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アレンのチケットをありがたく譲って頂いたおかげで無事観劇を終えた四人は、揃って劇場近くの喫茶店へと入った。
「こっちこっち」とアレンが手を振る。
全員が席に着くとアレンが劇の感想を聞く。
「どうだった?面白かったかい?」
「アレン様ありがとうございました。とっても素敵でした」
「ミレア嬢に喜んでもらえて嬉しいよ」
「兄さん、ありがとう」
「アレン助かった」
「たまにはアレンも良いことするわね」
四人はそれぞれアレンへ感謝する。
「今日は観れないと思っていたので本当に嬉しかったです」
ミレアがアレンへ今日一番の笑顔を向ける。
「劇場前にいるのにチケット持ってないっていうのが不思議だけど。忘れちゃったの?」
「、、、そういうわけでは」
「チケットがなくても入れるなんて思って、、とかはないか。はっ!君たちまさかチケット取らずに勢いで彼女達を誘ったりしてないよね?ね?」
そう言ってハインとカインへ目を向けるが案の定二人と視線は合わない。カインは自分の膝、ハインはもはやどこを見ているのかも不明だ。
「君達は馬鹿なの?」
ハインを責められているような気持ちになったダリアが助け船を出す。
「そ、それよりアレンはどうしてここへ?チケットとその頬、、」
「いやさぁ、デートに誘ったのは良かったんだけど同じ日に二人を誘ってたらしくてさ。まさか三人仲良く観るわけにもいかないだろ?いや、まいったよ。あははっ。でもそのおかげで君達は劇場に入れたんだし、俺良いことしたよね?」
と言われれば内容は最低だが誰も何も言えない。
「そうだ、明日のチケットもあるんだけど違う演目だしきっと楽しめると思うんだけどミレア嬢良かったらどう?」
「え!いいのですか?ぜひ!」
すっかり演劇に魅せられたミレアは二つ返事で了承する。
「ミレア、誰と行くつもり」
カインが慌てて言うが返事はあっさり返される。
「誰と?アレン様?」
「そんなぁ」
「私とでいいの?じゃあ明日はエスコートさせて。例のお礼もまだだったし。明日は絶対楽しませるからね」
二枚あるチケットをそっくりミレアへあげるつもりだったアレンも驚いたが、お礼も兼ねてエスコートすることにした。
ミレアは単純にアレンのチケットだからアレンと行くのだろうと思っただけだった。
++++
当日になってあることを思い出したアレン。
コーラル侯爵家に行って果たして自分は無事に帰ってこれるのだろうか。
(コーラル侯爵には会いたくない)
「なに?友人と言ったから許したんだ。それがアレンと劇場に行くだと?絶対だめだ」
「二人きりではないのですよ。まぁ劇場では二人ですが、、なぜそこまで嫌がるんです?」
母親に声をかけたことを知らないミレアは純粋に女癖が悪いからだろうかと考えていた。
「あの男だけはダメだ!」
まぁまぁと親子の間に入ったのはミレアの母親だった。
「いいじゃないですか。行ってきなさい。すでに迎えにきているそうじゃないですか。私が玄関まで送りましょう」
「そんな、、」と言いながらついてこようとしたジェリックに「あなたは来なくてよろしい!」と一喝し、さっさとミレアをつれて玄関へ向かう。そこにはアレンが若干涙目で立っていた。
「お久しぶりですね。今日はミレアを宜しくお願いしますね」
分かってるでしょうねという圧力を感じる。
「はい。観劇後は速やかにこちらへお送り致します。あ、でもあの、食事をしてきてもよろしいでしょうか。ミレア嬢にぜひ食べさせたいものがあるんです」
「ええ、何事もなく無事に返していただけるならいいですわ」
「それはもちろんです」
こうしてアレンとミレアは劇場へと向かうことが出来た。もちろんアンの監視付きで。




