第7話仇達
another side レド
俺とユフィーは、一度倒したはずのイワンの虚像と対峙している。
「まさかもう一度、こうするなんてな。」
「そうですわね。不思議な感覚ですわ。」
イワン、かつて俺たちの住んでいた村を滅ぼした男だった。
しかしヘイブルの戦いで真実を知り、最後はサシでの決闘をし倒した。
彼は結局邪神にいいように使われていただけだった。
解放された後は、騎士としての誇りを持ったまま死にたいと願うほどだった。
「彼はこんな風に扱われるべきではない。」
「それには私も賛成ですわ。」
ユフィーもイワンにはいろいろあるだろうが、虚像として操られることには怒っているようだ。
俺としては、このイワンの虚像とはもう一度サシで戦ってみたい。
そのことをユフィーに伝えると、
「そういうと思いましたわ。いいですわ、思う存分納得するまでどうぞ。」
そういってまわりの魔獣の殲滅へと向かってくれた。
「さて、あの時の続きといこう。」
俺は自分の剣と盾を取り出して臨戦態勢へと入っていった。
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another side レン
「こいつの相手か。」
私は正直あまりやる気はなかった。
というのもどんな事にも深入りはしないが、私のルールで今の事にもそれは言える。
「不気味。」
私の相手は、ボロンの虚像らしい。
戦い方はみんなが言っていたので知っている。
なんでも体をバラバラにして攻撃をしてくるらしい。
私の固有スキルと相性がいいようだ。
私の固有スキルは収束で私が指示した物を一箇所に圧縮できる。
例えどんなに相手がバラバラになったとしても、この力さえあれば簡単に集めて倒せるだろう。
しかし、今回は相手は本物ではなく偽物の虚像、倒し続けなくてはいけなくなるだろうな。
「まあ、みんなも頑張っているだろうし、私も頑張るか、」
私は自分の武器である棒を取り出して、虚像へと攻撃を開始した。
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another side ギギ
ヤバイっす!
ピンチっす!
なんなんだ今目の前にいる虚像は派手に動き回っているっす!
しかもこいつに関する情報がまったくないっす!
ただレインさんの村の襲撃の時に倒したって情報しかなかったっす!
「なんかハズレ引いちゃったっすよ。」
どう戦えばいいのだろうか?
観察をする時間があれば御の字っすよ。
最悪ピンチになったら固有スキルの獣化を解放すれば余裕で倒せるはずっす!
「しかしさっきから一歩も動いてくれないっすね。仕掛けてくれないとどうしようもないっすよ。」
なかなか計画どおりには事が進まないっすよ。
なるべく早めに何か方法を見つけて無力化するはずなんすけど、このままじゃいつまでたっても他のみんなの助けに行けないっすよ!
俺の気持ちが相手に通じたのか、しばらくするとゆっくりだが、俺のいる方へとゆっくりと虚像が歩き始めた。