表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Rebellion Cord 〜黄昏の彼方へ〜  作者: shun
九章 アストラ王城決戦
118/180

第16話別れ


「どうしたレイン!口だけなのか?」


「くっ!」


俺の攻撃は父さんに全て防がれていた。

父さんのスキルを使って死角にまわっても、


「レイン、甘いわよ!母さんもいるのよ。」


母さんが防いでしまう。

それに合わせて父さんも斬りかかってくるために、結局距離をとるしかなくなる。


「おいおい、レイン。そんなんじゃ俺達を倒せないぞ。」


「そうよレイン。もっと考えて攻めないと意味がないわよ。」


2人とも簡単にいうけど、こっちは1人なあげくせっかく隙を作ろうにも、互いにかばいあうために難なくかわされてしまう。


さらに、下手に近づけば両方の攻撃をかわしながらになってしまい、単なる体力の消耗でしかなくなってしまう。


「レイン、いつまで悩んでるんだ!こっちから仕掛けるぞ!」


「ちょ!」


ガキン!


父さんが一気に間合いを詰めて攻撃をしてくる。

それを受け止めると、


「レイン、脇が甘いわよ!」


母さんが、父さんの背後から横に飛び出し、左脇を斬りかかってくる。


「くそ!」


それをなんとか受け流して防ぐ。


「レイン、なぜ母さんの武器を破壊した力を使ってこないんだ?」


「・・・・・・」


わかっているよ!

使えば確かにこの状況を変えられるだろうよ。

けどもう一度使ってしまっているし、次に使えばどうなるか不安で使えないんだよ!


「レイン、こたえろ!」


「そうよ、レイン何故なの?」


俺はなんとか2人と距離をとり、何故使わないのかを言った。


「あの力は反動が強いからもう一度は使えないんだよ!」


「・・・レイン、それは嘘だな。お前、まだ迷っているんだな。」


「父さん、そんなわけないだろ!」


「いや、俺の息子は大切な人の命の危険があるのに、そんな腑抜けた事を言うやつじゃない。」


「父さん、本当だよ!次に使えばどうなるかわからないから、使えないんだよ!」


「レイン、それは後からつけた言い訳だろ!」


どうしたら理解してくれるんだ!

クリムゾンを使えば体が危ないから、ダークネスを使って斬ればわかるか!


俺は父さんの攻撃をクリムゾンで受け、母さんが仕掛けてくる前にダークネスの力を使って父さんを攻撃する。


ダークネスは父さんの武器を通過して、父さん自身を攻撃した。


「・・・レイン!お前はばかにしているのか!」


次の瞬間には、父さんの蹴りでおもいっきし飛ばされた。


「ふざけるなよレイン!俺はちゃんと言ったよな?俺達を倒して解放してくれって!」


「・・・・・・」


「わかった。レインお前がそんなんなら、俺は、俺達はお前の大切な人を全員殺そう。」


「・・・何言っているんだよ父さん?」


「言ったはずだぞ?俺達の意思に関係なく邪神の命令を実行するってな。これはそう言う事だよ!ここで止められないなら、俺と母さんはそこのアレスや、リリーちゃんやヘレンも殺す事になる!それ以外にも会っていないお前の他の嫁や仲間もだ!俺達にそんな事をお前はさせたいのか!」


「・・・・・・」


「レイン、ガイルが、私達がどんな気持ちで言っているかわかる?あなたを信じているからよ!」


「・・・・・・」


「メアリー、もういい。こいつはこの程度の男だったんだよ。まずはアレスだな。」


「!!」


父さんは俺に背を向けると、アレスさんの方へと向かって歩き出した。

俺は止めようとしたが、母さんが邪魔をしてきた。


「母さん、どいてよ!父さんを止めないと!」


「レイン、これが最後よ。あなたは今を生きている人と死んでいる人、どちらが大切なの?」


「わかってるよ。でも父さんも母さんも今いるじゃないか!」


「そうね。でも生きてはいないわ。レイン知っているでしょ?私もガイルも死んでいるのよ。」


「でも目の前で生きている!」


「違うでしょ!私達は無理やり生き続けさせられているのよ!こんな屈辱はないのよ!」


「ううう。」


「レイン、私達を倒せないなら、母さんがあなたを殺すわ。」


母さんは剣を構えて、俺の首へと振り下ろしてくる。

俺はそれを受け止める。


「レイン、私は言ったわよ。あなたを殺すと!」


「!?」


受け止めた剣が突然重くなった。

そしてゆっくりと俺の首へと近づいてくる。


「母さん!」


「死になさいレイン!」


どうしてこうなるんだよ!

