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Rebellion Cord 〜黄昏の彼方へ〜  作者: shun
九章 アストラ王城決戦
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終話狂気


another side 闇


「ふふふふ、あはははは!」


「主人、どうしましたか?」


「してやられたよ。アイリスの奴め思い切った事をしてくれた。私の計画が台無しじゃないか!」


「いったい何がありましたか?」


「あの女、私のカケラを消し去りやがった!私が地上に降臨して全てを破壊するはずだったのに、全部台無しじゃないか!」


「それは、つまり。」


「そうだよ。ここから出れない。だが私の力は使える。虚像作成(ホロウメーカー)で地上を破壊してやる。」


「主人、あの2人は?」


「消されたみたいだよ。全く忌々しい器だ。さっさと殺しておくべきだった。」


なぜ、主人はここまで器に思い入れているのだろうか?

そんな事さえしなければ、きっと全て上手く行っていたはずだ。


「さてどうやって全てを破壊しつくしてやろうか!やっぱり圧倒的力で潰すべきだな!」


もはや主人はすっかり変容してしまっている。

かつて、私達が忠誠を誓ったあの頃の姿はなく、破壊にただ執着する残念なものに成り下がってしまっている。


あの頃が懐かしいな。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


One day side ライケル


何故だ!

何故、こんなことになってしまったんだ!


私の目の前には、絶望が広がっていた。

私が少し街を離れている間に、どうやら盗賊が街を襲ったらしく、私が使えていた主人、主人の家族、私の妻、息子、娘、同僚、中のよかった街の人々、全てが虐殺され火を放たれていた。


私の目の前には、ただ燃え盛る炎と燃えて一部炭になっている死体しかない。


どうしてこんな事になっているんだ?

盗賊ごときに遅れをとるような戦力ではなかったはずなのに!

何故こんな事になってしまったのだ?


「おや、旦那。生きていたんですかい?」


声の方を振り向くと、そこには私と同じ主人に護衛として使えていた人物がいた。


「いったいこれはどういう事なんだ?」


「旦那、そんなのわかりきってるじゃないですか!」


そいつは私の疑問にそう答えると、私に近づき抱きつくと、脇に鋭い痛みが走った。


「なっ!」


そこを手で触れると、真っ赤に手が染まった。


「旦那、俺はねもともとこれが目的だったんだよ!あいつはお人好しで簡単に騙せた。一番の危険は旦那だったんだけど、上手く隣町にいなくなったから、楽に実行できたんだよ。いやー、ありがたかったね。」


「貴様!」


「何もできずに死んでいくなんて、俺は想像ができないんだよ。なあ、旦那今どんな気持ちだよ。せっかくだから教えてくれよ。」


こいつはこんな奴だったのか、見抜けなかった自分が情けない!

こいつに言いたい事を言われ、何もできない自分が惨めだ!


私は、こんな事の為に生きてきたわけではない!

憎い、憎い、憎い、憎い!

何もできない自分が憎い!こんな事したやつらが憎い!目の前のこいつが憎い!こんな状況が憎い!なにもしてくれないやつらが憎い!この世界が憎い!全てが憎い!


「旦那、いい目じゃないか!無力で無様だな!」


こいつを殺す力が欲しい!この運命を壊す力が欲しい!どんなものでも構わない!絶対的な力が欲しい!この世界を破壊する力が欲しい!


そんな事ばかり考えていると、頭に直接声が聞こえてきた。


「力が欲しいか?」


ああ、欲しい!


「この世界を壊したいか?」


ああ、こんな世界なくなってしまえ!


「なら私に協力して、この世界を作り変えたいか?」


出来るんなら、こんなクソな運命を変えたい!

変えられるならなんでもする!


「交渉成立だな。私の力の一部をお前にくれてやる!使いこなしてみろ!」


俺の体に何かが流れ込んできた。

そのあとは、あまりよく覚えていない!

気がつけば、私は全身返り血で真っ赤に染まっていた。

奴を含む盗賊は全員肉塊にかわっていた。


「上出来だ!我が新しき眷属よ!私達とともに新たな世界を作ろう。」


これが私とダレス様との出会いだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


another side 闇


「準備が整ったぞ!さてじっくりと一気にどっちで地上を破壊してやろうか?どっちの方が楽しめるかな?」


ダレス様はすっかりあの時とはかわってしまっている。

かつては地上を破壊しても、必ず再生をさせる事を目的にしていたのに、今はただ破壊する事しか考えていない。


もはや、決意をしていた私だかもうついてはいけない。

これは、誰かにこの方の暴走を止めてもらうしかないな。


でも誰に頼めるだろうか?


・・・・・・彼しかいないだろうな。

彼はきっと私を恨んでいるだろう。

けどこのままでは私の望んだ未来は永久にこないだろう。

私は確かに世界の破壊を望んだが、けして消滅はのぞんでいない。


覚悟を決めて、ダレス様が気づいていないうちに、私はスキルの転移を使って、この狭間の世界から地上へと向かった。

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