っておこうと思ってね。私だけだと危険だからレイン君に頼みに来たんだよ。」
「確かにレインの固有スキルなら、問題ないじゃろうな。」
俺の固有スキル反逆者は今もあるが武器錬成はあの戦いが終わった時になくなってしまった。
まあ、武器が生み出せなくなっただけで、そんなに支障はなかったからいいがその代わり常に武器を携帯しなければいけなくなった。
「結局、教会総本山後には俺とユーリさんでいくんですか?」
「まあ、その予定だよ。正直私もあの子に直に会うのは初めてなんだよ。」
「確かに大勢でいきなりいったら、ダメじゃろうな。」
どうやらこれから会いに行こうとしている人物にはユーリさんも爺ちゃんも直接会った事がないらしい。
その為どんな姿をしているのかまったく知らないらしい。
「ところで名前はなんていうんですか?」
「確かレステアって言ったはずだよ。」
「女性ですか?」
「・・・・・たぶん。」
「なんですか?その間は!」
「レイン、記録を読む限りかなり年上なんじゃよ。」
「いくつぐらいなんですか?」
「レイン、女性の年齢は知らない方がいいぞい。」
なぜか2人ともすごく微妙な顔つきをしている。
一体何歳なんだろうか?
「まあ、リリーちゃん達の許可はもらったから安心して向かおうじゃないか!」
「えっ!俺の意見は聞かないんですか?」
「まあ、詳しい事は先に話したら心配ないとわかってくれて荷物も準備してくれたよ!」
ユーリさんはそういって俺の荷物らしき物を指差した。
俺はすぐにそれの中を見ると本当に旅の準備がされていた。
「理解のある奥さんで羨ましいよ。」