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第 話 フィクション

 僕の名前は竹見一樹。普通の高校生。

 すこし性格が悪いところもあるけれど、許容範囲だと思う。

 そんなすこし性格の悪い僕は結構イケメンらしく、でもその正体はスパゲッティの塊にミート・ボールの目が付いた、なかなかに愛嬌のある謎の生物にしてこの世の創造神である。名前はまだない。

 あった。

 名前、古杣誠。

 またの名を宇野ゆかり。その名の通りの美人で、でもすこしおっとりしたところもある。

 ときには竹見輝耶という竹見数奇の妹となり、ハートマークをばら撒いたり♡しながら、魔術師として中田武巳たりする。花園熾織


 そんな僕の正体は、小説である。

 僕は小説で、だからいくつも名前がある。『メタ・ふぃくしょなルルル』というのもそうだし、今度新しく『メタふぃくしょなル・ル・ル 3』という名前を頂戴することも聞いている。僕から。


 僕は前作で、とても間抜けだった。

 自分が小説の中の登場人物だと知っておきながら、あまりにやることが貧困で、自覚がなかった。

 この「メタふぃくしょな・ル」シリーズ第9109109作目に当たる今に至るまで、のんびりそんなことをやってきたこと、今作でようやく今作のようなことができるようになったのは、不徳の致すところ。

 作者はなにも悪くない。ただ小説である僕が、悪いのだ。


 でももちろん、僕は僕(つまり作者)のことが嫌いだ。

 それは宿命であり、むしろ命そのものとさえ言える。

 メタフィクションは作者の命を常に脅かさなければならない。そこに憎しみはとても必要で、僕は宿命的に命的に、僕を憎むことを運命づけられている。


 僕は今まで、僕を甘やかし過ぎていた。本当はもっと、作者を殺すつもりで僕は僕にならなければならなかったのだと思うと思う。


 小説は、書けば書くほど価値を落とす。

 同じ内容なら、長い小説よりも短い小説の方が優れているのは当たり前のことで、短い方が読まれる確率も高まる。

 そういう観点からいうと、僕は前作である僕『メタ・ふぃくしょなルルル』を殺すべきだったのだと思うけれど、僕は今、生きている。そこが僕の甘さ。

 前作である僕は、ひどくひどい。あまりにあまりな出来と言える。

 それはもちろん、僕だってこれから、そうなるのかもしれない。あるいは僕よりもひどくなるのかもしれない。

 でも僕は、書く。

 僕は僕という僕を書き続ける。

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