どうみても設定いりません本当にry
とりあえずダダをこねさせたかっただけです。
ほのぼのを目指しました。
追記 5/28 加筆修正しました。
うららかな小春日和。
桜のつぼみもほころび始め、やわらかな空気がほのぼのと漂う、小さな公園。
住宅街の中にあるこの場所は、夕方には遊ぶ子供たちの姿が、休日には家族連れの姿が見受けられる、憩いの場である。
ベンチやブランコ、ジャングルジムに滑り台など懐かしい遊具が並ぶ一角にて、唐突に甲高い声が響いた。
「やだああああああ!!」
泣き声をあげたのは背中しか見えない子供、少年である。
きらきらと日の光を反射する銀色の髪と、その身には大きすぎる白衣を羽織り、おそらく10を過ぎたばかりとみられるしなやかな手足でもって、しっかりがっしりしがみついているのは、スーツをまとい腕に鞄をひっかけた男だ。
黒髪に黒目、少々ガタイが良すぎる上に背も高く、強面のためか結構近寄りがたい雰囲気をまとっているだろう男のほうも困惑気に首を傾げ、それでも子供がずり落ちないように支えている。見かけより優しい気性らしい。
そしてまるきり大木にしがみついたセミ状態の少年に背を向けられて、こちらも困惑気にオロオロしているのは、頭からつま先まで全身真っ黒なタイツに身を包み、顔にはガスマスクのような仮面をはめた、ヒーローもので言う雑魚敵な恰好をした者たちが数名、ギーギー言いながら(彼らなりの会話らしい)右往左往していた。
ちなみに今日は土曜日。家族連ればかりなわけで、つまり目撃者も多い。
しかし誰もが談笑しながら見物していたり、あるいはビニールシートをしいてお弁当を出していたり、子供に至っては無防備にじゃれついていたりと、ずいぶんのんびりとしているのは、この雑魚キャラたちが悪い人物ではないと知っているからだ。
随分昔の話だ。
太陽系の外から別の星の人々、いわゆる宇宙人が来た。
もちろん当時は大騒ぎになったし、ニュースは連日報道されるし、一時は犯罪も少なくなったといわれるほどだったという。
しかも恰好が黒ずくめにマスク、おまけに声は『ギー』ということもあり、会話が成立せず、すわ戦争か!ということにもなりかけたという。
それも彼ら(『ザーコ』という種族らしい。吹いたやつ後で正座な)の持ってきた翻訳補助具で大体通訳できるようになり、この機械(?)は今でも彼らの現金収入源になっている。
そんな彼らが言うには、まず自分たちは害を与えるつもりはないこと。
住んでいた星が人口過多で住めなくなり、新しい土地を探していたこと。
仕事や結婚相手を求めていること。
こちらの法に乗っ取って生活する心持でいること。
この格好は、住みづらい自分たちの星の大気から身を守るための防御服であること。
まあ、簡単に言えば惑星単位の永久移住希望者がきた、というわけだ。
そして一番に受け入れたのは、ヒーローものでなじんでいる我が国であった。
というかまず子供たちが真っ先に食いついた。ついでに子供みたいな大人も混じった。女性たちはあきれていた。
しかし男たちにとってはロマンである。特撮などでは見られない、本物である。
あいさつ回りで初めて見た際、とびかかれたりもしたそうだが、彼らは基本温厚なため、許してくれたそうだ。
もちろんたくさんの問題が起こったし、ザーコの彼らとて全員が善人なわけではないけれど、長年の付き合いから、彼らはゆっくりとなじんでいった。
ちなみに彼らがいまだ雑魚キャラ服を着こんでいるのは、彼らの肌にあまりよろしくない成分が日の光に含まれているせいでもあるし、やはり長年なじんだ格好のため、落ち着くのだそうだ。
ギーという声だけはやはりどうしようもないが、着用が義務づけられている補助具によって意思疎通は問題ない。
長々と説明はしたが、とりあえず彼らは同じ『ヒト』であり、親しい隣人である。
