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Rebellion Cord 〜黄昏の彼方へ〜  作者: shun
十章 黄昏の彼方へ
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第9話水と油


俺は今敵の邪神ダレスによって地上の様子を見させられていた。


「なあ器よ、実に愚かだと思わないか?」


「これのどこが愚かなんだ!」


地上では、こいつの生み出した虚像をみんなが必死に足留めをしていた。

とくに、やはりと言うべきか、父さんと母さんを相手にしているヘレンさんとアレスさんが一番激しい戦闘になっていた。


「器は理解していないみたいだな?この世界は私とアイリスが生み出した実験場なのだよ?実験が失敗だったら掃除をするべきだろ?」


「お前は何を行っているんだ?」


「なんだ器はアイリスからそこら辺を聞いていないみたいだな。さすが消耗品に選ばれただけあるな。」


こいつはさっきから何を言っているんだ?

しかも俺を消耗品とか言いやがってムカつくな!


「器よ、考えたことないか?今の貴様の状況はなぜ起きているのか?答えはお前にそんな恩恵を与えたやつのせいなんだよ!」


それは、一度は考えた事はあるさ。

けれど結局今の生き方を選んだのは、強制されたのではなく自分の意思だ!


「器、お前は憎くないか?壊したくないか?滅ぼしたくないか?」


「そんな事は思わないね!」


「なぜだ?お前だけが常に犠牲を払い生きている世界が大事か?」


ああ、こいつはきっと自分の孤独に気づかずに今までいきてきたのだろう。

だからこそ、他人がどうでもよく失敗の責任も自分ではなく、その結果を作った者達のせいにして、全てをなかった事にしようとしているんだな。


「答えろ器!貴様はどうして私の言葉に頷かない?そんなにこの虫けら共が大事か!」


「お前にはわからないだろうよ。結局お前は子供なんだよ!」


「なんだと!」


「ああ、わかったよ。お前がこんな事をしているのも結局はワガママなんだろ!自分の思い通りにならないから癇癪を起こしているガキなんだよ!」


「器、貴様こいつらの本性を見てないからそう言える。こいつらはいつもくだらない事で戦争をしていた。やれ食料がないから、やれ土地がないから、しまいにはただ相手が理解できないからと。そんな醜い奴らを貴様は助けると言うのか?」


確かに人は、昔はそんな事で戦争をして来たのかもしれない。

けれど人は成長することができる生き物だ!


「お前は今の人達をちゃんと見て来たのか!」


「器、そんな価値はない。どんなにがんばってもこいつらは結局繰り返した。だからこそ粛清が必要なんだ!そしてそれを黙認しているアイリスも同罪だ。」


こいつは、ダメだな。

固定観念に囚われて、そこから抜け出せないんだな。

そして、その手を血で染めてしまった以上説得も意味がないんだな。


まったく元神だろうに、なんでこんなに頭が硬いんだろうな。

こいつをほっておいたら害悪になるしかないか。

やはり、ここで倒すしかないんだな。


「はは、面白い。器よ、戦うつもりか?私のこの肉体は器の代わりのやつのものだぞ?」


「どうせもう元の魂はないんだろ?」


「さて、それはどうだろうな。しかし器も愚かだったか。私が遠回しに勧誘してやったのに断るなんてな。」


「黙れ!」


「なんだ、ここまで来た褒美に一緒に地上が滅びるのを眺めさせてやろうとしたのに、それより早く死にたがるなんてな。」


やはりこいつは、すでに狂っているんだな。

俺は双剣を創り出して両手に構えた。


「ほう?それがそうだったんだな。しかし愚かだな、力を使うたび自分を死に近づけるなんてな。」


邪神ダレスはゆっくりと俺と対峙をしてくる。


「まったく私には理解できないね。あんなもののどこに価値があるのやら。」


「一生理解できないよ。お前にはな!」


「したくもない。まあ、もう飽きたから死ね。」


邪神ダレスが手のひらをこちらにむけた。

俺は嫌な予感がして、とっさにその場所から横に跳んだ。


次の瞬間には俺のいた場所が爆発した。

いったい何をしたんだ?


「ほう?少しは楽しめそうだな。ほら踊れ。」


邪神ダレスが指をさした場所が次々と爆発をしていく。

俺はそれをかわすのがやっとで、敵の近くに行くことができない。


「なんだ?色々言っておきながらこんなざまか?正直拍子抜けだな。」


くそ!

やつのスキルは虚像作成じゃないのかよ!

こんな指差した場所を破壊できるスキルだと、どうやって戦えばいいのかまったくわからないぞ!


スキルである以上は反動があるだろうけど、こうもずっと続けてやられると消耗戦で最終的には俺は負けてしまうだろう。


しかし、こんだけ爆発が起きれば相手も被害があってもいいと思うのに、奴は全然ダメージを負っていないよな。


うん?

待てよ、奴がスキルを使っているのは、奴から離れた場所のみで近くはないよな?


たんに俺が近づけていないだけかもしれないが、このままじゃどうしようもない一か八かに賭けてみるか!


次の瞬間、俺は邪神に向かって一気に間合いを詰めていった。

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