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本日投稿2話目になります。

アレンは貴族街を目的もなくプラプラ歩いていた。


(はぁ、なんとかして婚約話進めないと本当に殺されるんじゃないか。剣片手に「次は無いぞ」とかこわすぎだろ。勝手にそっちが決めたくせにこっちの気持ちは関係なしかよ。コーラル侯爵に助けられたけど責任とって婚約って、はぁぁ、ミレア嬢から強く断ってくれないかな。最悪結婚しても悪くはないんだけど、、、ミレア嬢はいかにもお嬢様って感じで可愛くて守ってあげたくなるようなタイプだけど俺はやっぱりダリアみたいに出るとこ出てるグラマーなのがいいんだよね。そうそうあんな感じの、後ろ姿だけでも美人!)


アレンは「三流役者」いや、それ以下の芝居をうつ。たった今自分のポケットから取り出したハンカチを地面に投げ捨て、すかさず拾いあげ女性に声をかける。


「失礼、お嬢さんハンカチ落としましたよ」


女性はハンカチを見て直ぐに否定する。


「あら?私のじゃなくてよ」


振り向いた女性は見た目20代前半、アレンのいう出るとこ出てグラマーな美人さんだった。


(やっぱり美人!あれ?誰かに似てないか?ちょっと年上だけど、でも美人!)


アレンはこの美人さんに夢中で彼女がアレンを見て口の端を歪めたのに気付かない。誰に似ているかもどうでもよくなっていた。


「違いましたか。ではどなたかが落とされたのでしょうね。今日はお買い物を?」


話ながらハンカチをさりげなくポケットへと戻す。まぁ自分のハンカチだし。


「えぇ、お祝い事がありまして贈り物を選ぼうとこちらのお店へ」


「このお店を選ぶとはよほどの祝い事なのですね」


ここは貴族御用達の店の前。この店はちょっとやそっとの貴族の家には商品を持参し販売することはない。「欲しいなら自ら買いに来い!」の精神で営業している。そして気に入らない客には絶対に商品を売らない。口も固くここで話したことが広まることは決してない。だから貴族の夫人達はここへ来て愚痴を言ったりもする。貴族からの信頼が厚い店だ。


「そうなんです!」


よくぞ聞いてくれましたとばかりに女性は話し出す。


「知り合いの婚約が決まったんですの。ずっと好きだった方とね」


「それは素晴らしい事ですね。この店で買ったものを贈られたらきっと喜ぶでしょう。私もこの店に用事がありまして宜しければご一緒しても?」


「えぇ、もちろんですわ」


「あなたの髪には真っ赤な宝石であしらった髪留めなんか似合いそうですね。もしよかったら贈らせて、、あっ、待って」


アレンの心の中は美人さんへアクセサリーをプレゼントして食事して、、、あ、名前聞いてない!事に気付いたがアレンがボヤボヤしているうちに美人さんは店へと入っていってしまった。


『カランカラン』

扉の上で金が鳴る。


「いらっしゃいませ。まぁまぁ!よくおいで下さいました。おっしゃっていただければこちらから伺いましたのに」


「いいのよ。ここへ来れば沢山の商品を見れるもの。こちらの商品には間違いはないし見ているだけでも楽しいわ」


「コーラル侯爵夫人にそう言って頂けてうれしいですわ。今日はお一人ですの?」


「えっ?コーラ、、ル」

アレンにも警鐘が鳴る。店に入った地点でもう逃げ場はない。


コーラル侯爵家は実はこの店のお得意様なので呼べば邸まで来てくれるのだが、夫人は一人娘の婚約を勝手に決めていた夫にかなり怒っていた。謝る夫に対し「じゃあ、たまには二人・・で外へ買い物へ行きたいわ」の一言で娘以上に年齢を感じさせない若さを保つ美人な嫁にデレデレのコーラル侯爵は二つ返事で了承した。と言うことは、、、


「もちろんあの人も一緒よ」


青くなるアレン。


「本日はどのようなご用件で?」


「大きい声じゃ言えないのだけれど娘の友人が無事に婚約破棄したのよ。でも彼女は美人で気立てもいいからすぐに次の婚約が決まったの。こんなに嬉しい事はないわ。そのお祝いの品を買いにきたのよ。それでね、その破棄の相手はろくでもない男で婚約中にも関わらず浮気ばかりしてたんですって!うちの人ったら私に内緒でその男を娘の婚約者にしようとしていたんですのよ。いくら優秀でも娘の幸せを一番に考えるのが親でしょうに。娘を連れて出ていこうと思いましたわ。必死に謝るものだからゆるしましたけど、だからあの人に娘のためも何か買わせようと思って来たのよ。もうすぐ来ると思うわ。それより良いものあるかしら?」


アレンはこの美人さんがミレアの母親であると悟った。

そしてこれから来るのは誰なのかも


『カランカラン』


「待たせたね、良いものはあったかい?」


「ええ、赤い宝石の髪留めなんてどうかしら?」


、、、、悟った。



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