表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

第一話 「人生詰んだサラリーマン」



「もっと高校生の時に勉強してれば...こんな目に....」


(この国の....)



 静寂の夜と共に暗く沈んだ表情の俺。

もう降りきった雨で湿った地面を踏みながら自宅へ帰る途中だ。


 やあ皆さんこんにちは!

 人生詰んだサラリーマンとはこの俺!坂白柄柳(さかしらえ やなぎ)のことだ!


 高校生の俺はヤンチャで騒ぎを起こすバカだった。

 成績も著しく低い、先生からの評価も最低の男。



「人生どこで詰んだんやー...!!ふざけんなよ昔の俺!!」


(最高指導者に....)



 夜であれ、叫んでも返ってくる声はない。

 ただなんの感情もない地球自体がその声を吸収してしまうだけ。


 いや違うな。

 とはいっても雨は喜怒哀楽でいえば「哀」のようなもので、雷でいえば「怒」に分類されるだろう。


 あれ?「喜」と「楽」って何が違うんだ?



「はぁ...意味わかんねぇこと考えんな...俺。暇人かって...」


(なってみてぇよなぁー....)



 もうすぐ家に着く。

 家があるのは当たり前のことではない。

 俺は、ヤンチャ友達に家賃を支払ってもらってまで家に住んでいるのだ。


 こんないい友達を持ったことは不幸中の幸いだ。

 いや、持ったことがいいのではなくて存在しているだけで周りが救われる人間。


 そして家に着き、玄関で靴を脱ごうとするとスマホの通知が鳴った。



「ん?なんだ...これ。新手の詐欺かなんかか?」



 スマホには画面いっぱいに黒い背景と文字が表示されていた。

 その文字の内容は見慣れたこういう文字だった。



ーー「あなたは選ばれました!」


続きはこちらからーー。



 よくある詐欺の誘惑かと思った俺は、みんなのわかりみが深いであろう「ちっちゃすぎるバツ」に全神経を注いで押そうとした。



「くっそ....!ちっちゃすぎんだよ毎回毎回!!」


「....は?」



 うざかったので画面を叩き割るくらいの勢いで人差し指をバツに向けて押すと、バツ印が反応したので成功かと思った。

 画面に新しい文字が表示される。

 俺は詐欺に遭ってしまったのだ。



ーー「大当たりです!やはりあなたは選ばれ者のようです!」


「....は?俺バツ押したよね!?ね!?」



 バツを押すのが正解だという固定概念だった。

 実はこれは逆だったのだ。

 バツが進む方で、文字を押したらバツ扱いという。


 あまりに理不尽すぎる設計となっていた。



「はは...まあ戻ればいいしね...しね!きっも!!!!今時こんな機能作ったやつ誰?俺よりバカじゃねぇの!?」



 今だ家の明かりをつけず、玄関で俺は足をバタバタさせた。

 だが、怒っている暇もなかった。


 文字が光だし、その眩しすぎる大量の光は俺の全身を包み込んだ。



「え...?う、うわぁぁぁあ!!!」



 最後のスマホの画面には、また新しい文字が。



ーー「予言者の指示に従い、私は任務を終えました」



 意味不すぎる文字を最後に、俺の意識はそこで途絶えた。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 ようやく目が覚める。

 俺は座り心地の良さすぎるものに自分のケツを沈み込ませていた。



「ん.....?なんか、、、うるせぇ...な、」


(...あれ、?俺こんな新鮮な声してたっけ....)



 歓声のような、拍手の喝采が耳に響いている。


 眠気があり、まだ目は閉じたままだ。

 俺が独り言をかますと、「高校生」のような新鮮できれいなザ・男の子って感じの声がした。


 自分の声に違和感を持つという経験は誰でも持っていると思うが、今の俺は完全に別だ。


 俺はゆっくり目を開ける。

 そして状況を把握しようとした。



「.....え?人だかり...?とんでもない数だ...」


ーー「...て、天才がきたんだぁぁぁ素晴らしいぃぃぃい!!!」


ーー「予言者の噂は本当だったんだわ!!」


ーー「黒髪とあの座り様...!!やばいぃぃぃ!!」


ーー「この方が...この方こそが天才の.....!」



ーーーー「この国の最高指導者なのかぁぁあ!!」



(は?...え?何事ですか?どういうこと...?俺がこの国の最高指導者...?誰かの間違いだってぇぇ!!)



 そういえばと、違和感があったので自分の座っているところを見るとこれでもかとキラキラした最高級の椅子に座っている。


 そして何より、足を組んで手を頬杖としている俺は

その最高指導者そのものだった。


 沸き上がる歓声と、泣き叫んで歓喜している人。

 

 それと俺の目の前の階段下には、選ばれし者みたいな4人が俺に膝をつきながら頭を下げている。



「これ....どういう...」


ーー「坂白柄...様!!ついに誕生されたのですか!」


「...はい?」


ーー「何を驚かれているのですか!!その黒髪と高校生のような姿...これは紛れもなく、あなたこそが!」


「いやいや...何言ってる...んですか?」


ーー「敬語...そんなものを使う必要はないですよ!!あなた様はですね...この国の最高指導者なのですから!!」


「......。」


(俺多分...転移でもしたのか?いやあれは二次元での話だろ!?)



 座っている俺の横にいる剣を携えている男が、俺にいろんなことを話してくれた。

 驚きを隠せない。

 おそらく俺の顔は今までで一番酷い驚愕の顔となっているだろう。


 そこであの頭を下げて膝をついていた4人の内の1人が俺に敬礼の意を上げた。



「坂白柄様....!ご誕生をお祝い申し上げます!」


ーー「申し上げます!!」


ーー「申し上げる!!」


ーー「申し上げます!」


「あ...、え?えと...よろしい!...、、?」



 1人に続き、残りの3人が声を合わせて言った。

 俺は対応に困ったが掠れた声で、でも大きな声でそれらしくこの場に適応しようとした。



シーン....。



「あ....あれ?」


ーー「.....。坂白柄様...ここはもっと胸を張って、国民と騎士全員に対して声をあげるんですよ..!」



 めっっちゃ気まずい空気の中、隣の騎士が俺に助言をしてくれた。


 要するに、ここで俺はもっとでかい声で威勢を放てばいいってことだ。多分ね?



「......えーっと...、こほん。皆の者ー!!俺のために働けぇぇぇぇぇ!!!」


ーー「流石だ...坂白柄様ぁぁあぁ!!!」


ーー「おぅゎぁぁぁぁあ!!坂白柄様に給料全額貢ぐぜぇぇぇ!!!」


ーー「おうぁぁぁぁああああ!!!」



 俺は椅子からゆっくりと立ち上がった。

 そして、俺がそれらしい言葉を言うと耳が潰れるくらいの歓声が起こった。

 もちろん悪い気はしなかった。

 なんなら良い気でいっぱいだった。


 まだ完全に理解はしていない。

 だが、これだけはわかる。


 見た目は高校生、頭脳はゴミカス!!

 ただしこの国を統べる者!!



ーーーーー最高指導者のご誕生である!!

 














新作です。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