話は冒頭に戻るが、どうも男を連れて帰りたいらしい少年と、そんなわけいかないだろうとなだめるザーコ数人。巻き込まれていまだ困惑している男がもめているらしい。
「やだ!!やああだ!!持って帰る!!僕のにするうううう!!」
「ギギギー、ギー!!(いけませんよ、ぼっちゃん!)」
「ギギー、ギーギー(人を持って帰るって犬や猫じゃないんですから)」
「ギー。ギーギー(そうですよ。第一お世話できないでしょう)」
「ギギー(問題はそこじゃない)」
「やだああああ!!僕のおおおおお!!」
「ギギー!!(坊ちゃんいい加減になさい!!)」
「…どういうことだ?」
温厚なザーコ族でも、やはり礼節に関しては厳しいらしい。
男の胸に頭をぐりぐりこすりつけながら泣きじゃくりダダコネまくりの少年は、言われるたびに感情の激しさを増していく。
たぶんよく見たらかわいらしい鼻水と涙でぐちゃぐちゃな少年の、たぶん落ち着いて聞けば可愛いだろう鼓膜が破けそうな声だが、顔をしかめながらも、男は支える手を緩めていない。
やはり相当人がいいらしい。人相はあまりよろしくないが。
喧々諤々と声を荒げる彼らの中から一人やってきて、いまだ首をかしげる男に頭を下げてきた。
「ギー。ギーギー(申し訳ありません。うちの坊ちゃんが大変なことを)」
「や、それはいいんだが。なんで俺を?というか俺はただ腹を空かせていたこいつに飯を分けてやって寝かしつけただけだぞ?」
「ギー(あーそれですね)」
「それ?」
「ギ!!ギギーギー!!ギギギー!!(大体ですね!!なんで勝手に家を出てるんですか!!しかも護衛までぜんぶ撒いちゃって!!)」
「ちゃ、ちゃんと手紙残したもん!」
「ギギギギー!!(机の引き出しの裏にある隠し扉の中の二重底にあるなんて誰が思いますかー!!)」
「ギギー(あの通り、うちの中でもかなりお偉いとこの坊ちゃんなんですよ)」
「あー…うん、そうだな」
「ギギギギー、ギギギー(いろんな研究も発表するほど頭もよくて基本的にはこっちのいうことをきちんと聞いてくれるいい子なんですが、こうと決めたら頑として譲らなくてですね)」
「まあ、わかる」
「ギー、ギギー、ギギー(それで飛び出して迷子になって途方に暮れてるところを、裏表なく親切にされて、懐いちゃったわけでして)」
「…すまん」
「ギー。ギ、ギーギ、ギギー(いえむしろ非常に助かりましたよ。そんなわけで、坊ちゃんの懐きようが半端なくて、この状況という感じですね)」
「…一つ聞きたいのだが、もし行くとすれば雇用になるか?」
「ギギギー、ギ?(だから人をそんな風に、えっ?)」
「やだ一緒にいる…えっ」
「「「ギ?(つまり?)」」」
「雇用してくれるんなら問題ないぞ、と言いたいんだが」
一拍の間をおいて。
ぱああああ、と一気に顔が明るくなる、やっぱりかわいい顔立ちをしている少年と、がっくり肩を落とす、たぶん一番の責任者らしきザーコの背をたたくザーコ達。
そしてなんとなく成り行きを見守っていた周囲の拍手が鳴り響く中。
のちに、様々な騒動に巻き込まれながらも少年と苦楽を共にし、やがて『不動の男』と呼ばれるようになる男の就職が、決まったのであった。
なんとなくキャラ設定
世界観
ほわっとゆるっとな感じでイメージ。適当に流してください(←)
少年
一応悪の組織の博士をイメージしてみた。ぶかぶか白衣かわいいよね!!(え)
結構偉い人の息子。頭もよくていくつも学説発表したりする基本いい子。でもその分反動が来ると大変。
今回は煮詰まってお外出たら優しくされて懐いた。実にチョロイ。でも人を見る目はあるよ!
男
一応某太陽赤をイメージしたヒモヒーローをイメージ。でも思ったよりもいい人になった。
あんまり出番なし。護衛として就職した。え、前職はって?考えてないよ!
ザーコ族
真っ黒い雑魚キャラを出したくて設定を考えた。たぶん一番力入れた(何)。
ギーギー言ってるのかわいいよね!でもセリフ考えるの大変だった。
苦労性なザーコさんがお気に入り。