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Rebellion Cord 〜黄昏の彼方へ〜  作者: shun
九章 アストラ王城決戦
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第1話記憶


「・・ン、・イン、レイン!」


どこからか呼ぶ声によって俺は意識を取り戻した。

目を開けるとそこは、いつだったかアイリスに初めて会った場所だった。


「ここは、確か。」


「精神世界よ。ようやく意識を取り戻したのね。」


「アイリス、どういう事?」


「あなたはどうしてここに来たかわかるかしら?」


「えーと、確か・・・・・・そうだ!邪神の封印の場所で敵と戦って、剣の力をだいぶ使ってしまったはず。」


「その後は?」


「うーん、あっ!ルードさんが!」


「そうね、それもあってあなたの心を本能が守ろうとして、ここに来たのよ。」


そうだったんだな。

確かに俺はまた目の前で大切な人を失ってしまったんだな。

なんでだろう?

ここに来る前はあんなに悲しかったのに、今はそこまでじゃないな。


「どうしたの?」


「それが、なんだか改めて考えると、なにがそんなに悲しかったのか、わからなくなってきたなとおもってね。」


「!!レイン、あなたどっちの剣の力を使ったの?」


「たしか両方だったはず。」


「両方同じ回数?」


「いや、ダークネスの方が多かったはず。」


「!!まずいわね。」


なにやら、アイリスが慌て始めた。

一体なにがそんなにまずいのだろうか?


「レイン、あなた村の襲撃の事どこまで話せる?」


「そんなの全部言えるよ!」


アイリスは何でそんな事を聞いて来るのだろうか?

村の襲撃の事なんて1日も忘れた事なんてない。


「じゃあ、私に話してみて?」


「わかったよ。」


俺はアイリスに話しはじめた。

村の襲撃はちょうどリリー達やルードさんがいない時に起きたんだよな。

襲撃はたしか昼過ぎ(・・・)くらいで、俺は自分の部屋にいる時だった。


俺達は、その襲撃から逃げるために、村の裏側の入り口に向かった。

途中で父さんは、1人で敵に向かっていき、俺と母さんで逃げていった。


結局は敵の1人に追いつかれ、戦う事になった。

その結果、母さんは殺害された。


その後に敵の仲間達が集まってきて、父さんの事をしり、俺は暴走してその結果力を使ってしまい、ここに初めてきたんだ。


そう説明し終えると、アイリスは真面目な顔で、


「やはり、かなり進んでしまったわね。」


なにが進んだのだろうか?


「自覚がないのね?レイン、さっきの話間違っているわよ。」


「えっ!そんなわけないだろ。」


「本当よ。襲撃があったのは夜よ。」


おかしいな。

俺の記憶では、昼過ぎだったはずだぞ。


「レイン、あなたの村の名前はいえる?」


「当たり前だろ!確か・・・・・・えっ!」


俺は愕然とした。

自分の住んでいた村の名前が出てこない。

何故だ?

住んでいた記憶はちゃんとある。

ルードさんがきた時に村の入り口に迎えにいった記憶もある。

その時に村の名前を見ているはずなのに何故か思い出せない。


「・・・・・・出てこない。」


「やはりね。力の使いすぎの反動がここまできてしまったのね。」


「どういう事?」


「あなたの双剣はそれぞれ代償が必要だって話したわよね?」


「ああ、それは覚えている。」


「肉体的なダメージは、理解できているでしょ。問題が精神的なダメージなのよ。」


「精神的なダメージって、味覚が鈍くなったりじゃないのか?」


「それは、肉体的なダメージよ。精神的なダメージは、あなたの記憶よ。」


「俺の記憶?」


「そう、今の様に過去の事からゆっくりと消えていくわ。」


「!!それって!」


「・・・・・・最後は全てを忘れてしまうわ。」


それって俺自身が誰なのか、わからなくなってしまうって事か!

力の反動がそんなに強いなんて、覚悟はしていたが辛いな。


「レイン、今ならまだ間に合うわよ?」


「何のことだ?」


「ここで、辞めてもいいのよ。そうすれば今以上忘れる事はないわ。」


確かに今力を使う事をやめれば、これより悪くなる事はないのだろうな。

けどそれじゃ、今までやってきたことが全て無駄になってしまうのだろう。


俺を助けるために犠牲になった両親、村人達。

そして、邪神の封印を守るために死んだルードさん。

それが、ただの無駄死にになってしまう。


そんな事にしてはいけない。

確かに俺は最後はどうなるかわからないが、俺を救ってくれた人達に恥じない生き方をしたい。


「いや、俺は進むよ。後封印は一つだからね。」


「封印を一つ阻止した以上危険はないわよ?」


「それは、嘘だな。一つダメになって終わるなら、こんな事聞かないだろ?」


「・・・・・・変なところで鋭いのね。そうよ、彼はもう肉体があるから、封印がダメになっただけじゃ意味がないの。」


「やはりか。」


「次の封印での戦いの後には、彼と戦う事になるわよ。」


「それしかないんだろ?」


「そうね、彼は最初からあなたに執着していたからね。」


「まったく、いい迷惑だな。」


「レイン、いいの?」


「覚悟はできているよ。」


「そう、次があなたにとっては、一番の試練になってしまうと思うわ。気をしっかり持ってね。」


「忠告ありがとう。」


「そろそろ、現実に戻る時ね。」


「ああ、どれくらい時間が経ってるかわからないけど、たぶんすごい寝坊になってるからね。」


「気をつけて。」


「それじゃ。」


俺の体は光に包まれていった。

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