俺が何をしたっていうんだ!


「うわわわわ!」


俺はクリムゾンの力を使って剣と一緒に母さんを斬り裂いた。


「レイン、それでいいのよ。」


母さんはそのままそこに倒れた。

俺はすぐさま父さんに近づいて斬りかかる。


「はは、そうだよレイン!お前が守るべきは生きている人だ!」


「ああああああ!」


俺はただひたすらに斬りかかっていた。

父さんはそれを何とかしのぐだけになっている。


「レイン、ごめんな。お前にばかりこんな役目をさせてしまって。俺達を恨んで構わない。」


「父さん!」


俺は覚悟を決めて、クリムゾンの力を使って父さんを斬り裂いた。


「がはっ!」


父さんは、血を吐いてその場に倒れた。


「レイン、よく頑張ったな。」


「・・・父さん。」


「すまないが、母さんのところに連れて行ってくれるか?」


「わかった。」


俺は父さんに肩を貸して、母さんの倒れているところへと連れていった。


「はは、メアリーも派手にやられたね。」


「あら、あなたほどじゃないわよ。」


「父さん、母さん、俺は・・・。」


俺が2人に謝ろうとすると、父さんは俺の頭を撫でてきた。


「よくやったなレイン。さすが俺の自慢の息子だよ!」


「そうね、辛かったわよね。よく頑張ったわよ。」


母さんも俺を抱きしめてきた。


「レイン、俺はお前を誇りに思うぞ。」


「私もよ、レイン。」


「父さん、母さん!」


くそ!

力の反動なのか意識が遠のいていく!

待ってくれまだ2人に言いたい事があるんだよ!


「俺は・・2人の息子・・・で・・・・よ・・・か・・・。」


「おっと、限界みたいだな。こんなになるまでよくやったな。」


「そうね。もう体も精神も限界だったのね。」


「こうやって、寝ている姿はあの頃のままだな。」


「そうよ、レインはいつまでたっても私達の子供よ。」


「それは違いないね。ところでアレス。」


「何だ?」


「もうドアを塞いでなくていいよ。」


「気づいていたのか?」


「ああ、レインの成長のためにありがとな。」


「ふん、リリーやヘレンのためでもあるからな。」


アレスが壁から退くと、そこの壁が崩れリリー達がいた。


「えっ!おじ様、おば様?お父様どういう事ですか?」


「リリーちゃん、ごめん時間がないんでね。レインを引き取ってくれるか?」


「レイン!」


リリーが2人からレインを引き取って、2人と距離をとってその間にジェイド達が入った。


「警戒しなくて大丈夫だよ。もう少しで消えるだろうからね。それより、最後にレインの他の嫁を教えてくれるかい?」


ガイルの右手はすでに灰になってきていた。


「おじ様、ユフィーとミリーあの人達が、レインの両親よ。」


「はじめまして、ユフィーです。」


「ミリーです。」


「あらあら、2人とも可愛い子ね!レインったら。」


「これは、安心だな!まったく。」


「ねえ、リリーちゃん。レインに伝言預かってくれる?」


「はい、おば様。」


「ありがとう。それじゃあ、周りをよく見なさいって言って。それと私達はいつでも見守っていると。」


「俺からは、足を止めるなと、どんなに悩んでもいい、迷ってもいいけどけして歩みを止めるなよって、伝えてくれ。」


「わかりました。」


「限界みたいだな、レイン俺達の大切な宝物、お前の成長をずっとみていたかった。悩みを聞いてやりたかった。これからの事はアレス達に任せるよ。」


「任せておけ。」


「泣くなよ、親友。」


「お前だって泣いているだろ。」


「親の特権だな。」


ガイルとアレスは互いに泣きながら別れをすませた。


「ああ、私の大切な息子。これからの成長が楽しみだったわ。リリーちゃん達との結婚式できる事なら参加したかったわ。リリーちゃんにユフィーちゃん、ミリーちゃんこの子の事お願いね。」


「はい、おば様。」


「わかりました。」


「うん。」


「ありがとう。レイン、肉体が滅んでも魂はずっと一緒にいるわよ。」


「メアリー。」


「ガイル。」


2人は最後に見つめ合ったまま、ゆっくりと全身が灰になって消え去っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