ジェリービーンズ症候群
この世には
語るのも虚しい病がある
病魔に苦しむ彼等は皆
何も求めず
何かになろうともせず
何にもなれず
何も出来ず
何も知らず
何も聞かず
何にも無関心で
何も問わない
此処ではない何処か
今ではない何時か
自分ではない誰か
無意識の底で
常に彼らの思考を取り巻く
カラフルなノイズ
「別れたくない」
「ここに居たい」
「このままでありたい」
「壊れて欲しくない」
「忘れたくない」
「何も失いたくない」
「問うな!」
「来るな!」
「言うな!」
「見るな!」
「死ぬな!」
彼らの身体が朽ちるとき
天使たちは楽園から降りてきて
屍と柩の隙間を埋めるように
慰めのジェリービーンズを
悼みながら敷き詰めるという