第12話全てを賭けて
俺は?
そうか!
戻ってきたんだな。
ならばやる事は1つだけだ。
後はどうなるかは、わからないが大切な何かを守るために邪神を倒して終わらせよう。
俺は決意とともにゆっくりと起き上がった。
邪神はどうやら俺は死んだものと思って、何か別な事をしているみたいだったが俺の気配に気づいたのがこっちを見た。
「これは驚いたな!まだ死んでいなかったのか。」
「あいにくまだ死ねないみたいだよ。お前を倒すまではね。」
「あははは、面白い冗談だ!ほっといていても死ぬだろうが、とどめをさしてほしいのか?」
俺の両手には、刃が折れてしまった双剣の柄の部分が握られている。
それを俺の固有スキルで新しく1つの剣のイメージをうかべて創り出す。
「なんのつもりだ?」
邪神の言葉を無視して、ただ剣を創り出すのに集中をしていく。
やがて俺の目の前に禍々しいオーラを纏った剣が現れた。
「貴様まさか!」
俺はその剣を掴み鞘から抜き放つ。
ああ、これはそういう剣なのか!
確かに今の目的には合っているな。
これならば邪神を倒しきれる!
「お前の想像通りだよ。これは魔剣だよ。魔剣ダーインスレイブだよ。」
魔剣ダーインスレイブ、魔剣の名を冠している通り恐ろしい力を持っている。
この剣は1度鞘から剣を抜いてしまうと、生き血を浴びるまではけして鞘には収まらない。
さらにこの剣で負った傷は、どんな事をしようと絶対に治らない。
俺の双剣は、この剣を物理破壊の力と精神破壊の力にわけてその威力を抑えていたんだな。
なによりこの剣の厄介な所は、反動だろうな。
今持っているだけでもかなり精神にきている。
なぜかわからないがただ破壊をしたくてたまらない。
これは早く決着をつけて鞘に収めないとだな。
「なぜだ!なぜそこまでできるんだ!」
「命をかけても守りたいものがある。だからこそできるんだよ。」
「理解できん!私には理解できん!器もう終わらせてやる!」
「そうだな邪神、終わらせよう。」
俺と邪神は互いに相手へと斬りかかっていった。
ガキン!
「くっ!器地上の虫けらになぜそこまでこだわる!」
ガキン!
「お前は言っていたよな!人類は愚かだと昔から変わっていないと!」
「ああ、現に今も変わっていない!」
「それはお前がちゃんと見ていないからだ!人類は昔から変わっているよ!」
「何?そんなわけないだろ!」
「お前は自分達が生み出してから変わっていないなら今こんな事してないだろ!」
「なっ!」
「確かに人類は戦争をしたんだろう。それに今もやっているのかもしれない!けど人類はいつまでも同じ事を繰り返してはいない!」
「戯言を!人類は相手が理解できなければすぐに争い合うだろ!」
「確かにそうかもしれない!けど必ずその後には和解の道を探している!」
「それはごく一部に過ぎない!」
「お前の意見もそうだろ!争いは目に入りやすい、だからこそ目立つんだよ!けどもう一度その目で全体をしっかりみろ!」
「!!器ごときが知ったような口を!」
「お前は結局自分の作り出したものが、自分の手を離れていくのが嫌だっただけだろ!」
「そんなはずない!」
「いい加減子離れしろ!人類はもう神の手助けが必要な子供じゃないんだよ!」
「なっ!」
俺は話しながら斬り合いを続けていたが、俺の言葉に邪神が隙を作った。
すかさずに、ダーインスレイブの力を使い最後の攻撃を仕掛ける!
「うおおおお!」
俺は左下から右上へと剣を斬りあげる。
邪神はそれを持っている剣で防ごうとしたが、今度はダーインスレイブの力を使っているおかげもあり相手の剣を破壊した。
「あっ!」
「これで最後だ!」
俺はすぐに剣を邪神の心臓をめがけて突き出す。
剣は邪神の心臓を貫き背中から突き出た。
「ぐはっ!」
「はあ、はあ、どうだ!」
「私がこんな所で終わるなどあってはならない。」
邪神が何かをしようとしていたので、俺はすかさず剣を引き抜き邪神と距離をとった。
「なぜだ、どこで間違えた。私はただこの世界を良くしようとしただけなのに!」
「それが迷惑だって事だよ!」
「・・・ああ、・・・そう・か、・・さい・・しょ・・・から・・・のか。」
「そうだよお前のそれはありがた迷惑だよ。」
「・・・・ふはははは、最後に・・・気付く・・・とはな。」
「気づけたならいいんじゃないか?」
「そう・・・だ・な、・・・・ありがとう。」
俺は剣を鞘に収めた。
次の瞬間、俺は体から突然力が抜けてその場に倒れた。
「はあ、限界か。」
俺がそう呟くと、
「器、主人の事はありがとうございます。なんとか地上に戻すのが間に合いそうです。」
1人の男性が俺に言ってきた。
たぶん話の感じから俺は知っているみたいだが、ダメだもうほとんど思い出せない。
なぜこうなっているのかも、もうほとんど忘れてしまっているみたいだ。
「器、貴方だけを地上に送ります。」
男性はそういうと、俺の体の下がなんか光だしその明るさに目を閉じた。