第7話再起
ルナの件から暫くたち、ようやく動けるまで体が回復をした。
「やばいな、寝てばっかりだったから、体がなまっているな。」
怪我してからはリリーに、かなり厳しく生活管理をされていて、動く事がまったくできなかったからな。
今日からは、ようやく許可が出たから運動する事ができる。
トントン!
「開いてるよ。」
「邪魔するよ。おや?レイン君もう準備できていたのかい?」
部屋の中にアレスさんが入ってきた。
「はい、さすがに動かなすぎて体がなまってしまっていて、早く動きたくて。」
「まあ、そうだろうね。けど残念ながらすぐに激しい運動はできないよ?」
「それはわかってますよ。」
「まあ、今日は残念ながら柔軟程度で終わりだよ。」
「やっぱりそうですか。」
正直思いっきり動きたいが、いきなり激しく動くと衰えてる筋肉とかにあまり良くないからな。
しかし、柔軟だけって少し微妙だよな。
「おや?レイン君は柔軟だけは不満かい?」
「正直もう少し動きたいですね。」
「それはダメだよ。じゃあ少し柔軟だけの理由を話してあげるよ。まずね、これだけ長時間動いていなかったから、だいぶ体が硬くなっているだろ?」
「それはそうですね。」
アレスさんの指摘した通りで、体の節々が動かすたびにギシギシした感覚があった。
「人の体はね硬い状態では、怪我をしやすくなってしまうんだよ。だから今レイン君は軽く動くだけで怪我の危険性が高いんだよ。」
「そうですか?」
体が硬いからって怪我をしやすいっていわれてもあまりイメージできないな。
「そうだな、よくしなる枝としならない枝を想像できるかい?」
「それはできますよ。」
「それじゃあ、どちらの方が折れやすいかい?」
うーん。
よくしなる枝としならない枝か。
よくしなる枝は両端を持って折ろうとしても、折れずに少し曲がる程度だな。
逆にしならない枝は同じようにすると、簡単にポキっと折れるな。
ああ、そういう事か!
人の体も同じで柔軟性が高ければ、怪我の中でも骨折とかがしにくくなるのか!
「どうやらわかったみたいだね。」
「はい。」
「それじゃあ、始めようか。」
それからは、アレスさんに指示されながら全身の柔軟をしていった。
ちょうどアレスさんに一通り全身の柔軟を教わった時だった。
コンコン。
「はい!」
「レイン、私よ。今大丈夫?」
「リリー、ああ、大丈夫だよ。」
ドアを開けてリリーが入ってきた。
「あら?お父様?ああ、そっか今日からリハビリだったわね。」
「リリー用事か?」
「そうよレイン。今ねアストラ王城にある協会から人が来てるのよ。」
「・・・それって、もしかして。」
まさかもうアストラ王城が、敵の襲撃を受けてしまったのだろうか?
「レイン、違うわよ。きたのはユーリさんよ。」
「へっ?ユーリさんがきたのか?」
「そうよ、それで会いたいって事よ。」
「わかった。アレスさん!」
「構わないよ。いっておいで、ただしゆっくりだよ。」
俺はリリーに手伝ってもらいながら、ユーリさんの待っている場所へと向かった。
「ユーリさん!」
「やあ、レイン君久しぶりだね!リリーちゃんわざわざありがとう。」
「いえ、それよりこれからの話は私は聞かない方がいいですか?」
「いや、大丈夫だよ。」
「そうですか?」
「まあ、とりあえず2人とも座ってよ。」
リリーは気を利かせてくれたんだろうけど、ユーリさんは別に気にしないみたいだな。
俺とリリーは、ユーリさんに言われた通りに椅子に座った。
「こっちに来て、ルードの事は聞いたよ。」
「そうですか。」
「まったく、ルードも私より先に逝きやがって、後であった時は説教だな。」
「いやいや、それってかなり先じゃないですか!」
「まあ、そうなんだけどね。まだまだ私は死ぬ予定ないからね!」
「まあ、そうですよね。」
「まあ、その事はこのぐらいにしないと、一日中その話になっちまうからね。さて、レイン君私がここに来たのは・・・・・・。」
いきなりユーリさんが真面目な顔で黙った。
なんだろうか?
何か言いづらいことでもあるのだろうか?
おれは次の言葉をまった。
「ここに来たのは、あまりにも来ないから寂しくなったからだ!」
忘れてた!
ユーリさんも本質的には父さんと同じタイプの人だった!
「・・・・・・戻っていいですか?」
「ちょっ!まって!ちょっとした冗談だよ。」
「はぁ、で?本当は何ですか?」
「大司教様の予言でこれから一ヶ月後に襲撃が起きると出たんだ。」
「!!そうですか。」
「もう一つあってこっちが大問題なんだが、襲撃者は・・・・・・レイン君の両親、つまりガイルとメアリーだよ。」
「やはり、そうなりますか。」
隣でリリーは、顔を真っ青にして驚いているが、俺は予想していたので驚かなかった。
「おや、レイン君は知っていたのか?」
「一度、襲われましたから。」
まあ、あの時は俺の両親が仮面をつけて、敵に眷属にされているって知らなかったからな。
「・・・・・・覚悟できているんだね?」
「はい、俺は両親と戦って止めます。」
「・・・・・・わかった。」
これでアストラ王城では、両親と戦う事がほぼ確実になったか。
これは、急いで体の感覚を戻さないとだな。