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「ミレア、君のことが好きなんだ」

これで伝わるかなぁ、そう言ってカインは布団に顔を埋め悶えた。そんな恥ずかしいところへ声をかけられる。


「、、、カイン」


ぱっと声のしたほうへ顔を向けると気まずそうにしている男が、少し開いた扉から顔をのぞかせていた。


「ひっ、に、兄さん!」


「ごめん、覗くつもりはなかったんだけど、扉が開いていて」

そう言ったのはアレンではなく長男のハインだった。




これ以上ないくらい恥ずかしいところを見られたカインは、隠しても仕方ないので自分が何をしていたのかハインへ言うことにした。


「なるほど、で、あれは練習って事?」


「うん。ダリアにも言われて」


「そうか」


「うん」


「、、、」

「、、、」


「、、、そうか」


「、、、うん」


ハインは可愛い末っ子のカインの為なんとか力になりたくて考える。


「そうだ、今度ダリアと劇場へ行く予定なんだけどね、カインもミレア嬢を誘ってみたらどうかな。なんでも若い女性に人気がある演目らしいんだ。ダリアも喜ぶと思うし、ミレア嬢もダリアが一緒なら誘いにのってくれるんじゃないかな。チケットは当日券を買えばいいだろうし」


「ありがとう兄さん!誘ってみるよ!」


カインはさっきまで暗かった(恥ずかしくて)顔を笑顔へと一変させた。ハインはその顔をみて弟の為に一つでも力になれたと満足した。

そんなハインは自分のした失敗にまだ気が付いていない。


早速カインはミレアを誘った。それにミレアはダリアも一緒ならと誘いにのった。今話題の劇を観れるなんて嬉しいと感動さえしていた。


「当日は迎えに行くから」

「うん。楽しみにしてるわ」



++++


ミレアはカインが迎えにきた馬車に乗って劇場へと向かっていた。車内は二人きりにならないようアンが同乗している。


「じゃあハイン様はダリアの家の馬車で?」


「そうなんだ。だから僕達は現地で待ち合わせ」


「今日は誘ってくれてありがとう。本当に人気のある演目だから楽しみだわ。ダリアとも全然会えてなかったから嬉しい」


「そっか。楽しめるといいね」


そんなこんなで馬車は劇場前に到着した。劇場前は人で溢れかえっていた。カインが先に降りてミレアへ手を伸ばす。ミレアが降りるとはぐれないようその手を自分の腕へ絡ませる。


「人が多くてはぐれると大変だからとりあえず掴まってて」


「うん。ありがとう」

ミレアの微笑みをまともに見たカインは顔を真っ赤にさせた。ミレアがあまりにも可愛いかったのと無意識に腕を絡ませたことにたった今気が付いたから。


「と、りあえず兄さん達を探そう」


二人は人混みの中ハインとダリアを探すことにした。探しはじめてすぐ運良く二人と合流することが出来た。


「兄さん、凄い人だね」


「こんなに凄いとは思わなかったよ」


世間話をしている二人をよそにミレアとダリアも話始める。


「久しぶりね。カインが誘ってくれてよかった。こうしてダリアにも会えたし」


「本当久しぶりね。カインとデートなんてミレアもすみに置けないわね。私だってチケット取るの苦労したのよ、カインに感謝しなさい。カインってば意外にやるわね」


「デート?何言ってるのよ、今日は四人で観劇でしょ?」


「四人ってこの?」


「ハイン様が提案してくださったんでしょ?カインがそう言ってたわ。ダリアも来るからって」


「ミレア、ちょっと待ってて」


慌てたようにハインの元へ向かい小声でどういうことか尋ねると「カインの為になんとかしてやりたくて勝手に決めてしまったんだ。ごめんね」と言われる。


「ハイン様、、、チケットはどうするおつもりで、、」


「そうだった、すっかり忘れてたよ。ありがとうダリア。当日券の売り場はどこかな」


ハインはあまり劇を観賞するタイプではなく今回劇場に誘ったのもチケットを手配したのもダリア。恋愛を題材にした今大人気の劇をハインと観ようとなんとかチケットを入手したのだ。そう、ハインがおかした失敗とはこれ。この演目のチケットは入手困難、カインとミレアのチケットはもちろん無い。


間の悪い事にカインに誘われてから観劇の日までダリアとミレアが会うことはなかった。そしてハインはダリアへ今回の件を伝えていなかった。


「ハイン様、当日券などありませんわ」


「無い?」


「ありません」


「当日券って「無い」」


しばらく無言になる二人にカインが気付きどうしたのかと声をかけるが返事はない。


「あ!兄さんチケット売り場はどこかな。はぐれるといけないからミレアはダリアとここで待っててね。ねぇ、兄さん?」


「あ、チケット売り場は「無いわ」」


「兄さん?ダリア?無いって?」


「カインすまない」


「すまないってどういうこと」


カインはそこで初めてチケットが手に入らずあんなに楽しみにしていたミレアにも観せることが出来ないと知る。


「ごめんミレア。僕がちゃんと調べなかったから」


「ミレア嬢すまない。そ、そうだ。ダリアと二人で観るといい。ダリア、そうしてくれるかい?本当にごめん」


「はぁ、この貸しは大きいですわよ。ミレア行くわよ。こうなったら楽しみましょう」


「ダリア、私は遠慮するわ。せっかくのハイン様とのデートでしょ。ダリアがハイン様の為にチケットを取ったんだから二人で観なきゃ意味がないわ。私に遠慮なんてしないでさぁ、行って」


「ミレアったら、、」

「ミレア嬢、、」

「ミレア、、」


「カイン、私達はお茶でもしに行きましょう。ね」


「ミレア、本当にご「バチーーーン」」


何かを叩く音が聞こえたと思ったら男の声で「誤解だよー」となにやら修羅場のようだがカツカツとヒールの音が遠ざかるのを聞くと女は何も言わず去っていったようだ。


頬を押さえる男が四人のほうへ向かって歩いてくる。

四人に気が付いた男は「やぁ」と声をかけてきた。



「、、アレン、、お前」

「、、アレン」

「、、兄さん」

「、、アレン様」



「これはこれはみんなお揃いで、そうだ、次の演目のチケットいる?」

二枚のチケットをヒラヒラさせたアレンにいち早く反応したのはカインだった。


「いる!」







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